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第一章[ミリゴ編]
解放の条件
しおりを挟む「じゃあお前が我との勝負に勝ったら解散してやろう!」
レグル山賊を解散してくれと言った俺に、ローズオーラはそう返した。
勝負?一体何するって言うんだよ。
「勝負って何するんだ?」
俺は両手を腰に当てて、( ¯﹀¯ )をしているローズオーラにそう聞く。
するとローズオーラは元気良く、
「追いかけっこ!」
そう言った。
完全にガキじゃねぇか……
「ルールは?」
「我に一度でもタッチ出来れば、そっちの勝ち、レグル山賊は解散してやる!でもタッチ出来なかったら我はレグル山賊を続ける。どうだ?」
……なるほど、確かに追いかけっこだな。ルール的にも問題は無いが――
「そんな簡単な事でレグル山賊を解散させても良いのか?」
俺はそう思っていた事を言った。
だって自分がリーダーである組織を追いかけっこの勝敗程度で解散させなきゃいけないかもしんないんだぜ?普通そんなハイリスクな条件出さんだろ。
しかしローズオーラは、
「簡単?残念だが我に触れるのは至難の業だぞ!」
相変わらずのドヤ顔でそう言った。
まぁ、相手が良いなら俺は大丈夫だが。
「よし、じゃあさっさと始めるぞ!」
俺は気合いを入れ、そう言う。
すると、そのセリフを聞いたローズオーラは、
「よし、じゃあスタート!何時でも良いよ!」
そう言った。
こうして俺とローズオーラの[レグル山賊解散を賭けた追いかけっこ]が始まったのだった。
「テツヤ~!さっさと終わらせちゃって!」
公園の入り口辺りで、呑気にそう言うセリヤ。
くそ、相手が子供だった瞬間、男と一緒に遠くで見守りやがって!ちょっとは手伝えよ!
「はぁ……」
まぁ良い、さっさと終わらしてやる!
「行くぞ!」
俺はそう声を上げると、地面を力一杯蹴り、ローズオーラに向かって走り出した。
しかし、俺が近づいているというにも関わらず、ローズオーラは、何故か俺から逃げようとはしなかった。
ん?なんでだ?マジでタッチしちまうぞ?
俺はそのままローズオーラの目の前まで来て、手を伸ばす。
しかし、やはりローズオーラは逃げようとしなかった。
まぁ、コイツが何を考えているのかは知らんが、勝負は勝負だ。遠慮なくタッチさせて貰うぜ!
「もらったぁぁぁぁ!」
俺はそう声を上げてローズオーラに触れようとした、次の瞬間――
「ぐぁ!?」
俺の腹を突然ものすごい衝撃が襲った。
そのまま俺は後ろに吹き飛び、砂場に落ちた。
はぁはぁ……いってぇ……この野郎……!
「おい!蹴るなんて聞いてないぞ!」
俺が倒れたのを見てゲラゲラと笑うローズオーラにそう怒鳴る俺。
しかし、ローズオーラは全く悪びれている様子は無く、
「蹴らないなんて言ってないぞ?」
そう言ってきた。
く……このクソガキ!!
「じゃあ、やってやるよ!」
俺はそう言うと、痛む腹を押さえながら立ち上がり、もう一度ローズオーラの方へ走り出した。
しかしやはり、
「ぐっ!?」
先程と同じ様に、ローズオーラの蹴りが俺の腹に飛んできた。
だが、
「クッ!」
先程と同じでは無い!
俺は蹴られて吹き飛ばされそうになる身体を何とか抑え、必死にローズオーラのほうへと腕を伸ばした。
しかしそれでも、
「ぐぁ!?」
ローズオーラが放ったもう一発の蹴りで、俺は吹き飛ばされた。
この光景を見ていたセリヤは思わず背中の剣を抜こうとする。しかしそれを見たローズオーラは煽る様に、
「ここで別の人間が割り込んできたら反則だぞ?」
そう言い、セリヤの動きを止めた。
「はぁはぁ……」
流石にヤバいな……
俺は痛む身体を何とか押さえながら立ち上がる。
「どうした?こんなものなのか?」
対してローズオーラは、まだまだ余裕と言う感じだった。
仕方ない、卑怯になるからあまり使いたくは無かったが……この際しょうがない。
アレを使うか。
このままでは勝てないと思った俺は、地面に置いてあった杖を拾うと、
「この手はあまり使いたくは無かったが……仕方ない」
そう言い、ローズオーラの方に杖を向け、
「草木を燃やせ、ファイアボール!!」
杖から火の玉を放った。
いや、やり過ぎと思うかもしれないが、仕方ないんだよ!
分かってくれ!
俺は内心「当たったら危ないから避けてくれ」と願いながら火の玉を見る。
別に当てなくても、少し相手を怯ませられれば良いからだ。
しかし、ローズオーラは避ける気配は無く、飛んでくる火の玉の方に右手を伸ばすと、ニヤリと笑い、
「魔法消滅」
そう言った瞬間、俺の放った火の玉は一瞬にして消滅した。
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