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スレイヤー武道会⑩
しおりを挟む「遅せぇよ雑魚」
その声には、スレイヤー武道会で起きた異常事態の全ての元凶である雷に対する確かな殺意が込められていた。
「な!?」
雷はいきなり後ろに瞬時に移動した対して驚きを隠せない。更に、
「ぐはぁ!?」
雷は目にも止まらぬ速さでかんたに腹を切り裂かれた。
雷はかんたに切り裂かれた腹を腕で押さえ、傷口を完治させた。
それを見たかんたは感心したように、
「なるほど、お前の能力を使えば腕を再生するみたいに腹の傷も治すことが出来るんだな。」
と言った。
一方雷は、
(こいつ早すぎる...俺はA級のスレイヤーだぞ!?)
と、かんたの驚くべき実力に圧倒されていた。
「どうした?凄く焦っているようだが」
かんたはそんな雷を煽るようにそう声を掛けた。
(クソッタレが...)
雷はそう思いながら状況を把握する事にした。
(俺が今戦っている男はまだ力を全然出していない、対して俺は全力で戦っている。おそらく負けるのは時間の問題だ。更に相手の男の仲間であろう水色の髪の女は俺が召喚させた災害獣を全て倒し、手が空いている。恐らく相手の男が不利になったら戦いに割り込んで来るだろう...これはどう考えても負けるな...)
しかし、雷は焦ってはいなかった。
(だが、俺に出された命令は、目の前にいる男や水色の髪の女を絶対に殺せという訳では無いしな。今回の奇襲で1人の学生スレイヤーは殺せたし、引くとするか)
そこまで考え、雷は自分に殺意を向けて来ているかんたにこう言った。
「今回はここまでだ。また会おうじゃないか」
それを聞いたかんたはもちろん、
「あ?逃げる気か?俺が逃がす訳ないだろ」
そう言い、逃げられない様に雷を斬るために前に踏み込む、そして一瞬の内に雷の前まで近ずき、斬ろうとした。しかし一刀は、雷には届かなかった。
「な!?お前は...!?」
「久しぶりですね、かんたさん。」
なんとかんたの刀は2人の間に突如として割り込んできた月宮・グングニルの武器である黒い太刀「酷龍丸」に受けられていた。
「貴方...!?」
その光景を見ていたみずきはそう声を荒らげる。
「貴方はあの時の。生きていたんですね。」
みずきの声を聞いた月宮・グングニルはそう淡々と言う。
「なんでこんな所にいるんだ!」
かんたはいきなり現れ、何故か雷を守った月宮・グングニルにそう強く聞く。
すると月宮・グングニルは淡々とこう言った。
「我々は我が主である魔王様の命令でこの攻撃をしたんです。雷はその実行約、私は護衛という所ですかね」
それは最悪の始まりに過ぎなかった。
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