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スレイヤー武道会⑪
しおりを挟むかんたとみずき、少し後ろにいるライト全員の顔に焦りがあった。その焦りの原因はもちろん、目の前にいる雷と突如として現れた月宮・グングニルだ。
「すいませんが、今回はこれで終わりです。」
月宮・グングニルは自身の武器である酷龍丸を下に下げ、そう言う。
しかしかんたはそう言い、引いて行きそうな月宮・グングニルと雷に対して、
「どこに帰るのかは知らないが、お前らを帰らせる事は出来ないな。」
と言った、当たり前だ。こんな危険な2人を野放しにする事なんて出来ない。
「そうよ!」
かんたのセリフに乗っかる様にみずきも月宮・グングニルと雷に、自身の武器である王刃剣を向けながらそう言った。
その言葉を聞いた月宮・グングニルは、小さくため息をつき、
「はぁ、では仕方ありません。ではプレゼントをあげましょう。」
そう言った、そして、
「悪魔の軍団」
月宮・グングニルは自身が持っている、分身の加護を使った。
その途端、月宮・グングニルの横に5人の月宮・グングニルが現れた。合計6人だ。
「くッ...」
その光景を見たかんたは、そう歯を食いしばる。
「やるしか、ないのね...」
みずきもそう言い、ゴクリと唾を飲んだ。
そして月宮・グングニルはその2人に向かって、
「お2人とも準備は大丈夫ですか?では始めましょう。じっくりと味わって下さい。これから貴方達を襲う絶望感を。」
そう言い、分身する前から居た月宮・グングニルは前に手を伸ばし、2人を襲う様に合図をした。
その瞬間、5人の月宮・グングニルの分身が、2人を襲った。
月宮・グングニルの分身は3人と2人に分かれて、3人でかんたを、2人でみずきを襲う。
「クッ!」
かんたは3人の猛攻撃を防ぎながら、攻撃のチャンスを伺っていた。
(コイツら、俺が前に吹き飛ばした分身達より強くなってるな...)
そう、今回の月宮・グングニルの分身は、前に戦って倒した2人の月宮・グングニルの分身よりも力が何倍にも膨れ上がっていた。そのせいで、
「火の奥義 火竜の咆哮!」
かんたの攻撃はさっきから当たりはするが、寸前で身体をずらされ、致命傷には持って行けなかった。
「クソ...!」
そして、致命傷を逃れた月宮・グングニルの分身は、自身の能力である砂の剣豪により、負った怪我はすぐに砂の力で無くなり、無傷の状態になる。そう、この厄介な能力は粉々にならない限りは体力関係無しで何度も使う事ができる。この厄介な能力のせいで、さっきからずっとこの繰り返しだった。
もちろん無理やり攻めれば、1人は粉々にする事が出来るだろう。そう、1人は。だが、厄介な事にかんたの目の前には3人の月宮・グングニルの分身がいる。
そのせいで無理やり攻める事が出来ないのだ。
だが、この展開はかんたにとっては辛い展開では無かった。何故なら、かんたは自身が受けた神の加護により体力が無限に等しい程あるからだ。しかも、最初からかんたはこんな展開になるだろうと予想していた。
しかし、かんたは予想していたはずの展開に焦りを見せていた。かんたは3人と斬り合いをしながらある方向をチラッと見る。その方向を見て、かんたはあからさまに顔に焦りを出した。そう、それがかんたが焦っている原因だった。
そこには肩で息をしながら、王刃剣を構える、ボロボロになったみずきの姿があった。
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