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24.魔物
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「アンジェリア、無事か!」
大きな影は、アンジェリアに近づいてくる。
アンジェリアがゆっくりと顔を上げると、そこにはベルナルドの姿があった。
「だ……旦那様……?」
信じられない思いで、アンジェリアは目を見開く。
ベルナルドが法力で魔物を叩き落したらしいと気づくと、安堵のあまり、力が抜けてその場に崩れ落ちそうになってしまう。
だが、ふらついたアンジェリアを、ベルナルドが支えた。
「様子がおかしかったから、後をつけてきたんだが……とんでもないことになったな」
床に倒れこんで絶命している魔物を見下ろしながら、ベルナルドは忌々しそうに吐き捨てる。
ビビアーナと男たちに緊張が走り、重々しい雰囲気が漂う。
「おまえたちが何をしようとしていたかの詮議は、後回しだ。それよりも、結界が急激に崩壊を始めた。もう間もなく、町の中にも魔物が侵入するだろう」
「ど……どうして、そんなに早く……あたくし、まだ……」
ベルナルドの宣告に、ビビアーナが顔面を蒼白にして呟く。
まだビビアーナは調整役になれるまでの訓練を積んでいない。この場でアンジェリアをいたぶろうとしていたのも、まだ余裕はあると高をくくっていたからだ。
混乱するビビアーナに、ベルナルドは冷めた目を向けて、ため息を漏らした。
「邪な心で法力を使っただろう。まだコントロールもろくにできないくせに、こんな結界が崩壊しかけた場所で使うから、魔物を招く道を作り出してしまったんだ」
ビビアーナが作り出したつもりの小結界は、実際には機能を果たすどころか、この地の結界を傷つけてしまい、魔物を招く道しるべとなっただけだった。
この地の結界とビビアーナの法力の質が似ているために、共振してしまい、崩壊を早めることになってしまったのだ。
そこにアンジェリアを貶めようという思いが魔物を引き寄せ、招き入れてしまった。
もし、ビビアーナの法力の質が違うか、完全にコントロールできていれば、結界の崩壊を早めることはなかっただろう。そして、アンジェリアに対する負の感情がなければ、魔物を招くこともなかったはずだ。
「そ……そんな……あたくしの、せい……?」
愕然としながら、ビビアーナはか細い声で呟く。
「残念だが、崩壊を早める引き金を作ったのは、確かだな」
「あ……あたくし……そんなつもりじゃ……」
ベルナルドがきっぱりと言い切ると、ビビアーナが肩を震わせて、その場にへたりと座り込んだ。
青ざめて震えるビビアーナに、憐れみを含んだ視線を向けると、ベルナルドは大きく息を吐いた。
「もういい、早く逃げろ。ここまで崩壊すると、もう止められん。せめて魔物が町の中まで入ってこないよう、暫定的に町全体を覆うよう結界を作る」
「そ……そんな……それだけの大きな結界を一人でなんて……無茶ですわ……」
結界は、広範囲になればなるほど、長期に保とうとすればするほど、難しくなる。
町全体を覆うほどの結界となれば、人数と日数をかけるのが通常だ。
ベルナルド一人で、しかも短時間で結界を作り出そうとするのは、ビビアーナが思わずこぼしてしまったとおり、無茶だった。
「無茶だが、やるしかないだろ。俺の全法力を注げば、ある程度は保てるだろう。その間に、新たな結界を構築していく方式に切り替え、人員を増やす。年単位の作業になるが、仕方がない」
苦虫を噛み潰したような顔でベルナルドは答えると、ビビアーナや男たちをぐるりと見回した。
「……さあ、早く逃げろ。このあたりは、まだ魔物が入ってくるかもしれないぞ」
その言葉で、男たちが座り込んだままのビビアーナを残して、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
