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13話 祝賀会
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壁に耳あり障子にメアリーの残っていたすべてのPMCたちに私の帰還が知らされ、一日が過ぎた。
今日は私の帰還を祝福する件と犬人を迎え入れる件でメアリー地下十階にて祝賀会が開かれることとなっている。
ちなみに地下十階は主に私の居住空間や財宝部屋、拠点コアなどがある階で、神殿風にかなり力を入れて作った場所だ。
その一部である大広間にて会が執り行われていた。
残り資源も少ないであろうに、豪勢な食事が並べられていく。
「わぁぁ、すごーい!」
「となりの豚トロ様のために料理長の『コックどぅるどぅー』が腕によりをかけて料理を用意しておるのじゃ」
「鶏ちゃんか! たしかに料理系のスキルを積んだ覚えがあるなぁ」
「自身の身体を斬り裂いて唐揚げなどをつくっておったの。となりの豚トロ様のお役に立てると笑顔で料理をしておったぞえ」
「え゛!? 急に食べ辛くなったんだけど!」
たしかに私が創ったPMCたちはかなり強めのが多いので、多少体を斬り刻んだくらいならば回復魔法で治せるが、それを食べるというのはあまりに猟奇的だ。
「何を言うておる。コックどぅるどぅーは鶏神種。味はもちろんのこと、食べるだけで長時間のバフ効果を受けることができのじゃ!」
「いや、そういう問題じゃないだろ……」
ハムちゃんが台座の上に立ち、皆が静まり返る。
「聞けぇ!! 皆も知っての通り、我らが主、となりの豚トロ様が昨日ご帰還された! 我らはこれより主人のために忠義を尽くす!」
「「「うおおおおおおおお!!!!」」」
「差し当たっての課題は三つだ! 一つ目に壁に耳あり障子にメアリーの拠点強化を実施していく! 現状では消費財の需要と供給が釣り合ってなく、アイテムは減る一方だ! 周辺地理を探索して、拠点の本格稼働を目指すぞ!」
「「「うおおおおお!!」」」
なんかノリが体育会系だな……。
ハムちゃんって喋らせるとあんな感じなんだ。
「二つ目! この地はちょうど人族と魔族と亜人族の国境が交わる位置に存在している! 各勢力の情報収集と諜報活動を進めてく! 歯向かう奴は徹底的に叩いて血祭りにしてとなりの豚トロ様に捧げるのだぁ!!」
「「「うおおおおお!!」」」
「いやいやいや、血祭とかいいからっ! そういうのいらないからっ!」
「あっ、そ、そうですか……」
なんだかハムちゃんが盛り下がってしまったが、本当にされたら困るので一応そのままにしておく。
「ん゛ん゛! それで最後に! 壁に耳あり障子にメアリーを出ていくという愚行を侵した馬鹿どもを探す必要がある! これに関しちゃあ――」
「あ、それあたしがやるー」
「……え?」
一瞬で空気が凍ってしまう。
が、これは私のやりたいことなので気にしない。
「私さ、元々世界を旅してまわる予定だったんだぁ。だからそのついでに探しとくよ。みんながどんな感じにしてるかも見てみたいし」
「ちょ、ちょっとお待ちくだせぇ、となりの豚トロ様。あなた様、恩自らがお探しに行かれるのですか?」
「うん。だってここにいたって暇じゃん」
「で、ですが、外にはどのような脅威があるとも限りませんですぜぃ?!」
「いやいや。私PVPもPVEも種族戦も全部トップランカーだよ。不意打ちくらっても負けることなんてないよ」
「む、むろんとなりの豚トロ様が比類なき強さをお持ちであることは存じております。ですが、万が一がないとも限りませんっ!」
「えー、外は行きたいよぉ。そんなに不安なら誰か一人ついてきてよ」
と述べた瞬間、周囲の空気が変わった。
それまで和気あいあいとしていたPMCたちが隠れた殺気のようなものを放ち始める。
まるで、自分こそがその一人に選ばれてみせると言わんばかりだ。
「うーん、まあでも現状だとベリアルが一番有力かなぁ。ハムちゃんと大福ちゃんにはここを守っててほしいし、他の子たちじゃレベルに不安があるなぁ。その点、ベリアルはそもそも部外者だし、ハムちゃんや大福ちゃんともいい勝負してたからいいんじゃない?」
「反対じゃ! そのような得体の知れん輩に豚トロ様を任せるなぞ! 先ほどやった蜘蛛占いにも、お供にはもっちもちの大福を連れていくべきと出ておった!」
「そうだぜ! そいつは顔の形から目つきに至るまで、とてもじゃねぇが信用できねーぜ! 先ほどやった竜占いにも、お供にはハムスターのような竜王を連れていくべきだと出ていましたぜぃ!」
どんな占いだ。
ってかそんなのやってなかっただろ!
