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第一章[ミリゴ編]
別れ
しおりを挟む「セリヤ、俺はお前を信じてる。」
俺は自分の中で覚悟を決めると、セリヤの方を向いてそう言った。
するとそれを聞いたセリヤは、キョトンとした顔で、
「いきなりどうしたのよ?こんな絶対絶命の時に。」
首を傾げながらそう言う。
絶対絶命か、確かにそうかもな。
俺はいつもより、もう一段と落ち着いた声で、
「今から俺がファイアボールで正面の道をこじ開ける。
だからお前はそのまま進んでくれ、ゴブリンキングを倒すんだ。」
そう言った。
するとそれを聞いた瞬間、
「な!?テツヤ!?何言ってんのよ!?」
セリヤがそう驚いたように声を上げる。
……まぁ正直こんな反応をされると思ってたがな。
お前らも俺の意見に対して疑問を持っている事だろう。
ゴブリンキングの方にセリヤ一人だけで行かせて、死なせる気かってな。確かにその意見は一理ある。だがな――
俺は動揺を隠しきれていないセリヤに対して、
「俺たち全員でここを切り抜けるには時間が掛かりすぎる。その間にミリゴに押し寄せたゴブリン達が人を襲うかもしれない。
だから俺とオーラでこのゴブリン達を食い止める。その間にセリヤは進むんだ。」
そう理由を話した。
しかし、当然まだセリヤは、
「勝手な事言わないで!オーラはそれでも良いの!?」
怒った様にそう言う。
確かにこの作戦で行くと、ローズオーラも俺と一緒にここに残ってゴブリン達を倒す事になる。
だから、ここでローズオーラが反対したら、俺はこの作戦を実行するのは辞めようと思ってる。
この作戦には、全員に危険が伴うからな。
しかし、さっきから黙って俺とセリヤの会話を聞いていたローズオーラは、
「我もその方法が一番良いと思う。」
そう言い、俺の意見に賛成した。
「ッ!......」
ローズオーラの意見を聞いたセリヤは、予想外の回答に驚きを見せる。
そして、ローズオーラのセリフに続く様に俺も、
「セリヤ、俺たちはここに居るゴブリン達を全員蹴散らしたら直ぐにそっちに行く。信じてくれ。」
そう言った。
するとそれを聞いたセリヤは、少し黙って考えた後、
「......分かったわ。」
そう言い、俺の作戦に乗ってくれた。
「その代わり!絶対死なないでよ!」
セリヤは、俺とローズオーラに強くそう言う。
コイツ俺たちの事ばっか心配してるじゃねぇか。
「それはお互い様だろ?」
俺は笑いながらセリヤにそう返す。
するとセリヤは、
「私は死なない!お父さんとお母さんの仇をとるまでは死ねないんだから!」
力強くそう言った。
……なら大丈夫だな。
俺はセリヤがいつも通りな事に安心すると、
「よし!じゃあお前らは伏せとけ!俺が道をこじ開けてやるよ!」
そう言い、道を塞いでいるゴブリン達の方へ、杖を向けた。
そして、
「草木を燃やせ、ファイアボールッ!!」
先程と同じ様に、ゴブリン達の足元でファイアボールを地面に落とし、爆発で一気に吹き飛ばした。
よし!道は開けた!
「よし!セリヤ!道が開いたぞ!行け!」
俺はそうセリヤに言う。
「えぇ!」
セリヤも俺の言う通りに、奥の道へと走って行く。
しかし、
「ギャギャギャァァァ!!」
直ぐにゴブリン達は先に進もうとするセリヤに襲いかかる。
だが、俺とローズオーラが、簡単にセリヤを襲わせる訳が無い。
俺は杖を構え、
「草木を燃やせ、ファイアボールッ!!」
セリヤに襲い掛かるゴブリンの足元を吹き飛ばし、
ローズオーラは、
「たぁぁぁ!!」
反対側のゴブリンを拳で吹き飛ばした。
「行け!セリヤ!」
俺は別のゴブリンの方へ杖を向けながらそう叫ぶ。
するとセリヤは、
「絶対に私がゴブリンキングを倒すわ!」
そう言い、奥へと走って言った。
よし……!ここからが正念場だな……!
信じてるぞ、セリヤ......!
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