未来が分かるチートな日記を手に入れた〜だけど悲惨な未来が降り注ぐので、タイムリープで全力回避しようと思います!〜

カツラノエース

文字の大きさ
上 下
71 / 80

第71話【祭りの開幕】

しおりを挟む

『もし死にそうになっても過去に戻れば良い』『仲間が死ねば過去に戻って助ければ良い』と。そんな考えで全ての惨劇が終わった時、俺は一体幸せに生きられるのだろうか?

 前とは変わってしまった自分に俺はそう問いかける。
 しかし、だからと言って過去へ戻るのをやめる訳にはいかない。俺はこれから起こる惨劇からみんなを守るんだ……!!

 ――例え、自分が犠牲になったとしても。

 
「あ、ハヤトだっ」
「って、!?び、びっくりしたぞ。」

 と、そこでベンチにひとり座っていた俺に気が付いたケティがこちらへ近寄って来た。

「どうしたの?こんなところでひとりになってさ」

 さりげなく俺の隣りに座るケティ。

「いや、別になんでもない。これからの事を考えていただけだ。」
「ふぅん?そっかハヤト私たちのリーダーだもんねっ。よっ!頼れるリーダー!」
「はは、やめてくれよケティ。褒めてもリーダーからは何も無いからなぁ?」
「ふふっ――――で、ねぇハヤト?」

 するとそこでいきなりケティが声色を真剣にするとこう聞いてきた。

「今日、依頼が終わった後さ、『依頼は少し休もう』って言ってたじゃん?あれはどうしてなの?」
「あ、あぁあれか。」

 明日はデスティニーレコードの通りに行けば俺が死ぬ日。
 万が一それが依頼の途中で起きてしまえばマーニが傍にいない為過去へ戻れない。

 だからそうならない様に休みにしたのだが。

 マーニから言われている様に今はケティにはこの事を言うなと言われているしな。

「あれはだな、最近ケティもセリエラも疲れてると思って。――表情で分かるんだよなお前らの事。だからこの期間にゆっくり休んでもらおうと思っただけた。」
「ふ~ん?セリエラちゃんは分からないけど少なくとも私は全然大丈夫だけどなぁ」

「――もしくは、別の理由でもあるの?」
「え、?い、いや――」

 何の悪気無いケティの質問に俺は言葉を喉に詰まらせる。
 うーん、なんと言えば良いんだ……?

 しかし、そんな俺の表情をじっと見ていたケティがそこで顔をぱあっと笑顔にすると、

「あっ!!私分かったかも!!」
「……へ?」
「あれでしょ?明日のお祭りを楽しみたかったんでしょ?」
「祭り……?――あ、あぁ!それだ。」

 そうだ、確か明日は年に一度のフレイラ伝統の祭りの日だったな。

 だからそこで俺は急遽「祭りが休みを入れた理由」だとする事にした。

「確かに、お祭りの日は冒険者のみんなも依頼お休みしてるもんね。」
「そうだな、だから、わざわざその日にも依頼を受ける必要は無いと思ったんだ。」
「そういう事ねっ!」
「あ、あぁ」

 良かった、とりあえずは誤魔化せ――

「――でも、なにか本当に悩み事があるのならいつでも力になるからねっ」
「……ッ!!」

 最後にケティはそう言い残すとそのまま自分の家のある方向へ歩いて行った。

 ――あとから考え直してみれば、この時もう既に俺が何か思い詰めているという事をケティにはお見通しだったのかもしれない。

 ♦♦♦♦♦

 そして翌日。祭りの当日であり、デスティニーレコードに俺が死ぬと記された日。
 朝から町はお祭り一色のムードで個々の家や店が飾り付けをしていた。

「今思ったけどよ、この日は毎年こうやって祭りをしてるが一体なんの為にしてるんだ?」
「えーハヤト知らないのっ?今日は昔、フレイラを襲ってきた巨大なドラゴンが無事討伐された日なんだよっ」
「ふーん」
「なんだ?ハヤトはこの町にずっと住んでいるというのに知らなかったのか?」
「し、仕方ないだろマーニ!そういう情報には疎いんだよ!」

 そして、そんな町を朝から俺はケティ、セリエラ、そしてマーニと共に歩いていた。

 いや、分かってるさ。今言った通り今日は俺が死ぬとデスティニーレコードに記されている日だ。朝から外へ出歩くなんて確かに危ない。

 ――だが、早朝からケティとセリエラが家を訪れて来たんだよ。
 それに、2人はこの俺の事情をしらない。そりゃ断れねぇよな。

 まぁけど、安心してくれ。ちゃんと剣は持って来ているし、マーニにもこうしてついてきてもらっているからな。

 ――しかし、そこでケティがツッコんできた。

「あれ?そういえばハヤト、なんで剣を持ってきてるの?」
「……ッ!、ん?いや、はは。間違えて持って来ちまったんだよ。」

「ほらあるだろ?毎日持ち歩いてるせいでそれが必要無い日もついつい持ってきちゃうみたいな?」俺は自分のセリフにそう付け加える。

「あー確かに?無いことはないかな。でも、多分邪魔だと思うし家に置いてくれば良いんじゃない?重いでしょ?」
「い、いや、全然大丈夫だぞ?」
「ほんとに?」
「あ、あぁ――」

 っと、するとそこでマーニが助け舟を出してくれた。

「まあまあケティ。もしかすると祭りの途中にモンスターが乱入してくる可能性もゼロでは無い。持っていてハヤト自体が大丈夫だと言っているんだし、いいんじゃないか?」
「確かに、マーニさんの意見は一理ありますね。こういう、人が集まる時にこそ冒険者は気を引き締めるべきです。」

 お!いい事言うじゃねぇかセリエラ……!!

「確かに、それはそうかもっ!そうだね、じゃあハヤトは今日1日その剣で私たちを守ってよねっ」
「な、なんでそうなるんだよ!?ま、まぁ良いが。」
「ふふっ、冗談だよも~っ」

 こうしてフレイラでの年に一度のお祭りが始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

処理中です...