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6話 下僕イベント(強制)

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 えええええええ!?
 こんなに強かったっけ!!?

 ゲームではレイドボスのHPが五割削れるくらいで、確かに威力の高い魔法ではあった。
 が、ここまでド派手な演出はなかった。

 魔法が放たれた向こうの山々へと視線をやる。
 そこにあったであろう三つくらいの山がきれいになくなっており、隕石でも衝突したかのようなクレーターができあがっていた。
 想像以上の環境破壊行動に慌てふためいてしまう。

「あっ、え、えと! こ、こんな感じだから! まっ、頑張ってね!」

 そう述べて、この世のものとは思えない光景を眺め続ける悪魔を置いて、私は走り去るのだった。

  *

 はぁ……。びっくりした。
 魔法の威力に調整入ってるのかな……?
 私っていちおうゲームの世界に来てるんだよね?
 どこまでが仕様変更されてるの……??

 いくつかの魔法を試してみながら、これまでと同じものもあれば違うものもあることに気付く。

 うーん、法則性があるのかな?
 パッと見た感じじゃわからないから、これはおいおいだなぁ。
 そんなことを思っている間に森を抜けた。

 街道沿いに小麦畑が広がっており、その先にペレリスの街が見える。
 元は人族領の街だったけど、国境線がセザンヌの街近辺ってことは、ペレリスは魔族の街になってしまったのだろうか。

 まあなんでもいいか。
 ゲームの頃は領土に関係なく、どの種族も他種族の街に入ることができた。
 とりあえず今日はベッドで寝れそうだ。

 なんて思っていたところ、気配を感じてそちらに視線をやる。
 するとそこには先ほど私に喧嘩を売って来た中級者さんがおり、いそいそと私の前で跪いてくるのだった。

「え?」
「先ほどは誠に失礼しました!! どうか、わたくしめをあなた様に仕えさせて下さいますよう、伏してお願い申し上げます!!!」
「は……?」

 何言ってんのこの人……?

「いや、え? え?」
「先ほどの魔法、あなた様は真魔神王様か――いや、真魔神王様すら凌ぐ創造神であると理解致しました! 何卒私を御傍に仕えさせて下さいますよう伏してお願い申し上げます!!」
「つ、仕えたい?? いや、私そういうのいらないんだけど」
「我が名はベリアル。悪魔皇帝ベリアルと申します。微力ながら、あなた様の補佐をさせていただければと存じます」
「あのさ、話聞いてる? 私は今一人でまったりプレイしたいところなんだけど」
「わかりました。では姿を消し、無き者としてお仕えいたします」
「最初から仕えんでいいわ!」
「どうかお願い致します。損はさせないとお約束致しますのでっ!!!!」

 うーん、押しが強い……。
 あまりパーティプレイは好きじゃないんだけどなぁ。

 けど、少しだけ気になっていることがある。
 ここに来てからというもの、国境線といい、魔族軍に襲われたことといい、私が知っている常識とは異なる点が出てきている。
 この辺りは誰かに聞いておきたいところだ。

「……あなた、世界情勢に関して詳しいの?」
「むろんのことでございます。ご要望とあらば、各種族が機密としているような情報を殺してでも奪い取って参りましょう」
「いやそこまでせんでええわ。……と、とにかく、そしたらしばらくはパーティを組んでもいいよ。いろいろ聞きたいし」
「パーティなど畏れ多い! どうぞ下僕として一生こき使って下さい!!!」
「どんだけ自分をこけ下ろすのっ!? えっと、一時的なパーティメンバーね。そしたらよろしく」
「はいっ! 下僕として生涯を尽くさせて頂きます!」

 話聞けよ……。
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