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第二章[グーネウム帝国編]

偵察

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「で、とりあえずみんなで漆黒龍ブラックドラゴンを倒すことになったのは良いが、今から行くのか?」
 みんながある程度静かになると、俺は冒険者ギルド全体に聞くようにそう言う。すると、
「いや、それはまだです。」
 少し離れたところに居た受け付けのお姉さんがそう言った。
 ん?なんでまだ行っちゃダメなんだ?
 俺は先程のセリフは、今から行くか少し時間が経ってから行くか、という質問はそこまで必要では無く、これから漆黒龍ブラックドラゴンと戦うにあたって、どれだけ士気があるのかという確認の方が大きかった。

 だから、正直受け付けのお姉さんに止められたのは予想外だった。
「なんで今から行っちゃダメなんだ?出来るだけ早く止めに行った方がいい気がするんだが?」
 俺はお姉さんの方を向くとそう言う。――ん?さっきはみんなに今行くか後から行くか聞いてた癖に、めちゃくちゃ今すぐ行きたいじゃねぇかって?いや、確かにそうだけどさ!
 さっきも言ったがこんな風に止められるとは思って無かったんだよ!

 すると、俺のセリフを聞いたお姉さんはこう言った。
「確かに早めに漆黒龍ブラックドラゴンの進行を止めるのは良いと思います。ですが、まだ偵察の方たちから何も連絡が無いので。」
「偵察の方たちから連絡が無い?それってどういう事だ?」
 俺がお姉さんにそう言うと、すぐに説明を始めた。

 俺が聞いた内容を分かりやすく翻訳すると、「あんたらが来る前に漆黒龍ブラックドラゴンを偵察しに行った冒険者たちがおるんや、やからその冒険者たちからの情報が来るまでは冒険者ギルドに居てくれ。」って感じだ。――ん?あぁ、なぜ関西弁なのかは気にすんな。
「なるほど……確かにその冒険者達からの情報が無いのに俺たちががむしゃらに行くのも危険かもしれないな……」
 お姉さんの説明を聞いた俺は、腕を組みながらそう言う。

「じゃあ、まだ行かないって事で良いかしら?」
 横にいたセリヤが、俺にそう確認してくる。
「あぁ、それはそうだが……」
「分かったわ。みんな!まだすぐには行かないみたい!」
「「了解!」」
 ……なんだよこれ

「な、なぁ」
 俺は誇らしげに腰に手を当て、みんなにセリフを放っていたセリヤにそう声を掛ける。
「ん?なに?」
「質問なんだが――」
 俺はそこで、さっきから思っていた事を言った。
「なんでさっきから俺が全てを決める司令官みたいになってるんだよ!!」
 その瞬間、みんなからの視線が一瞬で集まった。――ん?今のセリフおかしかったか?

「……いや、テツヤ以外にリーダーっぽい人が居ない気がするのだけど……」
 いや、なんでそれで俺がリーダーになるんだよ!?っていうか俺もリーダーっぽくねぇって!
「いや、俺以外にもリーダーぽい人は居るだろ」
 俺はセリヤにそう聞くが、
「居ないわよ。テツヤ、ちゃんとみんなの顔見た~?」
 セリヤは周りを見渡しながらそう言った。って!?そのセリフここに集まってくれてる全員をバカにしてるよな!?

「とにかく!俺がリーダーなのはなんか嫌だ。」
 俺はセリヤにそう言った。だって今まで会社で雑に扱われたり、異世界転生しても全然リーダー的な立ち位置じゃあ無かったのに、いきなりこんな大勢をまとめるのは無理だし、なんか嫌だからな。
 すると、そのセリフを聞いたセリヤは、「たく、わがままなブサイクね」そう言ってから、(なんか話の流れ的にスルーしなくちゃダメな雰囲気出てるが、めちゃくちゃ腹立つぜ……)
「じゃあ、テツヤ以外にリーダーしたい人いるかしら?」
 周りを見渡しながらそう言った。

 すると、
「じゃあ、俺がやっても良いか?」
 一人の冒険者がそう言った。
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