ベルナルドは、支えたままのアンジェリアに向き直る。
「アンジェリア、おまえも早く逃げろ。ここは危ない」
「だ……旦那様……で、でも……」
アンジェリアには詳しい状況はわからなかったが、どうやらベルナルドがかなり危険なことをしようとしていることは理解できた。
自分がいたところで、何の役にも立たないことは知っている。それでも、ここで離れてしまったら、アンジェリアはもう二度とベルナルドと会えないような気がしたのだ。
「……ベルナルド様にお任せして、行くのよ。あたくしやあなたがいたところで、邪魔になるだけだわ」
「ビビアーナ様……」
ビビアーナは立ち上がると、苦渋のにじむ顔で、アンジェリアを促す。
いつもの高慢な態度はなりをひそめ、泣き出しそうな子供のように頼りなく、打ちひしがれた様子だった。
だが、アンジェリアは、そうするべきだと頭では理解しているのだが、なかなか離れがたい。
そのようなアンジェリアの姿を見ると、ベルナルドは苦笑を浮かべた。
「……アンジェリア、頼みがある。神殿にいるジーノにこのことを伝えてきてくれ。急いで行ってくれ、頼む」
「は……はい……」
実際には、結界を観測しているジーノならば異変に気づいているはずだったが、ベルナルドはアンジェリアを遠ざけるため、あえてそれは言わなかった。
ベルナルドからの具体的な指示ということで、ようやくアンジェリアは頷いた。
小屋から出て、アンジェリアは後ろ髪をひかれる思いで、神殿に向かっていく。
アンジェリアが遠ざかろうとするのを見届けると、ベルナルドは安心したように息を吐き、結界を構築するべく集中し始めた。
町全体を覆うような、大規模な結界だ。いくら暫定的なものとはいえ、構築には時間がかかる。
ベルナルドの法力ならば、一人で町全体を覆う結界を作り上げるのは可能だ。だが、力を使い果たして、立っていることも困難な状態になってしまうだろう。
結界構築中、そして構築後も、決して短くない時間、完全に無防備な状態になってしまうのだ。
せめて結界を作り終えるまで何も現れるなと祈るベルナルドだったが、その願いもむなしく、結界の森がある方向から、魔物たちの姿が近づいてきた。
通常時であれば、ベルナルドの相手になどならないような雑魚だ。だが、今は違う。
ベルナルドの耳には、死神の足音が聞こえてくるようだった。
まさか、このようなところで終わりを迎えることになるは思わなかったと、ベルナルドの口元に苦笑が浮かび上がってくる。
だが、せめて結界を作り終えるまえは持ちこたえなくてはならない。そうでなければ、アンジェリアの身にも危機が迫るのだ。覚悟を決め、ベルナルドは地に立つ足に力をこめる。
「だ……旦那様……?」
アンジェリアは神殿に向かいながらも、嫌な予感を覚えて振り返る。
すると、立ったまま、ろくに動けないでいるベルナルドに、魔物たちが向かっていくのが見えたのだ。
「そ……そんな……旦那様……!」
「ちょっ……あなた……!」
何も考えられず、アンジェリアはただベルナルドに向かって駆け出した。
後ろからビビアーナの慌てた声が響いたが、それもアンジェリアの耳には入らない。
行ってどうするのか、何ができるというのか、そのようなことは全て頭から消え去っていた。
――どうか、どうか旦那様をお守りください。私はどうなっても構いません。どうかお願いします。
アンジェリアは母の形見のペンダントを握りながら、必死に祈る。
何もできないのなら、せめて我が身を盾とするべく、魔物とベルナルドの間に割り込もうと駆け続けた。
「来るな!」
ベルナルドの鋭い叫びが響いたが、アンジェリアは止まらない。
標的をアンジェリアに定めたらしい魔物の一匹が、向かってくる。
それでいい、魔物たちは全部こちらに来い、とアンジェリアは充足感すら覚えていた。走り続けるアンジェリアを包むように踊る風が、心地よい。軽やかな鈴の音すら聞こえてくるようだ。