「私としては、別にどなたでも構いませんよ?」
とベリアルがニヒルに笑いながら余裕綽々の態度を示す。
すると、大福ちゃんとハムちゃんは更なる猛抗議をしてくるのだった。
まったく何を張り合っているのか。
「うーん、めんどくさい。もうベリアルに決めた! 異論があるなら私と勝負して! 勝ったら聞いてあげる!」
その後、PMCたちからたくさんの不満を聞くこととなったが、さすがに私に戦いを挑む者はいないようだ。
そんなこんなで、私の旅のお供はベリアルに決まったのだった。
つーか犬人たちの歓迎祝賀会はどうしたんだよ。
誰もそれについて触れてないし……。
今日は私の帰還を祝福する件と犬人を迎え入れる件でメアリー地下十階にて祝賀会が開かれることとなっている。
ちなみに地下十階は主に私の居住空間や財宝部屋、拠点コアなどがある階で、神殿風にかなり力を入れて作った場所だ。
その一部である大広間にて会が執り行われていた。
残り資源も少ないであろうに、豪勢な食事が並べられていく。
「わぁぁ、すごーい!」
「となりの豚トロ様のために料理長の『コックどぅるどぅー』が腕によりをかけて料理を用意しておるのじゃ」
「鶏ちゃんか! たしかに料理系のスキルを積んだ覚えがあるなぁ」
「自身の身体を斬り裂いて唐揚げなどをつくっておったの。となりの豚トロ様のお役に立てると笑顔で料理をしておったぞえ」
「え゛!? 急に食べ辛くなったんだけど!」
たしかに私が創ったPMCたちはかなり強めのが多いので、多少体を斬り刻んだくらいならば回復魔法で治せるが、それを食べるというのはあまりに猟奇的だ。
「何を言うておる。コックどぅるどぅーは鶏神種。味はもちろんのこと、食べるだけで長時間のバフ効果を受けることができのじゃ!」
「いや、そういう問題じゃないだろ……」
ハムちゃんが台座の上に立ち、皆が静まり返る。
「聞けぇ!! 皆も知っての通り、我らが主、となりの豚トロ様が昨日ご帰還された! 我らはこれより主人のために忠義を尽くす!」
「「「うおおおおおおおお!!!!」」」
「差し当たっての課題は三つだ! 一つ目に壁に耳あり障子にメアリーの拠点強化を実施していく! 現状では消費財の需要と供給が釣り合ってなく、アイテムは減る一方だ! 周辺地理を探索して、拠点の本格稼働を目指すぞ!」
「「「うおおおおお!!」」」
なんかノリが体育会系だな……。
ハムちゃんって喋らせるとあんな感じなんだ。
「二つ目! この地はちょうど人族と魔族と亜人族の国境が交わる位置に存在している! 各勢力の情報収集と諜報活動を進めてく! 歯向かう奴は徹底的に叩いて血祭りにしてとなりの豚トロ様に捧げるのだぁ!!」
「「「うおおおおお!!」」」
「いやいやいや、血祭とかいいからっ! そういうのいらないからっ!」
「あっ、そ、そうですか……」
なんだかハムちゃんが盛り下がってしまったが、本当にされたら困るので一応そのままにしておく。
「ん゛ん゛! それで最後に! 壁に耳あり障子にメアリーを出ていくという愚行を侵した馬鹿どもを探す必要がある! これに関しちゃあ――」
「あ、それあたしがやるー」
「……え?」
一瞬で空気が凍ってしまう。
が、これは私のやりたいことなので気にしない。
「私さ、元々世界を旅してまわる予定だったんだぁ。だからそのついでに探しとくよ。みんながどんな感じにしてるかも見てみたいし」
「ちょ、ちょっとお待ちくだせぇ、となりの豚トロ様。あなた様、恩自らがお探しに行かれるのですか?」
「うん。だってここにいたって暇じゃん」
「で、ですが、外にはどのような脅威があるとも限りませんですぜぃ?!」
「いやいや。私PVPもPVEも種族戦も全部トップランカーだよ。不意打ちくらっても負けることなんてないよ」
「む、むろんとなりの豚トロ様が比類なき強さをお持ちであることは存じております。ですが、万が一がないとも限りませんっ!」
「えー、外は行きたいよぉ。そんなに不安なら誰か一人ついてきてよ」
と述べた瞬間、周囲の空気が変わった。
それまで和気あいあいとしていたPMCたちが隠れた殺気のようなものを放ち始める。
まるで、自分こそがその一人に選ばれてみせると言わんばかりだ。
「うーん、まあでも現状だとベリアルが一番有力かなぁ。ハムちゃんと大福ちゃんにはここを守っててほしいし、他の子たちじゃレベルに不安があるなぁ。その点、ベリアルはそもそも部外者だし、ハムちゃんや大福ちゃんともいい勝負してたからいいんじゃない?」
「反対じゃ! そのような得体の知れん輩に豚トロ様を任せるなぞ! 先ほどやった蜘蛛占いにも、お供にはもっちもちの大福を連れていくべきと出ておった!」
「そうだぜ! そいつは顔の形から目つきに至るまで、とてもじゃねぇが信用できねーぜ! 先ほどやった竜占いにも、お供にはハムスターのような竜王を連れていくべきだと出ていましたぜぃ!」
どんな占いだ。
ってかそんなのやってなかっただろ!
「私としては、別にどなたでも構いませんよ?」
とベリアルがニヒルに笑いながら余裕綽々の態度を示す。
すると、大福ちゃんとハムちゃんは更なる猛抗議をしてくるのだった。
まったく何を張り合っているのか。
「うーん、めんどくさい。もうベリアルに決めた! 異論があるなら私と勝負して! 勝ったら聞いてあげる!」
その後、PMCたちからたくさんの不満を聞くこととなったが、さすがに私に戦いを挑む者はいないようだ。
そんなこんなで、私の旅のお供はベリアルに決まったのだった。
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