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スレイヤー武道会⑫
しおりを挟む「はぁはぁ」
みずきは先程から、一方的に月宮・グングニルの分身に押されていた。
みずきは肩で息をしながら目の前で無表情で立っている2人の月宮・グングニルの分身を見る。
「クソ...こんな所で負けられないッ!」
みずきはこれ以上、仲間に迷惑を掛けたりしたくは無かった。
数ヶ月前に月宮・グングニルが突如としてみずきを襲ったあの事件。あの時、みずきは月宮・グングニルの分身に負けた事をずっと根に持っていた。だからみずきにとってこの戦いは絶対に負けられ無かった。だからみずきは、
「雷の波紋ッ!!」
さっきからずっと全力で攻撃をしていた。
しかし、
「クソッ...」
何度攻撃しても2人の月宮・グングニルの分身は涼しい顔をしてみずきの攻撃を避けるのだ。
更にみずきに追い討ちを掛ける様に、2人の月宮・グングニルの分身はみずきに技を放つ。
「「砂塵一閃」」
その瞬間、2人の月宮・グングニルの武器である酷龍丸の周りに砂が纏われる。そして2人はその砂が纏われた酷龍丸で空を切った。するとその刀身から勢いよく砂がみずきの方に飛んでくる。
「ッ!」
しかし、みずきは持ち前の反応速度を生かし、飛んでくる2つの砂の塊を避けた、そしてみずきは知っている。相手のこのような攻撃には必ず隙が出来る事を。
(チャンスはここよ!)
みずきは隙が出来たであろう2人の月宮・グングニルの方に焦点を合わせた。しかし、そこには、
「ッ!?」
2人の姿は無かった。
そしてその瞬間、みずきは後ろから飛んでくる殺意を感じ取った。みずきは直ぐに後ろを振り向くと、そこには――
「ッ...!?」
さっきまで目の前にいた2人の月宮・グングニルの姿があった。更に2人はみずきに切りかかって来ており、もう刀身がみずきの身体を引き裂く寸前だった。
「クッ...!グハッ!?」
みずきは何とか王刃剣で自分の身体を守ろうとする。しかし、1人の攻撃を防ぐ事は出来たが、もう1人の攻撃が、みずきの左肩を斬った。
しかしみずきもそのまま一方的にやられるスレイヤーでは無い。みずきは何とか斬られた左肩の痛みを押さえ、
「雷の波紋...!」
王刃剣から稲妻の波動を放ち、2人の月宮・グングニルの分身の腹を同時に斬り裂いた。
それにより、ダメージを受けた2人の月宮・グングニルの分身は一度後ろに下がった。
「はぁ...はぁ...」
2人の月宮・グングニルの分身が一度後ろに下がった事を確認したみずきは肩の痛みを我慢しながら一度情報を整理した。
(私が今戦っている2人の月宮・グングニルの分身はどうせ直ぐに自己回復するから無傷として、かんたの方は...相変わらずずっと戦況は変わって居ないわね...それで元の月宮・グングニルとその仲間は...)
みずきがそう月宮・グングニルと雷がいた方を見ると、なんともうそこには2人の姿は無かった。
「な...!?」
意味がわからず、混乱しているみずきに、傷を修復した2人の月宮・グングニルの分身の内1人が口を開きこう言った。
「あの2人はもうここにはいませんよ。」
「え...?どういう事...?」
それはみずきが受け入れたくない事実だった。更に月宮・グングニルの分身はこう続ける。
「貴方達と戦っている間に、2人は主様の方に帰りました。」
そこまで聞いたみずきは絶望した。あんなに危険な2人を野放しにだけはしたくなかったのだ。だからそれを聞いたみずきは完全に気力を失い、地面に膝を着いてしまう。
「ッ!?」
それに気づいたかんたは直ぐにみずきを助けに行こうとするが、
「クッ...!」
かんたが戦っている3人の月宮・グングニルの分身がそれを許さなかった。
(私はなんて事をしてしまったのよ...私がもっと早くコイツらを倒していれば...私がもっと強ければ...私はA級スレイヤーなのに...こんな事しか出来ないなら、もうスレイヤーなんて...)
みずきはそんな事を考えだし、もう戦える状態では無かった。
そんなみずきに対して、2人の月宮・グングニルの分身は、
「では、さようなら。」
そう言い放ち、みずきの頭に刀身を振り下ろした。
しかし、次の瞬間――
「!?」
突如、みずきの周りを光が纏った。
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