やがて距離が迫り、魔物が飛び掛ってくる。その禍々しい姿を、これでベルナルドに届く牙がひとつ減ると、アンジェリアは微笑みながら見上げた。
大きな影は、アンジェリアに近づいてくる。
アンジェリアがゆっくりと顔を上げると、そこにはベルナルドの姿があった。
「だ……旦那様……?」
信じられない思いで、アンジェリアは目を見開く。
ベルナルドが法力で魔物を叩き落したらしいと気づくと、安堵のあまり、力が抜けてその場に崩れ落ちそうになってしまう。
だが、ふらついたアンジェリアを、ベルナルドが支えた。
「様子がおかしかったから、後をつけてきたんだが……とんでもないことになったな」
床に倒れこんで絶命している魔物を見下ろしながら、ベルナルドは忌々しそうに吐き捨てる。
ビビアーナと男たちに緊張が走り、重々しい雰囲気が漂う。
「おまえたちが何をしようとしていたかの詮議は、後回しだ。それよりも、結界が急激に崩壊を始めた。もう間もなく、町の中にも魔物が侵入するだろう」
「ど……どうして、そんなに早く……あたくし、まだ……」
ベルナルドの宣告に、ビビアーナが顔面を蒼白にして呟く。
まだビビアーナは調整役になれるまでの訓練を積んでいない。この場でアンジェリアをいたぶろうとしていたのも、まだ余裕はあると高をくくっていたからだ。
混乱するビビアーナに、ベルナルドは冷めた目を向けて、ため息を漏らした。
「邪な心で法力を使っただろう。まだコントロールもろくにできないくせに、こんな結界が崩壊しかけた場所で使うから、魔物を招く道を作り出してしまったんだ」
ビビアーナが作り出したつもりの小結界は、実際には機能を果たすどころか、この地の結界を傷つけてしまい、魔物を招く道しるべとなっただけだった。
この地の結界とビビアーナの法力の質が似ているために、共振してしまい、崩壊を早めることになってしまったのだ。
そこにアンジェリアを貶めようという思いが魔物を引き寄せ、招き入れてしまった。
もし、ビビアーナの法力の質が違うか、完全にコントロールできていれば、結界の崩壊を早めることはなかっただろう。そして、アンジェリアに対する負の感情がなければ、魔物を招くこともなかったはずだ。
「そ……そんな……あたくしの、せい……?」
愕然としながら、ビビアーナはか細い声で呟く。
「残念だが、崩壊を早める引き金を作ったのは、確かだな」
「あ……あたくし……そんなつもりじゃ……」
ベルナルドがきっぱりと言い切ると、ビビアーナが肩を震わせて、その場にへたりと座り込んだ。
青ざめて震えるビビアーナに、憐れみを含んだ視線を向けると、ベルナルドは大きく息を吐いた。
「もういい、早く逃げろ。ここまで崩壊すると、もう止められん。せめて魔物が町の中まで入ってこないよう、暫定的に町全体を覆うよう結界を作る」
「そ……そんな……それだけの大きな結界を一人でなんて……無茶ですわ……」
結界は、広範囲になればなるほど、長期に保とうとすればするほど、難しくなる。
町全体を覆うほどの結界となれば、人数と日数をかけるのが通常だ。
ベルナルド一人で、しかも短時間で結界を作り出そうとするのは、ビビアーナが思わずこぼしてしまったとおり、無茶だった。
「無茶だが、やるしかないだろ。俺の全法力を注げば、ある程度は保てるだろう。その間に、新たな結界を構築していく方式に切り替え、人員を増やす。年単位の作業になるが、仕方がない」
苦虫を噛み潰したような顔でベルナルドは答えると、ビビアーナや男たちをぐるりと見回した。
「……さあ、早く逃げろ。このあたりは、まだ魔物が入ってくるかもしれないぞ」
その言葉で、男たちが座り込んだままのビビアーナを残して、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
ベルナルドは、支えたままのアンジェリアに向き直る。
「アンジェリア、おまえも早く逃げろ。ここは危ない」
「だ……旦那様……で、でも……」
