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ずっと避けてきたこと
#191:暴走した独占欲 - side 誉史
しおりを挟む「あっ。吸っちゃ、ダメ!」
抗議に構わず今度は彼の首筋に舌を這わせて、耳うらに辿り着いてから甘噛みした。止めさせようと必死に俺の肩を押したり叩いて抗議しても、力が上手く入らないのか痛くもなかった。
「あっあっだめ、あっん…やだそれ、だめ…よしふみさ…あっ!」
Tシャツの裾を掴んで捲り上げた。ピンと張りつめたサーモンピンク色の頂上に口づけて吸い上げると、彼は嬌声を上げた。
甘い味がするような気がして舌先で何度も転がした。唾液でまみれて滑りが良くなった肌に指を滑らせ優しく摘まんだ。
「ぁん…あっ…あっ…だめ!」
乳房の頂上を啄み少し吸い上げては口から離して、思い切り舌で再度舐め上げる。彼は身を捩り、荒い息遣いを漏らした。
「ふぁ…それだめ…あん…そんな、そこ舐めちゃ…ぁ!」
鼻にかかる上ずった声で、体を震わす彼の抵抗は全部煽られているようにしか見えなかった。左右に首を動かして頭を揺らしイヤイヤしても、可愛いだけだ。
「何で…ぁ…僕…胸ない…吸っても意味な」
「甘い」
「え…?」
「凄く甘いんだ」
俺は、わざと強く吸い上げた。もっと大きな嬌声を上げて体を捩らせるから、顔を上げて彼を見る。唇の端から零れて顎に伝う涎が見えた。身を乗り出して彼の顔に触れて、流れていく涎に顔を寄せて舐め上げた。
「あぁん…よしふみさ…んん!」
名前を呼ばれたが構わず口を塞いで奥深くに舌を伸ばす。行き場のない彼の舌と重なるように何度も執拗に絡めて、卑猥な水音が聞こえた。唇の隙間から再び溢れた唾液もまた逃すまいと追い掛けて、彼の柔らかい肌に掌を広げて優しく体のラインを撫でた。
「はぁ…よし…ふ…みさ…僕…もう…」
体をしならせて、涙を溜めて、小さな声が震えた。
「我慢しなくて良いよ」
俺は身を起こして彼の下の履物ごと下ろした。
「あっだめ! 見ちゃやだ!」
閉じられる膝にすぐさま割り込んで左右に開く。
「なんで?」
「何でって恥ずかしいから!」
手で隠そうとして腕が伸びてきた。だが、先に俺の掌で優しく掴んで上下に擦った。
「あああぁん…あっあっあっだめ…だめ…ぁん…!」
「恥ずかしがらないで。全然恥ずかしいものじゃない。それより凄く、綺麗だ」
「なに…言って…ぁ…!」
「根元から白くて先っぽだけピンク色だなんて…凄く綺麗だ。ほら先をグリグリすると気持ちいいだろ?」
先走りでヌルヌルした先端を指で強く擦る。途端に艶めかしい高い喘ぎを上げて、彼の体が跳ねた。
「ぁっ…いっちゃ、いっちゃ…僕…もう!」
「良いよ。出して?」
「やだぁ…僕…し、たくない!」
「我慢しなくて良いんだよ。時生くん」
「だって…ベッド…うっ…汚れ…ちゃう、から」
左右に首を振るから、頬に涙がポロポロ滑り落ちた。思わず胸がカッとなって、俺は体を沈めた。
「あっ! やだ誉史さん! ダメ! それ口にするものじゃな…んあ!」
殆ど無我夢中だった。抵抗感など思う隙もない。舌の上を滑る膨張した性器を口に含んでいることが、なにより興奮した。彼のだから。
ずっと押し殺してきた邪な気持ちが、もうダダ洩れても良いと思った。俺の頭に彼の両手が伸びて滅茶苦茶に髪を掴まれたが気にしていられなかった。だって、こんなチャンス、次はいつ訪れるのか分からないのだから。
思い切り吸い上げたときだ。
「ふぁあああああああ…あっあっあっ!!!!!」
部屋中に彼の甲高い喘ぎが響くのと同時に、腰が浮いてストンと落ちた。俺の口から抜けて、彼の足は折り畳まれた。
暫し、互いに見つめ合ったまま言葉を発すことはなかった。静寂が破られたのは彼の方からだ。
「…僕…出しちゃった…ごめんなさ」
「……謝る必要なんてないよ」
彼は目を見開いた。
「うそ…今の飲ん――」
「一瞬だったから、よく分からなかった」
「え…」
「知りたかった。好きな子の味を。また今度ね」
「…え?」
水を持って来ると言って部屋を出た。
あれほど声を上げたのだから、彼の喉には潤いが必要だろう。
それよりも俺のしたことは、きっとドン引きさせてしまったから、これからどうするかを考えねばなるまい。
落ち着く暇もなく戸惑う彼の初めての連続を奪ったのだから。
「離れて暮らすとか、もうムリだ」
腰ゴムに指を引っかけて中を覗けば、狂暴化した俺自身が見事に反り返っていて、彼が見たら夢の中と同様に逃げ出すかもしれない。
もう逃げても無駄だけど。
家に帰す前に話し合わなければいけない。これからのことを。
俺の我がままを聞いて、彼に承諾をもらうのだ。
プロゲーミングチームを辞めてもらう。酷く勝手な提案だが、自分のものにするには、それしか案はなかった。
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