イケメン武将は恋してる

月夜

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第十一幕 始まりの信玄餅

一 始まりの信玄餅

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 その時、突然襖が勢いよく開かれると、信玄、幸村、佐助、才蔵の四人が姿を現した。



「そこまでにしてもらおうか。お主らの企みはすでに気づいておるぞ」

「そのお方は、俺達甲斐の客人。それ以上の無礼を働くのなら、その首、ここで取ってやる!!」



 皆の鋭い視線が信長へと向けられらるが、信長は顔色一つ変えないまま春から離れる。



「甲斐の者は、余程この女が気に入りらしいな」



 口許に笑みを浮かべると、光秀と共にその場を立ち去ってしまった。

 春は今もまだ疼く体のせいで動くことができず呼吸を乱したまま畳に倒れていると、バサッと肌を隠すように羽織を体にかけられ、そのまま姫抱きにされ持ち上げられた。



「部屋へ運びます」

「ああ、頼んだ。俺達はこれから患者を探す」



 クラクラとする意識の中、遠くに幸村と誰かが話す声が聞こえると、春の体に振動が伝わり歩いているのだとわかる。

 お礼を言わなければと視線を上に向けると才蔵の顔が瞳に映り、そのまま春を部屋まで運んでいく。



「ありがとう……ございます」

「気にするな。貴女の食事には毎晩媚薬が入れられていたようだ」

「媚薬……」



 こんなにも淫らになってしまったのが媚薬のせいだと知り安堵するが、今日は今までに感じたことのない疼きに頭が可笑しくならそうだ。

 誰かを求めたくて触れられたい衝動にかられるが、これ以上皆を快楽の為に利用するようなことはできず、春は敷布団をぎゅッと掴み快楽に耐える。

 止まらない蜜、快楽を求める体。
 吐息は甘く乱れ、こんな姿を才蔵に見られていると思うと恥ずかしいはずなのに、今の春にはそんなことを考える余裕すらない。

 才蔵はそんな春に近付くと、覆い被さるように上に乗り唇を重ねた。

 突然のことに現状が理解できず才蔵の口付けを受け入れてしまうと、唇が熱く熱を持ち、気付くと春も求めるように舌を絡めてしまっていた。



「辛いなら俺にさせろ。楽にしてやる」

「……できません」

「何故だ」

「愛がないのに求めて、快楽の為に利用するようなことをしたくないんです」

「なら気にする必要はない」

「え……?」



 一体どういうことなのか、言葉の意味を聞こうとするが、再び唇を重ねられ制止されてしまう。

 まだはだけたままの着物の胸元を開かれると、硬くなった突起を舌先で舐められ声が漏れる。

 少し舐められただけだというのに、まるで電流が流れたような痺れに声が抑えきれず甘い声が部屋に響く。



「貴女の肌はとても綺麗だ」

「ッ……あまり見ないでください」

「それは無理だな」



 艶っぽい瞳が自分へと向けられ、鼓動が高鳴る。
 これも媚薬のせいなのか、それとも別の理由からなのか、考える暇さえ与えない様に伸ばされた指が秘部に触れ、はしたなく水音が部屋に響き春を更に狂わせていく。



「媚薬を飲んだ体は、これでもまだ足りないはずだ」

「あんッ!!いや、やッ、あ、ダメ、ダメェッ!!」



 奥まで埋め込まれた指は中で激しく動かされ、蜜が布団を汚していく。

 下の蕾を口に含むと舌先で転がされ、中も外も攻められ快楽へと導かれると、大きく仰け反り達してしまった。



「まだ足りないだろう。蜜はまだ溢れてる」



 口についた蜜をペロリと舐めとる才蔵の艶っぽい姿に、春はまた今日も快楽に溺れていく。

 まだお昼だというのに、布団の上で乱れながら甘い声を上げる。

 信長に触れられて感じたのは、恐怖や冷たさだけだった。
 だが、甲斐の皆に触れられたとき一番に感じるのは優しさだ。

 また自分はその優しさに甘え、今日も快楽へと落ちていき、気付くと茜色の光が部屋の中を照らしていた。



「薬の効果は消えたようだな」

「はい、でも……」

「利用していると気にしてるのか?」



 薬のせいだとしても、自分は快楽を求め皆の優しさを利用したようなものだ。

 この時代に来て皆に優しくしてもらい、その優しさに甘えてしまっている。
 そしてまた、その優しさに甘えてしまった後悔や申し訳なさで一杯だった。



「気にする必要はないと言ったはずだ」

「何故ですか。私は、私は霧隠さんだけじゃなく、武田さんや他の皆とも……ッ」



 涙を見られないように顔を伏せると、春を暖かな温もりが包み込む。



「ああ知っている。だが、誰一人利用されたなんて思ってはいないはずだ。貴女のことが皆好きなのだから」



 その言葉でようやくわかった。
 信長には感じなかった優しさを皆から感じたのは、皆自分を心から思い大切にしてくれていたからなのだと。


 そして才蔵は今回の件について、わかったことを春に話す。

 甲斐の中に、尾張に情報を流している人物がいるということまではわかっていたらしいのだが、その人物が誰なのかまでは特定できず、何か動きがあるのではないかと見張っていると、ある人物が怪しい動きをしていることに気づき監視をしていた。



「その人物が、貴女のお世話をしていた女中だ」

「そんな……」



 その女中を監視するが、なかなかしっぽを出してはくれず、そんな時に今回のことがおき判明したらしい。



「一体、今回のことで何がわかったのですか?」

「貴女が朝落とし、溢したお茶の香りで媚薬が含まれていることに気づいた。あのあと俺は厨へと向かい、貴女の残された食事を調べたのだが、やはり食事にも媚薬が含まれていた」



 その事を信玄達に知らせたところ、皆何か思い当たる節があったらしく話を聞くと、信玄は堂々と春の肌に触れたと言い、幸村、佐助は頬を染めていたため同じようなことがあったのだと才蔵はすぐにわかり、信玄達と共に春の部屋に向かった。

 だが春の姿はすでに部屋にはなく、襖の前に立たせていたはずの女中の姿も消えていた。
 皆嫌な予感がし信長の部屋へと慌てて駆けつけると、予想通りだったわけだ。
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