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第1章3部【中央大陸招待編〜アンテズ村を救え〜】

第21話【後日談とある依頼〜俺たちが中央大陸に招待!?〜】

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 エルフとの決闘から1週間が経った。
 あの後、正式に冒険者側、すなわち俺の勝利と全体に報告され、オリアラの森は俺たちに使用権が与えられた。
 どうだ?やる時はやるって分かっただろ?

 まぁだが、実はその話はそこで終わったのでは無くてな、その後冒険者ギルドは、「エルフ側が森を利用してもこちらに損害は無い為、平等に使おう」エルフにそう言い、結局森はどちらも使える。という結末を迎えたんだよ。

 要するに、あの決闘の意味無かったって事。まぁ確かに冷戦状態が終わったってのはあるが……それでもどう思うよ!?
 
 俺はあの時死にものぐるいで戦ったのによ!まぁ平和に解決したんなら良いけど!

 あ、そうそう、それで思い出したんだが、あの決闘の最中にみさとがユニークスキルを他用してたけど――終わった後相当疲れたようで、息をはぁはぁさせてたな。

 俺がユニークスキルでシールドを形成した時も体力吸われたし、実はそこが弱点なのかもな。――と、あの日の後日談はこのくらいにしておこうか。

 さて、改めて1週間が経った訳だが、何かが変わったのかと言われれば変わったし、変わって無いと言われれば変わって無いな。

 確かにあの日から、更に声を掛けてくれる冒険者も増えたし、エスタリたちとも仲良くなったのだが、実際それくらいなのだ。

 それ以外はいつも通りの日常。
 ま、それが一番なんだがな。
 俺が仮に漫画の主人公なら話は別かもしれんが、残念ながら普通の異世界転生した元ヒキニートだからな。
 普通万歳ってわけよ。

 じゃあそんな日常を今日も始めて行きますか。

「なぁ、何さっきからぶつぶつ話してるんだ?」
「ん?あぁ、なんでもねぇよ」

 今の口に出てたのかよ、すっげぇはずい。
 ちなみに今は、朝食を食べてからすぐにするいつものウェーナ先生による魔法トレーニングだ。

 ――と言っても、俺とその隣にいるちなつは魔法の練習はしていないのだが。

 実はエルフとの決闘後も何日間かはしていたのだが、やっぱりウェーナの助けが無いと魔力を使いこなせない事と、魔法よりも今は武器屋で買った盾を実戦で使えるくらいまで訓練しないといけないという2つの理由により、今魔法はお休み中って訳だ。

 となりに居るちなつもほとんど同じ理由ね。
 それでそんな俺たちは今何をしているのかと言うと――

「2人とも、サボって無いですよね?」
「サボって……ねぇ……よ……」
「あ、あぁ……サボってない……ぜ……」

 ウェーナ先生が組んだ激しんど筋トレだ!
 これがマジでしんどいんだよ!
 先生が言うには「魔法が使えないあなたたち2人は筋肉を付けることが大切」らしいが――それでもこれはやり過ぎだって!

 まず、今してるのは腕立て伏せ150回だ。
 これを聞いての感想は人それぞれだろうが――少なくとも運動が苦手な俺には地獄だぜ。

 そしてもちろんそれだけで終わる訳はなく、他にも色んな種類の筋トレがくっ付いてワンセットになっている。
 どうだ……?マジでしんどいと思わないか……?

 まぁ、これだけならまだ何とかこなせるんだが――この筋トレの真骨頂は先程のウェーナのセリフ「サボってないですか?」なんだよ。

 このセリフ、一見普通の確認に聞こえるが……中身は全然違う。なんとウェーナ先生、これで俺やちなつがサボっていたらなんとムチでビシバシ叩いてきやがるのだ!

 これやばくねぇ?てか絶対ウェーナドSだろ――って、それはどうでもいいか。

 とりあえず、そんなこんなで俺は超ハードなスケジュールをこなしてるって訳。ちょっとは尊敬してくれたって良いんだぜ?

 対して魔法が使える組のみさととくるみはと言うと――

「これをこうして――炎……!」
「ウェーナ!出来たよ氷!」
「お、良いですね。」

 なんか魔法をやりやがっている。
 ん?口調が変だって?いや、当たり前だろう!だって考えてみろよ!クソしんどい筋トレをしてる俺の目の前で、楽しく魔法の練習だぜ?

