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最高に最低なコラボ
#24:僕の語彙力はどっか行った 1 - side 時生
しおりを挟む― てかあの解説動画やったひとは告発した人とは別の人なのかな
黙って配信を見ていると、僕が告発動画をアップした人と同一人物なのかと書き込んでいるリスナーが目に入った。
今、それは違うと書き込みすることはできるけど、僕は今まで彼の配信で書き込みをしたことはない。一緒にゲームをするときにコラボをするようになって、親しくなってから書き込みをしようと頑張ってきたのだ。なのに今、書き込みをしたら何だか言い訳を述べているみたいになるじゃないか!
ハラハラしながらライブ配信を見ているときだった。VCを通して相馬が僕の名を呼んだ。
『トッキー。ライブ配信を見てるだろうけど、悪い。今らふTVの冬珈琲チャンネルのお問い合わせフォーム経由でメールが届いたんだ。すぐ返信打った方が良いと思う』
いつもならチャンネル宛のお問い合わせは、相馬が殆どやり取りを担当している。僕が返信を打つことは稀だ。僕が直接、返答することが必要になるのは、大体は所属事務所キングスからの契約に直接関係することや夏河社長とのやり取りである。
だがスタッフや夏河社長からば、お問い合わせフォームは使わないだろう。
一体なんなのだろう。
今見ているウェブブラウザの画面を、パソコンの二枚目のサブモニターに移動させてから、メインのモニターにメールボックスを表示させた。
「え。嘘! 盤さんから!?」
信じられない。今、リアルタイムで彼の配信を見ているのに、彼からの問い合わせメールが僕宛に届いていた。
[ こんばんは。冬珈琲さん。私は、らふTV『れこめんど盤組』司会、MC担当、盤と申します。私のことで、今回、解説動画を出していただいたと思うのですが、早速拝見させていただきました。本来であれば、投稿動画のコメント欄に御礼を申し上げるところではございますが、急にあらぬ疑いを掛けられて非常に困惑していたところで、コメントだけでは、感謝等ちょっとお伝え出来ないことも諸々あります。よろしければ一度お話を直接させていただきたいのですが可能でしょうか? どうかご都合の良いときで構いませんので、ご検討のほどよろしくお願い致します。 盤 ]
彼からの返信は、待たせてはいけないと思い――ありがとうございます。恐縮です。いつでも都合、合わせられます。――と、直ぐに簡潔に返した。話を直接したいとあるが、二、三、交わすだけだろうと思った。
『やっば。トッキー。即レスで返事来てるぞ! おめでとう!』
「ええ!?」
[ 冬珈琲さん、お返事ありがとうございます。今丁度ライブ配信をしているので、もしよろしければ一瞬だけ出ていただけないでしょうか。私のVCは、らふTVのVCアプリを使っています。専用個人コード〔#88819512〕を加えていただけますと助かります。よろしくお願いします。 盤 ]
あり得ないことに、彼からの返信メールにはVCのフレンド申請を経て、今開催中のライブ配信に招待を受ける内容だった。
メールアドレスをもう一度よく見てみた。成りすましかもしれないと思ったからだ。
彼宛の問い合わせというものは通常らふTVがチャンネルごとに用意したフォームがある。だから個人のメールアドレスなんて、令和の今に公開している配信者は多くない。僕が浮かれて、全然違う人とコンタクトを取ってしまったら良い笑い者だろう。
『トッキー返信した?』
「まだ」
『え。なにしてんの?』
「いやだって実は本人じゃないとかだったらマズいじゃん?」
『いや本人でしょ。らふTVで使ってるVCには、ちゃんと盤って出てるけど?』
「あ、そっか! VC専用の個人コードか!」
探し方は簡単である。れこ盤の公式サイトには、有料の限定放送を見られるアーカイブ動画がある。視聴には月ごとの料金を支払うサブスクリプションを利用すれば良いのだが、サブスクに一旦入ると、番組に感想・意見のほか、視聴者を募って一緒にゲームを遊べるようVCルームも存在している。サブスク加入者は、誰でも公式番組のVCルームを覗くことができるのだ。
だから、れこ盤の放送中にVCルームを覗けばサブスク加入者は、盤のVCアイコンを簡単に見つけられる。
僕は、れこ盤でのサブスク加入したリスナー向けに用意されたVCルームにある、彼のVCアイコンを表示した。それと同時に送られてきたVC専用の個人コードを、比較してみた。結論から言って、同じものだった。
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