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第一章[ミリゴ編]
紡がれた想い
しおりを挟む「行くぞセリヤ、オーラ。」
俺はハチマキを巻いた冒険者の言う通り、先に続く道の方へ歩き出す。
「ちょ、ちょっと待って!アイツらは大丈夫なの?」
セリヤがゴブリンを倒しながら聞いてくる。
しかし俺は、
「アイツらは俺たちに託してくれたんだ。だから今は進むぞ。俺たちが討つべき敵はもうすぐそこだ。」
そう言った。
俺は今まで頼られる様な人間じゃなかったが、やっとみんなを守れる存在になれたんだ。
だから俺たちはここでいつまでもゴブリンを倒している場合じゃない。
早くゴブリン達のリーダーであるゴブリンキングを倒さないと、ミリゴの人達がゴブリンに襲われてしまう。
すると、俺のセリフを聞いたセリヤは、
「......分かったわ。」
そう言い、ずっと黙って聞いていたローズオーラも、
「よし、じゃあ行くか!」
そう言ってくれた。
よし、じゃあまずは奥の道を塞いでいるゴブリン達を吹き飛ばすとするか。
俺は道を塞いでいるゴブリン達の方に杖を向けると、
「俺がアイツらの目を眩ませる。だからセリヤとローズオーラは、その隙にゴブリン達を蹴散らしてくれ。」
二人にそう言い、
「光を放て!シャイニングボール!!」
ゴブリン達の頭上に向けてシャイニングボールを放った。
それに合わせてセリヤとローズオーラは前に出る。
そしてシャイニングボールがゴブリン達の頭上で爆発し、光を放って目を眩ませた瞬間、
「はぁぁぁ!」「たぁぁぁ!」
セリヤとローズオーラが同時攻撃。
奥の道を塞いでいたゴブリン達を蹴散らした。
よし!この隙に……!
俺は杖の構えを解くと、直ぐにセリヤとローズオーラの方へ走った。
「テツヤ!ゴブリン達が追いかけて来るわ!急ぎましょ!」
俺にそう言うセリヤ。
んなこと分かってるよ!
俺は急いで奥で待っているセリヤとローズオーラの所まで行くと、
最後に後ろに振り返り、ゴブリンに囲まれながらも必死に剣を振るうハチマキを巻いた冒険者に、
「お前ら!死ぬなよ!!」
そう叫んだ。
すると、ハチマキを巻いた冒険者は頭から血を流しながら笑い、
「ゴブリンキングが死んだ事を知るまでは死ねるかよ!!」
そう言った。
たく……アイツらは違う意味で俺たちより強ぇよ。よし!俺たちも頑張らねぇとな!
俺はアイツらの気合いに感心すると、そう自分に喝を入れ直し、
「よし!じゃあ行くぞ!ゴブリンキングはすぐそこだ!」
セリヤとローズオーラにそう言った。
「はぁはぁ......」
ハチマキを巻いた冒険者と別れて3分位が経ったが、さっきの場所とは大違いで、ゴブリンキングどころかゴブリン達の気配さえ無かった。
本当にこの先にゴブリンキングが居るのか?
俺は走った事による疲労で息を荒くしながらそう思っているとそこでふと、ゴブリンキングがどんな奴なのかに疑問を持った。
キングって付いてるくらいだから王様みたいに豪華な感じなのか?
俺は頭の中で考えてみるが、やはり想像が出来なかった。
いや、だってゴブリンって小汚い卑怯な奴らってイメージじゃん?だからそんな奴が豪華って想像つかなかったんだよ。
「なぁセリヤ、ゴブリンキングってどんな奴なんだ?」
俺はそう前を走るセリヤにそう聞く。
200年生きている(多分)ローズオーラなら見た事がある可能性が高いからそっちに聞いても良かったのだが、なんか信用ならないんだよな。
この気持ち、ここまでずっとこの物語を読んでるやつなら分かってくれるか?
すると俺の質問を聞いたセリヤは、
「私もこの目で見た事が無いからよくわからないけど、全身に鎧を纏っていて、王冠を被っているとは聞いた事があるわ。」
そう答えた。
なるほど、鎧を纏っていて王冠を被っている。かぁ、本当に王様みたいな奴だな。
「なるほどな、教えてくれてありがとよ。」
俺はゴブリンキングの特徴を教えてくれたセリヤにそう礼を言った。
その時、
「おい、テツヤ!セリヤ!前見ろ!」
いきなりローズオーラがそう声を上げた。
「ん?」
たく、いきなりどうしたってんだよ。
俺は直ぐにローズオーラの言う通り前を見る。
するとそこには、
「ギャギャギャァァァ!!」
大量のゴブリン達が、こっちに走って来ている光景があった。
「な!?」
やっと現れやがったな……!
たく、さっきまで気配すら無かったのに。
コイツらは隠れ身の術でも持ってるのかよ!
俺はいきなりの事に少し戸惑ったが、直ぐに走る足を止め、ゴブリンの方へ杖を向けた。
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