スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース

文字の大きさ
上 下
75 / 98
第二章[グーネウム帝国編]

降臨

しおりを挟む

「あれはまさか……!」
 ラークは目の前に広がる広大な草原を指さしながらそう言う。その声に俺たち冒険者は反応し、その方向を見ると、そこには巨大な黒い影がこちらへ向かって来る姿があった。

「遂に姿を現しやがったな……!」
 俺は向こうからこちらへゆっくりと向かってくる巨大な黒い影を見ながらそう呟く。そう、この黒い影の正体こそが、今俺たちが立ち向かおうとしている漆黒龍ブラックドラゴンだった。
「よし!冒険者ギルドで説明した通り、テツヤとセリヤ以外の冒険者は、俺に着いてきてくれ!」
 ラークは漆黒龍ブラックドラゴンの姿が見えたというのに、全く動揺している素振りは見せず、すぐに俺たちに指示を飛ばした。

 そのおかげで、
「お、おう!」「よっしゃ!ぶちかましたろかい!」
 実際に漆黒龍ブラックドラゴンの姿を目にして、怖気付いていた冒険者たちも、取り乱さずに作戦通りの動きをしだした。
「すげぇな、あいつ。まるで百戦錬磨のベテラン指揮官みてぇだよ。」
「えぇ、全くね。」
 別行動(と言っても別に遠くに離れる訳では無いが)の俺とセリヤは、スムーズに指示を飛ばすラークを見ながらそう会話を交わす。

 すると、ある程度指示をし終えたところで、ラークは俺とセリヤの方を向くと、
「俺たちは準備OKだ!まずはこっちから魔法を放ち、漆黒龍やつの気を引く、その後に二人は仕掛けてくれ!」
 俺たちにもそう指示を入れた。そうだよな……俺たちが決めねぇと作戦が台無しになるんだもんな……
「よっしゃ!任せとけ!」
 俺はラークの方に拳を突き出すと、力強くそう返した。

 そこから俺たちは、漆黒龍ブラックドラゴンが魔法の射程圏内に入るまで、息を潜めていた。
「……」
 ドスン、ドスンと時間が経つに連れて音がデカくなってくる。漆黒龍ブラックドラゴンはもう、俺たちから30メートル付近まで歩いて来ていた。これくらいまで近くに来ると、前の世界の様に街灯の無い草原でも、姿が明確に見える様になってくる。

 漆黒龍ブラックドラゴンは、背中に巨大な羽を生やし、身体は黒い鱗で覆われていて、目は紅く燃えていた。
 ある程度予想はしていたが……これは想定以上の迫力だぜ……ラーク、一体いつ魔法の指示を出すってんだよ……!?
 俺はゆっくり、しかし確実に距離を縮めて来ている漆黒龍ブラックドラゴンに対する恐怖で、今すぐにでも魔法を放ちたい気分だった。
 だが、ここで俺がそんな自分勝手な行動をしてしまうと、この作戦が台無しになっちまう……はぁ……トドメ役は辛いぜ。まぁ気を引きつける他の冒険者の方が辛いし怖いとは思うけどよ。

 するとその時、「ふぅ……」ラークはそう深く深呼吸をすると、
「今だ!放てッ!!」
 一気に立ち上がり、20メートル程先にいる漆黒龍ブラックドラゴンを指さすと、大声でそう言い放った。
 その瞬間、ラークの指示通りに綺麗に整列していた冒険者たちが一斉に立ち上がり、
「燃え上がれ、ファイアブラスター!!」
「全てを飛ばせ、スーパーウィンド!!」
「落雷よ嘶け、サンダーボルト!!」
 そう口々に呪文を唱えると、各自の杖から魔法を放つ。

 それに対して漆黒龍ブラックドラゴンはいきなりの出来事に対応する事は出来ず、そのまま冒険者たちの魔法を全て食らった。
 その瞬間、みんなの放った魔法が漆黒龍ブラックドラゴンに当たると一斉に爆発、俺たちの方へ強烈な爆風が来ると共に、砂煙が漆黒龍ブラックドラゴンの身体を覆った。

「やったか!?」
「魔法が当たったぞ!こいつの身体、霧なんかじゃねぇ!」
 その光景を目の当たりにした冒険者たちは、口々にそう声を上げる。そしてそれに続くように、
「俺たちも行くぞ!」
 魔法を放たずに、後ろで待機していた剣を使う冒険者たちがそう口走ると、未だに砂煙で身体の見えない漆黒龍ブラックドラゴンの方へ走って行こうとする。

 いや、その行動はダメだ……!まず、漆黒龍ブラックドラゴンの身体が砂煙で隠れている間は、本当に今の攻撃が効いたのかどうかなんて分からないんだぞ!?俺は直ぐに、
「おい!お前ら――」
 そう冒険者たちを止めようとする。しかし、俺が止める前に、
「お前ら、待て!!」
 ラークがそう叫ぶ。その顔は、明らかに焦っていた。
「なんでだよ!だってこいつはもう――」
 対して剣を使う冒険者たちは、そうラークの言葉に反論し、漆黒龍ブラックドラゴンの方を見る。

 するとそこには――
「って……!?」
 砂煙を切り裂いて、俺たちの方を睨みつける漆黒龍ブラックドラゴンの姿があった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

異世界をスキルブックと共に生きていく

大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

処理中です...