黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん

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12.蜜月

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 アンジェリアはとうとうお役目を果たすことができた。
 東屋で結ばれたときは熱にうかされていたが、媚薬の効果が薄れて理性が戻ってくると、あまりに淫らな自分の醜態に恥じ入り、消えて無くなってしまいたかった。
 ベルナルドに宥められて、蔑まれていないことに安堵して落ち着きを取り戻すと、今度は血のにじんだクッションが目に入ってくる。
 破瓜の血だとベルナルドに言われ、アンジェリアは羞恥と共に、純潔を失ったのだという感慨がわき上がってきた。
 これでもう、以前と同じ生活に戻っても、元どおりにはならないのだ。胸が締め付けられるような寂しさが、アンジェリアの心に広がっていく。

 だが、すぐにベルナルドの腕に包まれている温もりが、アンジェリアの心を引き戻す。
 今はこの温もりが心地よく、何も考えずに浸っていたかった。
 アンジェリアは、いっときの幸福に包まれていた。





「旦那様、お疲れになりましたでしょう。お茶を淹れましたわ」

 それから、アンジェリアの生活も少し変わった。
 神殿の雑用をするのは以前と同じだが、仕事を終えるとベルナルドと共に過ごすようになったのだ。
 お茶を飲みながら、その日にあったことを語り合い、穏やかな時間を過ごす。
 そして夜は寝台で睦みあうのだ。

「あぁ……気持ち、いいです……旦那様ぁ……」

 今日も、アンジェリアはベルナルドの手によって快楽を与えられていた。
 少しずつ、口づけに応えるのにも慣れてきた。それだけで、快楽への期待に蜜があふれてくる。
 胸への愛撫を施され、うっとりと酔っていると、ベルナルドの体が足の間に割り込んできた。
 まだ秘所には触れられていないが、もう入ってくるのだろうかと、アンジェリアは疑問を抱く。だが、ベルナルドはアンジェリアの太ももに手をかけると、左右に押し開いたのだ。

「えっ……やぁっ……!」

 気が遠くなるほどの羞恥を覚え、アンジェリアは悲鳴をあげる。
 大きく開かれた足の間には、濡れそぼった花唇がなまめかしく光りながら震えている。自分でも見たことがないような、あらぬ場所がベルナルドの目にさらされているのだ。
 だが、燃え上がるような恥ずかしさは、官能も呼び覚ます。
 アンジェリアの蜜壷は、新たな蜜をとろとろと吐き出していった。

「可愛いここが、とろとろになっているな」
「やっ……言わないで……ください……」

 ベルナルドに囁かれ、アンジェリアは消え入りそうな声で抗議する。
 だが、ベルナルドは構うことなく、アンジェリアの両足の間に顔を埋め、蜜口をこじ開けるように舌先を差し入れた。

「ひぃ……っ……! ああっ……!」

 何が起こっているのか、一瞬、信じられなかった。
 秘所を舐められているのだとわかると、アンジェリアは首を左右に振って抵抗しようとする。しかし、ベルナルドの力の前では、びくともしなかった。
 ベルナルドの舌が蜜口を抉るように這っていくと、甘美な刺激に襲われ、アンジェリアは力が入らなくなってしまう。

「やっ……いやぁ……こんな、こんなの……やぁん……」

 抵抗する力もなくなり、アンジェリアはすすり泣くような悲鳴をあげる。
 しかし、甘ったるく掠れたそれは、ベルナルドを煽る効果しかない。
 ベルナルドは舌で蜜口を抉りながら、ぷっくりと尖った花芽を指先でくすぐる。蜜に濡れたそこの上を指がなめらかに動き、鋭い快楽がはじける。

「あっ……あぁああ……っ! そ、そんなぁ……おかしくなっちゃう……!」

 二箇所ではじける快楽に恐怖すら覚え、アンジェリアは身をよじって逃がれようとする。
 だが、快楽に痺れた体は動いてくれず、頭が白く染まっていく。
 下肢から熱いうねりがこみあげてきて、快感の奔流に飲まれてしまう。

「あっ、ああっ……だめっ……だめぇ……!」

 絶頂に追い込まれ、アンジェリアは全身をのけぞらせて絶叫した。
 下肢がびくびくと痙攣して、さらに蜜があふれてくる。
 アンジェリアは荒い息をつきながら、全身をぐったりと投げ出す。体中を駆け巡った深い愉悦が、心地よい余韻を残しながら引いていく。
 ところが、息を整える暇もなく、とろとろに潤んだ蜜口に熱い塊が押しつけられた。

「あ、ああっ……!」

 余韻に浸る間もないまま、媚肉をこじ開けられ、太く硬い雄が奥へと侵入していく。
 まだ満たされていなかった場所に、圧倒的な充足感が押し寄せてくる。アンジェリアは歓喜に身を震わせた。
 ならすようにゆっくりと奥まで押し入り、引き抜かれていく動きが、徐々に早まっていく。

「そ、そんな……旦那様……ああっ……また……っ! あああぁ……っ!」

 何度も大きく穿たれ、再び、大きな快楽の波が押し寄せてくる。
 抗うことなどできずに、熱い奔流が最奥に注ぎ込まれるのを感じながら、アンジェリアも絶頂を迎えた。
 目の前が白くはじけ、アンジェリアは気が遠くなるような歓喜に満たされる。

 夜毎、ベルナルドに貫かれ、アンジェリアは甘い声をあげる。体はどんどん快楽に順応していって、まだ最初のときの媚薬が残っているのではないかと思うくらいだった。
 まさに蜜月というべき日々を、二人は過ごしていた。

 ――たとえ、それが遠くない未来に終わるとわかっていても。
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