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3章 生死の淵

九十四、

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「──大丈夫か、朝陽」
「おう、タイミングバッチシだ、ガラハド!」
「さて…それじゃあ、俺のパートナーに仇した犬ッコロにお仕置でもするか」
「そ、その気配…まさか、創造神と武神が創り出した器の…!」
「さぁ、ガラハド。やることはわかってるな?」
「ああ、もう大丈夫だ。今度は間違えない」
「「"共鳴リンク"」」

そういった途端、ガラハドと朝陽の背後に権能の具現化からなのか、巨大な聖杯と、それを守護する結界のようなものが現れた。

「なっ…何故人間が権能を…!」
「神が与した力に、神が与えた器…そして、最強と最凶が融合して生まれた魂…
これだけ条件が揃ってるんだ、権能の完全行使なんて簡単に出来る。
さぁ、それじゃあ…冥王ハデスよ、決闘を申し込む!」
「くっ…分が悪いか…だが、決闘に勝ったとしても、我ができるのは片方を現世に帰し、もう片方の死を帳消しにするだけだ。
我にもそれが限界なのだ」
「死の帳消し?」
「冥界の影響か、もしくは死んでから冥界に来たものは不死の呪いに苛まれる。
そしてそれは、死者がその過ちを消すまで続くが…
冥界の影響により死者に変わったものは、永久的にその呪いを身に宿すこととなる。
死を帳消しというのは、その呪いを消すことだ。
2人を帰すというのは、いささか力が足りないのでな…
まぁ…方法が無いわけではないが…」
「…聞いてみようじゃないか」
「どちらか片方がまず現世に戻り…生と死を超越することだ。
現界と冥界はいわば生と死の世界…
それらの力を完全に扱うことが出来れば、魂の状態であるどちらかを引き戻すことが出来る」

ガラハドはそれを聞いてその提案をすぐに受け入れようとしたが、朝陽は気付いていた。
自分がここに残ると、二度とあちらへの帰還は出来ないということに…
 そして恐らく、ハデスは彼の魂の因縁を分かっているからこそ、ガラハドを優先的に現世に戻そうとしたのだ。

「よし、ガラハド。現界の方を頼んだ。
俺も、こっちでなにか方法がないか探すから」
「…分かった。ハデス、頼んだ」
「よかろう。では…朝陽、と言ったか」
「ああ。今日からよろしくな、ハデス。
んで…今までありがとう、ガラハド。
お前にあの世界の全権利を譲渡したから役立ててくれ。
それと…俺の分まで、お前は寿命までしっかり生き残ってくれ」

その言葉を聞いた瞬間、ガラハドは初めてハデスの言葉の真意に気付き、朝陽に手を伸ばそうとした瞬間、現界へと転移した。
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