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1章 稀代の商人

六十四、第三世界(4)

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「さて、それじゃあ改めて、魔素を分けてもらうぞ」

「…うむ、よかろう。
いやしかし、世界とはここまで広いものだったのか。
我は所詮、井の中の蛙であったようだ」

「いや、あれは比べたら駄目だろ。俺でも無理だぞ」

「何を言ってる。あれはガラハド、お前でもできるぞ。
気付いていないのかもしれないが、聖杯とお前の魂が一体化した今、お前の神聖力やら魔力やらは無限にあるんだ。
だから、あとはお前の鍛錬次第じゃああれくらいならできるようになるはずだ。
さて…そんじゃ、取り敢えず集中するから2人は自由にしておいてくれ」

俺は魔王城に蔓延る膨大な魔素を取り込んでいき、新たな世界のイメージを取り込んでいった。

「──よし、完成だ。ちょっと試運転がてら、あっちに行ってくる」

「ああ」

その返事に少し微笑み、俺は第三世界へと転移した。

「…うん、体力を鍛えられる山岳に気配察知を鍛える密林…
そして、そこら中に存在している物質は常に大量の魔素を生み出し、自然に埋め込んだ結晶石が生物が消費した力を感知してそれに変換し、回復を施す…完璧だ。
あっちの時間は今は止まってるし、折角だ。
あいつらに稽古を付ける前に俺も鍛錬をしておこう。
それに、敵も生み出していかないといけないしな…
あ、そうだ。折角だし、各エリアにボスを用意してそいつらに試練を与えよう。
最終試練はそのエリアに関する戦闘で…
んー、第1の試練である密林は気配察知と弱点看破…敵は隠密に長けた動物系を主軸に形成して…
弱点看破を見出す癖をつけさせるためにも、各々の敵に対し、弱点となる部位には気配と同じようなもので、微量だけ強調…
まぁ、元々人間やら魔物は弱点の所に限ってその周囲を強い力で守るから、それを少し強めただけだが…
取り敢えず、敵となる奴らの防御力をMAXにして、弱点に攻撃が当たった場合のみダメージを与えられるようにして…となると、HPは1で良さそうだな。
よし、こんなもんかな。
ボス…は、また明日作ろう。
あ、それと…全部のエリアをクリアした後に、武力を鍛える最終エリアを雲の上に作成して…そこは、俺とガラハドが鍛えるって感じで…
よし、それじゃあガラハドと魔王を呼んで第1の試練をやってみよう」

俺は再び魔王城へと戻り、2人が話しているのを待った。
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