アンジェリアには詳しい状況はわからなかったが、どうやらベルナルドがかなり危険なことをしようとしていることは理解できた。
自分がいたところで、何の役にも立たないことは知っている。それでも、ここで離れてしまったら、アンジェリアはもう二度とベルナルドと会えないような気がしたのだ。
「……ベルナルド様にお任せして、行くのよ。あたくしやあなたがいたところで、邪魔になるだけだわ」
「ビビアーナ様……」
ビビアーナは立ち上がると、苦渋のにじむ顔で、アンジェリアを促す。
いつもの高慢な態度はなりをひそめ、泣き出しそうな子供のように頼りなく、打ちひしがれた様子だった。
だが、アンジェリアは、そうするべきだと頭では理解しているのだが、なかなか離れがたい。
そのようなアンジェリアの姿を見ると、ベルナルドは苦笑を浮かべた。
「……アンジェリア、頼みがある。神殿にいるジーノにこのことを伝えてきてくれ。急いで行ってくれ、頼む」
「は……はい……」
実際には、結界を観測しているジーノならば異変に気づいているはずだったが、ベルナルドはアンジェリアを遠ざけるため、あえてそれは言わなかった。
ベルナルドからの具体的な指示ということで、ようやくアンジェリアは頷いた。
小屋から出て、アンジェリアは後ろ髪をひかれる思いで、神殿に向かっていく。
アンジェリアが遠ざかろうとするのを見届けると、ベルナルドは安心したように息を吐き、結界を構築するべく集中し始めた。
町全体を覆うような、大規模な結界だ。いくら暫定的なものとはいえ、構築には時間がかかる。
ベルナルドの法力ならば、一人で町全体を覆う結界を作り上げるのは可能だ。だが、力を使い果たして、立っていることも困難な状態になってしまうだろう。
結界構築中、そして構築後も、決して短くない時間、完全に無防備な状態になってしまうのだ。
せめて結界を作り終えるまで何も現れるなと祈るベルナルドだったが、その願いもむなしく、結界の森がある方向から、魔物たちの姿が近づいてきた。
通常時であれば、ベルナルドの相手になどならないような雑魚だ。だが、今は違う。
ベルナルドの耳には、死神の足音が聞こえてくるようだった。
まさか、このようなところで終わりを迎えることになるは思わなかったと、ベルナルドの口元に苦笑が浮かび上がってくる。
だが、せめて結界を作り終えるまえは持ちこたえなくてはならない。そうでなければ、アンジェリアの身にも危機が迫るのだ。覚悟を決め、ベルナルドは地に立つ足に力をこめる。
「だ……旦那様……?」
アンジェリアは神殿に向かいながらも、嫌な予感を覚えて振り返る。
すると、立ったまま、ろくに動けないでいるベルナルドに、魔物たちが向かっていくのが見えたのだ。
「そ……そんな……旦那様……!」
「ちょっ……あなた……!」
何も考えられず、アンジェリアはただベルナルドに向かって駆け出した。
後ろからビビアーナの慌てた声が響いたが、それもアンジェリアの耳には入らない。
行ってどうするのか、何ができるというのか、そのようなことは全て頭から消え去っていた。
――どうか、どうか旦那様をお守りください。私はどうなっても構いません。どうかお願いします。
アンジェリアは母の形見のペンダントを握りながら、必死に祈る。
何もできないのなら、せめて我が身を盾とするべく、魔物とベルナルドの間に割り込もうと駆け続けた。
「来るな!」
ベルナルドの鋭い叫びが響いたが、アンジェリアは止まらない。
標的をアンジェリアに定めたらしい魔物の一匹が、向かってくる。
それでいい、魔物たちは全部こちらに来い、とアンジェリアは充足感すら覚えていた。走り続けるアンジェリアを包むように踊る風が、心地よい。軽やかな鈴の音すら聞こえてくるようだ。
やがて距離が迫り、魔物が飛び掛ってくる。その禍々しい姿を、これでベルナルドに届く牙がひとつ減ると、アンジェリアは微笑みながら見上げた。
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