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14話 旅立ち
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祝賀会は無事? 終わって次の日、私は旅立つ前に拠点の整備に関して最低限のことを指示しておくことにした。
「いーい、ハムちゃん。隣人とはくれぐれも仲良くするのよ?」
「もちろんですぁ。なんかない限りは決して手を出しませんぜぃ」
「何かあっても手を出さないでまずは話し合うの。もー、大丈夫かな……。それで、大福ちゃんは周囲の資源探査と採掘キットを使って随時採取と搬送、それと誰かに盗られたり壊されないようにするための警備を担当ね。あともちろん拠点も守ってね」
「わかったのじゃ」
「で、ハムちゃんは周辺部族の調査ね。地形データとかもあるといいかな。あとは犬人たちの拠点建設を進めてね。資財は適当に置いといたの使っていいから」
「わかったぜぃ。このハムスター亜種、必ずやすべての部族を傘下に入れて参りましょう」
「いや入れんでいいから。違うからね。調査するだけだからね? わかった?」
「はい!!」
不安だ……。
でも残るわけにもいかないし。
ま、いっか。
次は――、
ずっと土下座を続ける犬人たちの方へと向く。
「あのさ、そんなへりくだらなくていいよ別に。レベル差はあるけど、私それを笠に着るつもりもないしさ」
「いえ! となりの豚トロ様の庇護を受けられるようになった上に、拠点建設にまで手をお貸しいただけるなど、恐悦至極に存じます! この御恩は無限なる忠義にてお返しすることをお約束致します!!」
「あー……、うん。はい」
全然要らないんだけど。
「さ、豚トロ様、参りましょうか」
「うん。それじゃあ皆またね~。たぶん一か月後くらいに帰って来るけど、必要なら連絡魔法送ってね~」
ちなみに、散らばったメンバーに連絡魔法を送ろうとしたのだが、リストはまっさらになっていた。
どうもこの世界に来たあとに出会った者しか名前がなく、未エンカウントという判定になっているらしい。
「ところで、まずはどちらに向かわれるのでしょうか?」
「まずは人族領かな。魔族に攻められてるっていうのも気になるし、国境線がどんな風に変わってるかも気になるかな」
とそこで、大福ちゃんから連絡魔法が飛んでくる。
『となりの豚トロ様?』
「お、やっほー。どした? 今別れたばっかりじゃん。なんか忘れ物でもあった?」
『いやその……。となりの豚トロ様が心配での。無事かと不安になってしもおて』
「いや、まだ出てからちょっとしか移動してないよっ! なんならメアリーが見える位置にいるからっ!」
『そ、そうかの。それでも心配での……』
「うんうん。わかったから。私は大丈夫だよー。もういなくなったりしないから。心配しないでね」
『……わかったのじゃ。すまんの、邪魔してしもおて』
「うん、じゃあねー」
連絡魔法を切った直後、今度はハムちゃんから連絡魔法が入る。
「ん? どした?」
『となりの豚トロ様! その、えと、ご、ご無事でしょうか?』
「無事だよ! 無事に決まってんでしょうがっ! まだそんな遠く行ってないからっ!」
『で、ですが、外の世界には何があるかもわかりませんですぜぃ』
「あんたらは子どものお使いを見守るお母さんかっ! ちゃんとした用がないなら連絡してこないでっ!」
『……わりました』
「はぁ……」
「どうかされましたか?」
「いいの。うちの子たちが過保護だってことがよくわかっただけ」
「主の身を案じるのは当然のことかと存じますが……」
「案じ過ぎなのよ。……というか、あなたって私と出会って間もないのに、なんでそんなに私に尽くそうとしてるの?」
「むろんのこと、豚トロ様が神のごとき御方であると確信しているからでございます」
「いや、神様になった覚えはないんだけど」
「豚トロ様、これはごく一部の者しか存じておりませんのですが、この世界には実際に神なる者が存在しております」
「え? そうなの?」
「ここ数百年はめっきり姿を現わさなくなりましたが、神々はこれまでに散々世界へと厄災を振りまいていったものです」
私の知らない新しいコンテンツでもあったのだろうか。
そんなシステムはゲームの時にはなかった。
「はい。私もかつては戦いを挑んだのですが、こっぴどく負けてしまい、存在を消されかけたものです」
「悪魔ってたしか肉体の死だけだと死なないんだよね? 魔界にある魂まで破壊されそうになったってこと?」
「その通りでございます。命からがら逃げ伸びた私は、次にそのような存在に会った暁には戦うのではなくお仕えしようと心に決めておりました」
「ふーん、なるほどねぇ。自身の生存戦略として頭を下げる方が賢いと思ったってわけね。けど、私は別にあなたの命を奪ったりしないよ?」
「いえいえ、そうではなく、お仕えすることで強くなるための秘密を解き明かしたいと考えているのです。その対価として、私はあなたのためならば何でもする所存にございます」
「そういうギブアンドテイクを求めてたってわけね。んまっ、それならいいよー。ステータス強化方法とかは今度いろいろと教えてあげるよ」
「ありがとうございます。この身をかけて、一生尽くさせて頂こうと思います」
