未来が分かるチートな日記を手に入れた〜だけど悲惨な未来が降り注ぐので、タイムリープで全力回避しようと思います!〜

カツラノエース

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第18話【魔法の力】

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 ウェイリスさんの背中を追いかけながらワンドール家の屋敷内にある長い長い廊下をしばらく歩いていると、時々扉はあったのだがその中でも特段大きな扉の前で止まり、

「今開けるわね」

 ウェイリスさんはそう言うとトントンと軽く2回ノックをした。
 なんだ?中にメイドでもいるのだろうか。(まぁいくら屋敷と言ってもこんな小さな町だ、さすがに無いだろうが。)
 しかし、そんな俺の予想を良い意味で裏切る。

 門同様に紫の魔法陣が扉の中心に現れると、まるでウェイリスさんの指示に従うかのようにゆっくりと開いた。

「こんなところにも魔法を使っているのか……!!」
「えぇ、入り口からウェイリスたち以外の人間は見ていないでしょう?この屋敷全体には様々な魔法がかけられていて全ての事を魔法でしてもらえるのよ。」

 確かに、こんなにも大きな屋敷にしてはやけに静かだとは思ってはいたが、本当に誰も居ないんだな。――――って、ん?待てよ?

 そこで俺はひとつの事に気が付く。
 じゃあウェイリスさんの両親はどこにいるんだ?

「なぁ、ちなみにだがウェイリスさんの両親は今はこの屋敷には居ないのか?」
「ん?あぁ、そういえば言ってなかったわね。さっきウェイリスの家系はずっと冒険者一筋って言ったじゃない?」
「言ってたな」
「それでウェイリスのお父様もお母様も冒険者をしているのだけれど、2人はこの町でしているという訳じゃなくて、色々な町を回って依頼を受けたりしてるのよ。」

 へ~そうなのか。まぁでも考えてみたらそりゃそうだよな。この付近の森や洞窟に出現するモンスターはどれだけいってもオーガクラスが最大だ。そんなところに上級レベルの冒険者が居る方がおかしいんだよ。

「ちなみに2人は強いのか?」
「えぇ、まぁウェイリスに比べればあれだけど、普通に魔法の扱いにたけていてお父様もお母様も強いわ。」
「なるほどな」

 やっぱりワンドール家の中でもウェイリスさんは強い方なのか。

 すると、そこでウェイリスさんは手をパンパンと注目を集める様に二度叩く。

「さぁ、こんなところで立ち話をしていてもしょうがないでしょう?扉も空いてるんだし入りましょ」
「あ、そうだったな。」
「もーそうだよぉ」「ハヤトさんとウェイリスさんが話している時はそこにひとつの世界が出来ているようで会話に入りにくいんですよね、」
「すまんすまん、」

 そうして俺たち3人はウェイリスさんの後に続いて部屋へ入る。

 するとそこはどうやら招き入れた客人たちと食事をする部屋らしく、真ん中に豪華な長テーブルと椅子が設置されていた。
 この部屋にも相変わらずシャンデリアや誰が描いたのかは分からないがとりあえずめちゃくちゃ上手い絵などが飾られている。

「凄いな、ここだけ見れば本当に城だぞ。」
「そうかしら?ウェイリスはこういうのより酒場とかのガヤガヤした感じの方が好きだけれど。まぁ良いわ。適当なところに座って頂戴。」

 それはずっとこんなところで暮らしてきたから慣れてるだけじゃないのか……?俺は羨ましくて仕方ないぞ……

「あ、あぁ。じゃあ座るか。」
「うんっ」「はい」

 そうして俺たち3人は並ぶようにして座る。すると、ウェイリスさんはその正面に座った。
 位置を簡単に言うと、左からケティ、俺、セリエラの順番で座っていて、ウェイリスさんは俺の真ん前だ。

「実は屋敷に入った時に料理を作る様から、もうそろそろ運ばれて来るはずよ。」

 ウェイリスさんはそう言う。

「指示?指示って誰にするんだ?」

 そんなここに来るまでに誰かと話している場面は無かった気がするが……というか、この屋敷には俺たち以外人間が居ないって言ってたのはウェイリスさん自身だっただろ。
 しかし、その質問に対してウェイリスさんはきょとんとすると、それが当たり前かのように、

「誰って、屋敷に決まってるじゃない。」
「へ、?や、屋敷に指示をしたってのか……?まぁ確かにさっき全ての事を魔法でしてもらえるとは言っていたが、料理まで?」
「掃除に洗濯に料理。何から何まで全部魔法よ。――あ、ほら来たわ。」

 そういうとウェイリスさんは扉の方に視線を向ける。
 俺たちも直ぐにそれを追いかける様に振り返ると、そこには皿に乗った数々の料理が独りでに宙を浮遊しながらこちらへ向かって来るという意味の分からない光景が広がっていた。って、!?なんだよこりゃ、!?

「マジで言ってんのか……!?」
「マジもなにも大マジよ。これは浮遊魔法フライを少し応用した物ね。この様な感じで、屋敷自体と契約魔法コントラクトを結んでいるからどんな事もこうして魔法でしてくれるの。」
「ほんとに凄いな……」
「これらは全部、クレプスキュール家の人が教えてくれた物なのよ?だから凄いのはハヤトのご先祖さまね。」
「そう、なのか。」

 やっぱりクレプスキュールと言ったら俺や父みたいに魔力の扱いにたけていない人間を思い浮かべてしまうからいくら先祖が凄いと知っても中々実感は湧かないな。

「さ、運び込まれてきた事だし、冷めないうちに食べましょ!」

 全ての食べ物が運び込まれて来たところでウェイリスさんはパンと手を叩くと笑顔でそう言う。

 そこにはピザやローストビーフにロブスターと美味しそうな料理が並んでいる。

「まぁ、そうだな……!!」
「だねっ!」
「ですね、食べられる時に食べましょう。」

 おいおいセリエラよ、落ち着いた口調でそう言ってても口からヨダレが垂れてるぞ。正直に美味しそうだから早く食べたいと言えば良いのに。
 それに、俺も実はさっきから結構お腹も空いてるしな……!!

「「いただきますっ!!」」

 こうして俺たちは食事の時間を楽しんだ。
 ちなみにめちゃくちゃ美味かった。
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