 俺だって炎出したいんですけど?氷出したいんですけど!
 はぁはぁ……毎回毎回こうやって羨ましがってるから流石に慣れては来たが――それでもこうやっていつも愚痴を言ってる。(口に出したらウェーナ先生が怖いから口には出さない)

 ちなみにみさとは基礎魔法で、くるみはその応用をしてるらしいぜ?はぁ……
 今日も他人も才能を羨ましがる俺だった。

 ---

 その後、いつもの様に朝の訓練を終えた俺たちはこれまたいつもの様に冒険者ギルドへ向かっていた。
 ほらな?さっきも言ったが、何かがあったからと言って生活が大きく変わる事なんて無いのだ。

「うっす」「おはよう」「おはよ!」「おは~!」
「お!おはよう!」「お前ら今日も依頼するのか。偉いヤツらだな全く。」

 冒険者ギルドに着くと、扉を開けて冒険者たちと挨拶を交わしながら受け付けへ行く。
 この流れが、最近ルーティーン化されつつあった。

「よっ、おはよ」

 俺たちは受け付けの前まで来ると、いつもの様に片手を上げてそう話しかける。
 
 前々から気付いてきてるやつも居るかもしれないが――俺、この世界に来てからコミュニケーション能力がすごく上がった気がするんだよな。
 俺の周りに今まで話すのが苦手だった女子が多いからなのだろうか?

 すると、お姉さんもいつも通り俺の方を見て挨拶を返して――――来ない……?
 あれ?どうしたってんだ?

 そこで、お姉さんが俺たちを見つけてから何だか気まずそうにしている事に気付いた。
 ん?何かあったのだろうか?

「――って、どうしたんだ?そんな何か言いづらそうな顔してよ?」
「あ!い、いや……実はですね――」

 そこでお姉さんは、俺たち宛に来たある話を話してくれた。
 その内容はというと――

「中央大陸に招待ですって!?」

 話を聞き終わるとすぐに、ずっとそう叫びたがっていたでたろうみさとが声を上げる。

「は、はい……」

 そう、今みさとが言った通り、なんと俺たちは中央大陸の冒険者ギルドから招待されたらしい。
 なんでも、エルフとの決闘が予想以上に広まったらしく、その話が中央大陸で話題となり、一度会いたいと向こうの実力派の冒険者が言ったらしい。

 いや、めちゃくちゃ嬉しいんだが?
 っていうかなんでこんなスーパーウルトラ嬉しい話をお姉さんは言いづらそうにしてたんだ?
 
 ま、まさか……!俺たちが中央大陸に行ったっきり帰って来ないと思っているのかもしれない!(いや、それは無いか)
 おほん。とにかく、聞くに越した事は無さそうだな。

「なぁ、でもお姉さんはどうして今の話を言いづらそうにしてたんだよ?」
「きっと私たちがあまりにも早く出世し過ぎてウザイのよ。」
「んなわけねぇだろ。」

 何調子に乗ってんだよこいつは。
 俺はポカンとみさとの頭を軽く小突きながらそうツッコミを入れる。

 すると、そこで再びお姉さんが先程と同じ真剣な表情で口を開いた。

「知ってますか?中央大陸に行くことの出来る冒険者の条件。」
「条件?」

 あ、あぁ、いつかのエスタリたちが言ってた「等級が、中級上位以上」ってやつか?

「知ってるぜ、中級上位以上じゃないと行けないんだろ?――って、」
「そうなんです、」

 そこで物分りの悪い俺でもようやく気付いた。
 そう、俺たちの等級は下級上位。条件を満たすには、ここから更に2つ上がらないと行けないのだ。

「――でもよ?中央大陸に呼んできたヤツらは私らがまだ行けない等級って事、分かってるんじゃ無いのか?」
「た、確かに……!」
「じゃあなんで……」
「だから中央大陸の冒険者ギルドは皆様にある依頼を頼んできたんです。」

 お姉さんは静かにそう口にし、更にこう続けた。

「依頼内容は、村を救うこと」
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