スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース

文字の大きさ
上 下
20 / 98
第一章[ミリゴ編]

ファイアーブレス

しおりを挟む

「これなら行けるぞ!」
 俺はそう叫び、はぁはぁと荒く息をしているサラマンダーに杖の照準を合わせる。
 そして、ファイアボールの呪文を唱えようとした、その時、

 何故かサラマンダーがいきなり大量の空気を吸い出した。
 この意味不明な行動に、俺は手が止まってしまう。
 しかし、セリヤはサラマンダーのこの行動が何を意味しているのかに気付いたらしく、俺に対して
「テツヤ、危ない!」
 そう叫び、被さるようにして俺を地面に押し倒した。

 それと同時に、空気を身体の中に貯めきったサラマンダーは、
「ブォォォォォォ!!」
 全ての空気を吐き出す様に、炎のブレスを放った。



 サラマンダーが放ったブレスは10秒程経ってから止まった。
「く……」
 くそ、炎の煙でよく見えねぇ……ってそんな事より、セリヤ!
「大丈夫か!」
 俺は、自分を庇う様にして俺を押し倒したセリヤの方を見ながらそう叫ぶ。

 すると、俺の横で倒れていたセリヤは、
「えぇ、背中と足に火傷を負っちゃったけど、何とか大丈夫よ」
 火傷した部分を押さえながらそう言った。

 火傷だって……?怪我したのか!?
「見せてみろ!」
 俺はすぐに立ち上がると、セリヤの方に駆け寄って行き、傷口を見る。

「……ッ」
 確かに死ぬレベルの火傷では無さそうだが、背中の服は熱で破れて、痛々しい背中が丸見え、足の火傷も酷く、とても戦える状態では無かった。
 ……クソったれが、サラマンダー、絶対に許さねぇ……

 俺はセリヤに、
「お前は休んどけ」
 そう言って立ち上がると、真っ赤な目を鋭く光らせているサラマンダーの方を見る。

 そんな俺にセリヤは、
「でも、テツヤだけじゃ......」
 そう言って立ち上がろうとするが、やはり足の火傷がよっぽど痛いんだろう、立つことが出来ていなかった。
 ……たく、どんだけ頑張るんだよ……お前。

「大丈夫だ。俺はこんな所では負けねぇ」
 俺は何とか立ち上がろうとしているセリヤにそう言うと、
 サラマンダーの方に杖の照準を向けた。そして一言、こう言った。
「来いよ。」

 瞬間――
「しゃァァァァ!!」
 サラマンダーは、一直線に俺の方へと飛んでくる。
 対して俺は、「ふぅ……」と覚悟を決めるように息を吐くと、
「耐えてくれよ……!」
 杖にそう願い、手に力を入れる。
 そして――
「草木を燃やせ、ファイアボール!!」

 向かった来るサラマンダーに火の玉を放った。
 しかし、もちろんそんな単純な攻撃が当たるはず無く、サラマンダーは、身体を横に逸らして俺の攻撃を避けた。
 だが、そんな事分かりきっている事だった。先程はセリヤと二人で戦っていたからこそ攻撃を入れる事が出来ていたが、今は1対1だ。
 だから俺は――

「まだまだだ!草木を燃やせ、ファイアボール!!」
 連続でファイアボールを放った。
 するとサラマンダーは、俺の連続攻撃を予想していなかったのか、
「しゃァ!?」
 直撃はしなかったものの、攻撃を当てる事が出来た。

「まだまだ!!」
 だが、俺はこんな所で攻撃の手を止める気は無かった。

 その後も俺は、何度も何度もファイアボールを撃ち続けた。
 サラマンダーは、そんな俺の連続攻撃を最初こそは避けていたが、体力が切れてきたのか、次第に避ける事が出来なくなっていた。

 よし……!あと少し……!
 今に来るまで、恐らく20発以上ファイアボールを放っていた。
 体力的にももう限界に近かったが、体力が無くなるまでにはサラマンダーを倒す事は出来そうだった。
 しかし、杖はもう限界だった。
 バキバキとヒビが入り始めたのだ。
 
「なっ……!」
 クソっ……何とか持ってくれ!
 俺は必死にそう願ったが、残念ながらその思いは届かず、杖は、ファイアボールを放った直後に、真っ二つに割れた。

「クソが……」
 それと同時に俺の体力も限界に達し、地面に膝を着いてしまった。
「くそ……あと一撃入れば……」
 俺は、そう言いながらボロボロになったサラマンダーの方を見る。

 サラマンダーは先程と同じ様に、大量の空気を吸い込み始めていた。
 くそ……負けた……ここで俺は死ぬんだ……
 俺は完全に戦意喪失し、地面を叩いた。
 しかし、まだは諦めてはいなかった。

「はぁぁぁぁぁ!!!」
 セリヤは火傷で痛む身体を何とか起こし、なんと弱っているサラマンダー目掛けて剣を投げたのだ。
 俺もセリヤのその声を聞いて投げられた剣に気付いた。
 瞬間――
「行っけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 俺は自然とそう叫んでいた。

 すると、その剣は俺たちの喝に押されたのか、勢い良く飛んで行き見事サラマンダーの頭に突き刺さった。瞬間――
「しゃァァァァァァ!!」
 サラマンダーはそう断末魔を上げ、身体からブレスを爆発させた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

勇者PTを追放されたので獣娘たちに乗り換えて楽しく生きる

まったりー
ファンタジー
勇者を支援する為に召喚され、5年の間ユニークスキル【カードダス】で支援して来た主人公は、突然の冤罪を受け勇者PTを追放されてしまいました。 そんな主人公は、ギルドで出会った獣人のPTと仲良くなり、彼女たちの為にスキルを使う事を決め、獣人たちが暮らしやすい場所を作る為に奮闘する物語です。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

処理中です...