「うん。一時的なパーティね」
「はいっ! 一生涯尽くさせて頂きますっ!」
「話聞けや」
「いーい、ハムちゃん。隣人とはくれぐれも仲良くするのよ?」
「もちろんですぁ。なんかない限りは決して手を出しませんぜぃ」
「何かあっても手を出さないでまずは話し合うの。もー、大丈夫かな……。それで、大福ちゃんは周囲の資源探査と採掘キットを使って随時採取と搬送、それと誰かに盗られたり壊されないようにするための警備を担当ね。あともちろん拠点も守ってね」
「わかったのじゃ」
「で、ハムちゃんは周辺部族の調査ね。地形データとかもあるといいかな。あとは犬人たちの拠点建設を進めてね。資財は適当に置いといたの使っていいから」
「わかったぜぃ。このハムスター亜種、必ずやすべての部族を傘下に入れて参りましょう」
「いや入れんでいいから。違うからね。調査するだけだからね? わかった?」
「はい!!」
不安だ……。
でも残るわけにもいかないし。
ま、いっか。
次は――、
ずっと土下座を続ける犬人たちの方へと向く。
「あのさ、そんなへりくだらなくていいよ別に。レベル差はあるけど、私それを笠に着るつもりもないしさ」
「いえ! となりの豚トロ様の庇護を受けられるようになった上に、拠点建設にまで手をお貸しいただけるなど、恐悦至極に存じます! この御恩は無限なる忠義にてお返しすることをお約束致します!!」
「あー……、うん。はい」
全然要らないんだけど。
「さ、豚トロ様、参りましょうか」
「うん。それじゃあ皆またね~。たぶん一か月後くらいに帰って来るけど、必要なら連絡魔法送ってね~」
ちなみに、散らばったメンバーに連絡魔法を送ろうとしたのだが、リストはまっさらになっていた。
どうもこの世界に来たあとに出会った者しか名前がなく、未エンカウントという判定になっているらしい。
「ところで、まずはどちらに向かわれるのでしょうか?」
「まずは人族領かな。魔族に攻められてるっていうのも気になるし、国境線がどんな風に変わってるかも気になるかな」
とそこで、大福ちゃんから連絡魔法が飛んでくる。
『となりの豚トロ様?』
「お、やっほー。どした? 今別れたばっかりじゃん。なんか忘れ物でもあった?」
『いやその……。となりの豚トロ様が心配での。無事かと不安になってしもおて』
「いや、まだ出てからちょっとしか移動してないよっ! なんならメアリーが見える位置にいるからっ!」
『そ、そうかの。それでも心配での……』
「うんうん。わかったから。私は大丈夫だよー。もういなくなったりしないから。心配しないでね」
『……わかったのじゃ。すまんの、邪魔してしもおて』
「うん、じゃあねー」
連絡魔法を切った直後、今度はハムちゃんから連絡魔法が入る。
「ん? どした?」
『となりの豚トロ様! その、えと、ご、ご無事でしょうか?』
「無事だよ! 無事に決まってんでしょうがっ! まだそんな遠く行ってないからっ!」
『で、ですが、外の世界には何があるかもわかりませんですぜぃ』
「あんたらは子どものお使いを見守るお母さんかっ! ちゃんとした用がないなら連絡してこないでっ!」
『……わりました』
「はぁ……」
「どうかされましたか?」
「いいの。うちの子たちが過保護だってことがよくわかっただけ」
「主の身を案じるのは当然のことかと存じますが……」
「案じ過ぎなのよ。……というか、あなたって私と出会って間もないのに、なんでそんなに私に尽くそうとしてるの?」
「むろんのこと、豚トロ様が神のごとき御方であると確信しているからでございます」
「いや、神様になった覚えはないんだけど」
「豚トロ様、これはごく一部の者しか存じておりませんのですが、この世界には実際に神なる者が存在しております」
「え? そうなの?」
「ここ数百年はめっきり姿を現わさなくなりましたが、神々はこれまでに散々世界へと厄災を振りまいていったものです」
私の知らない新しいコンテンツでもあったのだろうか。
そんなシステムはゲームの時にはなかった。
「はい。私もかつては戦いを挑んだのですが、こっぴどく負けてしまい、存在を消されかけたものです」
「悪魔ってたしか肉体の死だけだと死なないんだよね? 魔界にある魂まで破壊されそうになったってこと?」
「その通りでございます。命からがら逃げ伸びた私は、次にそのような存在に会った暁には戦うのではなくお仕えしようと心に決めておりました」
「ふーん、なるほどねぇ。自身の生存戦略として頭を下げる方が賢いと思ったってわけね。けど、私は別にあなたの命を奪ったりしないよ?」
「いえいえ、そうではなく、お仕えすることで強くなるための秘密を解き明かしたいと考えているのです。その対価として、私はあなたのためならば何でもする所存にございます」
「そういうギブアンドテイクを求めてたってわけね。んまっ、それならいいよー。ステータス強化方法とかは今度いろいろと教えてあげるよ」
「ありがとうございます。この身をかけて、一生尽くさせて頂こうと思います」
「うん。一時的なパーティね」
「はいっ! 一生涯尽くさせて頂きますっ!」
「話聞けや」
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