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第78話【緊急集合】

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 それから気が付くと俺はまた今朝に戻っていた。

「おはようだハヤト。」
「お、おう。おはよう。」

 寝室から起きてきたマーニに俺は多少動揺しながらもそう返す。

 うぅ、先程目にしたファブリスを囲んでいた冒険者たちが距離を詰めてくる光景が脳裏に焼き付いてるぞ、


 だが、今はそんな事を言っている場合では無い。
 俺の経験した世界線通りなら、明日の祭りで襲われる。それに、ファブリスは「俺に関係する人間全員を殺す」そう言っていた。

 タイムリミットは明日まで。行動を起こすなら絶対に今日だ。
 だから俺はそこですぐにマーニへこう伝えた。

「マーニ、起きていきなりすまないんだが、朝ごはんを食べたらレイバーとイザベルを連れてウェイリスさんの屋敷へ向かって欲しい。俺はケティとセリエラを連れて向かう。」
「え?いきなりどうしたんだ?――……ッ!まさか明日ハヤトが死ぬとデスティニーレコードに記されている事をみんなに伝える気か?」

「気持ちは分かるが、前も言った様にそれがファブリス?と言ったか?そいつに知られてもまずいし、それにデスティニーレコードの事をみんなが信じるとは思えないぞ。」真剣な表情でそう止めてくるマーニ。

 確かにそうだろう、マーニの言っている事はごもっともだが、

「違う、そうじゃないんだ。まず俺は祭り当日から時間逆行タイムリープしてきた。それ前提で話すが――当日、俺含むケティやセリエラ。そしてマーニ。おそらくレイバーたちも全員殺される。」
「なっ、!?」

 するとそれを聞いた瞬間、マーニは人が変わったかの様に声を荒らげながら机を激しく叩いた。

「ど、どういう事だっ!?ハヤトだけでなく、ケティやセリエラたちまで……?それをする意味が分からないぞ!?」
「ファブリスによれば、「デスティニーレコードを持つ俺に関係する人間は全員殺す」と言っていた。狙いはやっぱりこのデスティニーレコードだったみたいだ。」

「は、ハヤトお前、ファブリスと話したのか?」
「あぁ、居場所はフレイラにある小さな病院だ。そこで医者をしている。」
「なんだと……それに、今「狙いはデスティニーレコード」だと言ったよな?でも、デスティニーレコードはハヤトと小生以外には読めないんじゃ――」
「いや、それは間違いだった。デスティニーレコードを読むことができる人間の条件は血の繋がりがあるという事。だからこれは俺の予想だが、ファブリスは俺たちと血が繋がっているのかもしれない。」

 こればかりは本当に俺の予想でしかないがな。
 でも、そうじゃないとデスティニーレコードを手に入れようとする意味が分からないだろ。デスティニーレコードが読める様になる魔法があるとも考えられないしな。

「……ッ!、正直小生は今いきなり色々な事を言われたから脳の整理が全く付いていない、」
「……あぁ。でも頼む。マーニはレイバーとイザベルを連れてウェイリスさんの屋敷に向かってくれれば良いんだ。そこで改めて説明をする。」
 
「……分かった。時間逆行タイムリープをしてきたハヤトに言われたら、従うしかないみたいだしな。」
「すまん、ありがとう。」

 そうして朝ごはんを食べた後、俺とマーニはそれぞれの人物を集める為に別れた。

 ♦♦♦♦♦

「――で、こうして集まった訳だけれど。ハヤト、何の話か説明してくれるかしら。」

 それから俺とマーニはそれぞれケティ、セリエラ、レイバー、イザベルを連れてウェイリスさんの屋敷へ向かい、中へ入れてもらった。

 そしてこれまで何度も入った大きなテーブルに沢山の椅子が並ぶご飯などを食べる部屋に入る。そこで全員が席に着いたところで早速ウェイリスさんがそう口を開いた。

「あぁ、分かっている。まずはみんな、いきなり呼んだのにこうして集まってくれてありがとう。ウェイリスさんもこうして屋敷に入れてくれてありがとうな。」

 さっき中へ入る時もこうして感謝したが、ここで改めて俺は頭を下げる。

「別にそれは良いわよ。明日はお祭りだしウェイリスも今日は休もうと思ってたから。」
「全くだぞっ!ハヤト!明日は祭りなんだぞ?こんな時にこうして集まってまで話す事があるのかよ!?」
「……落ち着いてくださいレイバー様。きっとハヤトさんにもなにか考えがあるのかと。」

「すまんなイザベル。そうなんだ。実はみんなに言っておきたい事がある。」
「言っておきたいこと?それは私やセリエラちゃんにも言ってこなかった様な事なの?」
「あぁ、そうだ。――だけど、言う前にひとつだけ約束をして欲しい。絶対、信じて欲しいんだ。」

 すると、対してレイバーはため息をつくと、

「なんだそんな事か。当たり前だろ?まだ付き合いは決して長くはないが――それでも色々な事を一緒にしてきただろう。それは信じてくれ。」
「そうよ、ウェイリスだってレイバーと同じ意見なんだから。」
「私とセリエラちゃんは、言わなくても分かるよねっ」

「……ッ!、ありがとう。じゃあ、言うぞ。」

 そこで俺はマーニと一度アイコンタクトを取ってから深呼吸をすると言葉を――

 ドシャンッッッッッッ!!!!

「「……ッ!?!?」」

 しかしその瞬間、ものすごい衝撃音と共に屋敷が激しく揺れた。
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