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レンタル○○/テーマ:レンタル○○
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天気も良くて散歩をしていたら、レンタルショップを見つけたので入ってみた。
今日は仕事もお休みで時間はたっぷりある。
暇潰しにDVDでも借りようと、棚に並べられた沢山のタイトルを見ていく。
家の近くにこんなレンタルショップがあるなんて知らなかったから、最近できたばかりなんだろう。
外観も内装も綺麗で、棚にある複数のDVDはどれもまだ借りられていないようだ。
どれにしようかと見ていたとき、ふと目に止まったのは『レンタル幽霊』の文字。
タイトルからしてホラー作品だろうけど、マイナーなのか聞いたこともない。
最近は大分暑くもなってきたし丁度いいかなと、私はカウンターへとそのDVDを持っていく。
「お願いします」
「何人ですか?」
私は首を傾げる。
まだ若い店員さんみたいだから、耄碌というわけでもなさそうだし、多分何枚というのを間違えたんだろう。
「一です」
間違えた店員さんが恥ずかしいだろうと思い、私は枚を付けずに一だと答える。
今日はこの一枚にして、次のお休みにでもDVDを返却ついでに借りに来よう。
借りたDVDを手に家へと帰ると、外の日差しを遮る為にカーテンを閉める。
ホラーといったら暗いところで見るに限る。
目が悪くならないようにテレビから少し離れて再生。
「何これ?」
映っているのは砂嵐。
最初はそういう演出なのかと思ったけど、一分以上ともなればべつ。
昔のビデオテープではないから、生産過程でのミスだろうか。
折角カーテンまで閉めたのにと思いながら立ち上がろうとしたとき、上からミシミシと軋むような音が鳴る。
ここは二階までしかないアパートで、私が住んでいるのは二階。
上に人はいないし、外の風も強くない。
今時にしては古い木造建てだから軋んでいるんだろうか。
今までも軋んで音が鳴ることはあったけど、ここまで酷いのはなかった。
このアパート大丈夫なのかなと少し不安。
取り敢えず、砂嵐を流していても仕方がないので、カーテンを開ける前に停止を押す。
すると、軋む音も止まった。
カーテンを開けてDVDをケースに戻すと、私はあのレンタルショップへ向かう。
「すみません。先程借りたこのDVDなんですが——」
「お楽しみいただけましたか? 一人だと恐怖が弱いかもしれませんが、増やせば更に恐怖が味わえますよ」
ニタリと笑みを浮かべた店員さんを見て背筋がゾクリとした。
「じゃあ……五人でお願いします」
店員さんの言葉を理解した私は、恐怖より好奇心が勝った。
日に日に増える数に、私は狂ったように更に増やす。
私の身体はどんどん衰弱していくのに気にならない。
「百人で……」
「ククッ、等々三桁ですか。ここからは自己責任で」
一から五十人は初級。
五十一人から九十九人は中級。
百人以上は自己責任。
百人以上で幽霊の中に悪霊が混ざる事があります。
ケースの裏に書かれた注意の文字。
それに気付いても気づかなくても、私はもう止められない。
《完》
今日は仕事もお休みで時間はたっぷりある。
暇潰しにDVDでも借りようと、棚に並べられた沢山のタイトルを見ていく。
家の近くにこんなレンタルショップがあるなんて知らなかったから、最近できたばかりなんだろう。
外観も内装も綺麗で、棚にある複数のDVDはどれもまだ借りられていないようだ。
どれにしようかと見ていたとき、ふと目に止まったのは『レンタル幽霊』の文字。
タイトルからしてホラー作品だろうけど、マイナーなのか聞いたこともない。
最近は大分暑くもなってきたし丁度いいかなと、私はカウンターへとそのDVDを持っていく。
「お願いします」
「何人ですか?」
私は首を傾げる。
まだ若い店員さんみたいだから、耄碌というわけでもなさそうだし、多分何枚というのを間違えたんだろう。
「一です」
間違えた店員さんが恥ずかしいだろうと思い、私は枚を付けずに一だと答える。
今日はこの一枚にして、次のお休みにでもDVDを返却ついでに借りに来よう。
借りたDVDを手に家へと帰ると、外の日差しを遮る為にカーテンを閉める。
ホラーといったら暗いところで見るに限る。
目が悪くならないようにテレビから少し離れて再生。
「何これ?」
映っているのは砂嵐。
最初はそういう演出なのかと思ったけど、一分以上ともなればべつ。
昔のビデオテープではないから、生産過程でのミスだろうか。
折角カーテンまで閉めたのにと思いながら立ち上がろうとしたとき、上からミシミシと軋むような音が鳴る。
ここは二階までしかないアパートで、私が住んでいるのは二階。
上に人はいないし、外の風も強くない。
今時にしては古い木造建てだから軋んでいるんだろうか。
今までも軋んで音が鳴ることはあったけど、ここまで酷いのはなかった。
このアパート大丈夫なのかなと少し不安。
取り敢えず、砂嵐を流していても仕方がないので、カーテンを開ける前に停止を押す。
すると、軋む音も止まった。
カーテンを開けてDVDをケースに戻すと、私はあのレンタルショップへ向かう。
「すみません。先程借りたこのDVDなんですが——」
「お楽しみいただけましたか? 一人だと恐怖が弱いかもしれませんが、増やせば更に恐怖が味わえますよ」
ニタリと笑みを浮かべた店員さんを見て背筋がゾクリとした。
「じゃあ……五人でお願いします」
店員さんの言葉を理解した私は、恐怖より好奇心が勝った。
日に日に増える数に、私は狂ったように更に増やす。
私の身体はどんどん衰弱していくのに気にならない。
「百人で……」
「ククッ、等々三桁ですか。ここからは自己責任で」
一から五十人は初級。
五十一人から九十九人は中級。
百人以上は自己責任。
百人以上で幽霊の中に悪霊が混ざる事があります。
ケースの裏に書かれた注意の文字。
それに気付いても気づかなくても、私はもう止められない。
《完》
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