AOI

三角屋カヨ

文字の大きさ
上 下
2 / 4

AOI 第2話

しおりを挟む
 お友達からの塾の誘いに、ホイホイついて行く私を横目に、母が
 「この塾、体験行ってみない?土曜日なんだけど」
と、塾のパンフレットを見せてくれた。
 「…いっいいよ、中央学院…駅前?」
 「そうなの、1度だけでも行ってみない?」
中央学院、周りでは聞いたことないな、でも、何人か通っているのかな。駅前って、自転車で30分はかかるよ、遠くない?でも、そろそろ塾を決めなくてはならないのは本当。嫌だったら断ればいいし、まぁ、行ってみますか。母は、私のうなずきを確認すると、すぐに塾へ電話をしていた。
 この前、誘ってくれたひさちゃんは、次から次へと声をかけて紹介QUOカードをゲットしている。勉強とは違うやる気を感じる。ある日ひさちゃんがふらっと教室にきて、
 「塾の先生が、あの子どうした?決まってなかったら、連れておいでーって言ってるけど。」
 「本当?忘れられていなかったんだ。実は週末に一件行くから、それからでもいい?」
 「大丈夫だよー。先生に言っとく。」
同じ塾同士の輪ができ始めて、1人後からポツンと見てると、少し寂しい。携帯もだんだんとその話が出てくる。私は、へーとかそうなんだとか、相槌ばかりになってきた。あのお祭りのような楽しい夜は、永遠とこないのではないかと思ってしまう。でも、どこかでいつか混じっている私がいるような気もする。
そんな心持ちのまま、土曜日がきた。
「さちー。用意できた?」
私の名前は幸子で、家族はさちーと呼ぶ。
学校では、さっちん。入学して同じ部活動に入部した1年生組7人で呼び名をどうするか
最後に、ん、がつくようにしようと、盛り上がり笑いながら呼び名を考えた。それから、周りに波及していった。家族は、呼び名のさっちんを、微笑んで聞いているけれど、でも目は絶対笑っていると、私は思っている。
 中央学院には、車で行った。私は、50分の英語の体験のみで、その間、母は別室で説明を受ける事になっていた。案内された教室は、30人くらいいるのか、席は余裕があって
広かった。なんとなく空いてそうな後の席に座った。あっちこっちで小さなグループがあったり、1人で座っている人もいた。ここ通ったら、1人なのかな…。ちらちらこっちを見て、ヒソヒソしている子がいたりして、なんかドキドキ、まぁ、50分だけ体験よ、先生がきて授業を聞いて帰るだけよ、まぁ、きれいだけど、ここは遠いしないでしょ、バックから筆箱やノートをごそごそと取り出した。
 「どこ中?」
…誰?…
 「美濃中から。」
聞いてきた子は、斜め後にいるお友達に
 「美濃中だって~。」
と、振り返りながら声をかけている。美濃中だって~がそのグループに輪唱しているようだった。呼んでいないのに、グループになっていた子達が私のところに来た。4人だけど。はじめましてなのに、体験なのに、こないでー。
 「美濃中っていたっけ?」
4人は顔を見合わせながら、
 「聞かないねぇ。」
 「ねぇ。」
ドキドキ。
 「席着いてー。」
いいところに?授業がはじまってくれた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【ショートショート】雨のおはなし

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

怪異・おもらししないと出られない部屋

紫藤百零
大衆娯楽
「怪異・おもらししないと出られない部屋」に閉じ込められた3人の少女。 ギャルのマリン、部活少女湊、知的眼鏡の凪沙。 こんな条件飲めるわけがない! だけど、これ以外に脱出方法は見つからなくて……。 強固なルールに支配された領域で、我慢比べが始まる。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

処理中です...