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ついてくる
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私の学校では、最近ある噂が広がっていた。
なんでも学校帰りに、白いワンピースを着た髪の長い女性を見たという生徒が複数いるらしく、それが不気味だという話でもちきり。
別に白いワンピースで長い髪だからというだけで怖がる必要なんてない。
高校生にもなって子供っぽい話に私は興味がないといった感じで本を読む。
噂なんてものはいつか風のように通り過ぎるもの。
この時の私はそう思っていた。
それから数日後の帰宅時。
電車に揺られながら読書をしていると、目的の駅が近づき本をバッグにしまい立ち上がる。
ホームが見えてくると、黒髪の白いワンピースを着た女性の姿が見えた。
いつか聞いた噂が頭を過り、電車から降りて女性が立っていた方へ視線を向ける。
だがすでに女性の姿はなく、気のせいだったんだろうと思い駅を出た。
家に帰る前に参考書を買おうと本屋へ向かい購入。
外に出ると空は暗くなり始めている。
本屋から家までの距離は15分くらい。
時間からして家に着く前に夜になるだろうが、そんなに距離があるわけではないし、普段も帰る前に寄り道をすればこのくらいの時間は当然。
だが、夜道が怖くないかと言われれば怖い。
家の近くは街灯もないため、まだ少しは明るいうちに帰りたい。
兎に角帰ろうと、購入した参考書を鞄にしまおうとした時、視界に何かが映った気がして、鞄に向けた顔を前に向ける。
だがそこには、歩いている人達がいるだけ。
気のせいだったのだろうか、先程駅で見た女性が居たように思えたのが不気味で、私は早足にその場を離れた。
少し歩くと人通りもなくなり、明かりのない中を歩く。
半分くらいまで歩くと、唯一、一本だけある街灯が見えてくる。
空はすでに暗くなっていたが、ここまでくればあと10分も歩けば家に着く。
だが私はこの時、街灯の明かりがパカパカと点滅していることに気づいた。
消えかかっているのだろうかと近づいていくと、街灯の下に誰かがいることに気づく。
パカパカと点滅している明かりがつくたびに見えたのは、先程見かけた黒髪の女性。
私は立ち止まり息を呑んだが、ここは一本道、通らなければ帰ることはできない。
どうしたものかと思いながら再び視線を向けると、その女性の姿は消えていた。
そのすきに私は一気にその場を駆け抜ける。
早く家に帰りたくて必死に走り、家までほんの僅かとなったところで立ち止まり乱れた呼吸を落ち着かせ再び歩き出す。
家が見えてきたとき、私は恐怖でその場に立ち止まった。
家のすぐそばに、あの女性がいたからだ。
「なんで……なんで私に着いてくるの」
そう声を洩らしたとき、女性の身体が私へと向く。
悲鳴のような声が私の口から漏れる。
女性はゆっくりと私に歩み寄ってきて、その場から逃げたいのに金縛りにかかったみたいに身体が動かない。
もう駄目だと目をぐっと瞑ったとき、私の肩に手が置かれ悲鳴を上げた。
「ちょっとなんなの? いきなり大声出してさ」
「お姉ちゃん……?」
仕事終わりのお姉ちゃんを見て安堵すると、私は視線を前に戻したが、そこに女性の姿はなかった。
そのあとお姉ちゃんから聞いたのだが、その女性の話は最近有名らしく。
普通の人には見えたくらいで済まされるらしいのだが、霊感がある者が見ると助けてもらおうとついてくるらしい。
翌日お姉ちゃんの知り合いで、そのてのことを仕事にしている人からお祓いを受け、最後にお守りを持たされて解決した。
それからその女性を見ることは無くなったけど、今もたまに耳にする。
白いワンピースを着た、黒髪の女性のことを。
《完》
なんでも学校帰りに、白いワンピースを着た髪の長い女性を見たという生徒が複数いるらしく、それが不気味だという話でもちきり。
別に白いワンピースで長い髪だからというだけで怖がる必要なんてない。
高校生にもなって子供っぽい話に私は興味がないといった感じで本を読む。
噂なんてものはいつか風のように通り過ぎるもの。
この時の私はそう思っていた。
それから数日後の帰宅時。
電車に揺られながら読書をしていると、目的の駅が近づき本をバッグにしまい立ち上がる。
ホームが見えてくると、黒髪の白いワンピースを着た女性の姿が見えた。
いつか聞いた噂が頭を過り、電車から降りて女性が立っていた方へ視線を向ける。
だがすでに女性の姿はなく、気のせいだったんだろうと思い駅を出た。
家に帰る前に参考書を買おうと本屋へ向かい購入。
外に出ると空は暗くなり始めている。
本屋から家までの距離は15分くらい。
時間からして家に着く前に夜になるだろうが、そんなに距離があるわけではないし、普段も帰る前に寄り道をすればこのくらいの時間は当然。
だが、夜道が怖くないかと言われれば怖い。
家の近くは街灯もないため、まだ少しは明るいうちに帰りたい。
兎に角帰ろうと、購入した参考書を鞄にしまおうとした時、視界に何かが映った気がして、鞄に向けた顔を前に向ける。
だがそこには、歩いている人達がいるだけ。
気のせいだったのだろうか、先程駅で見た女性が居たように思えたのが不気味で、私は早足にその場を離れた。
少し歩くと人通りもなくなり、明かりのない中を歩く。
半分くらいまで歩くと、唯一、一本だけある街灯が見えてくる。
空はすでに暗くなっていたが、ここまでくればあと10分も歩けば家に着く。
だが私はこの時、街灯の明かりがパカパカと点滅していることに気づいた。
消えかかっているのだろうかと近づいていくと、街灯の下に誰かがいることに気づく。
パカパカと点滅している明かりがつくたびに見えたのは、先程見かけた黒髪の女性。
私は立ち止まり息を呑んだが、ここは一本道、通らなければ帰ることはできない。
どうしたものかと思いながら再び視線を向けると、その女性の姿は消えていた。
そのすきに私は一気にその場を駆け抜ける。
早く家に帰りたくて必死に走り、家までほんの僅かとなったところで立ち止まり乱れた呼吸を落ち着かせ再び歩き出す。
家が見えてきたとき、私は恐怖でその場に立ち止まった。
家のすぐそばに、あの女性がいたからだ。
「なんで……なんで私に着いてくるの」
そう声を洩らしたとき、女性の身体が私へと向く。
悲鳴のような声が私の口から漏れる。
女性はゆっくりと私に歩み寄ってきて、その場から逃げたいのに金縛りにかかったみたいに身体が動かない。
もう駄目だと目をぐっと瞑ったとき、私の肩に手が置かれ悲鳴を上げた。
「ちょっとなんなの? いきなり大声出してさ」
「お姉ちゃん……?」
仕事終わりのお姉ちゃんを見て安堵すると、私は視線を前に戻したが、そこに女性の姿はなかった。
そのあとお姉ちゃんから聞いたのだが、その女性の話は最近有名らしく。
普通の人には見えたくらいで済まされるらしいのだが、霊感がある者が見ると助けてもらおうとついてくるらしい。
翌日お姉ちゃんの知り合いで、そのてのことを仕事にしている人からお祓いを受け、最後にお守りを持たされて解決した。
それからその女性を見ることは無くなったけど、今もたまに耳にする。
白いワンピースを着た、黒髪の女性のことを。
《完》
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