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1章 稀代の商人

六十二、第三世界(3)

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「さて、それじゃあひとまず先に魔王の下へ行こう(まぁ、その間に箱庭の回復を進めていったらいいかな)」

そう思いながら、再び城の地下へ戻り、転移陣の下へと到着した。

「さて、あとはこの陣に魔力を流したら転移陣が発動する。それじゃ、さっそくいくか」

「おう」

俺たちは、転移陣を発動して魔王城へと転移した。

「む…この気配、ガラハドか。ようやくそのピカピカしとる厄介な能力も制御できるようになったのだな」

「あぁ、相棒もできてな。
っと、それでここにきたんだ」

「はじめまして、のユーグだ。以後、よろしく」

「ほう…の魔王ルーシーだ。以後、よろしく」

「なんではじめて会ったのにそんなにバチバチしてんだよ…」

「…ま、いいや。魔王、お前の生成してる魔素を俺にくれ」

俺は、世間話は必要ないと感じ、そのまま本題に入った。

「魔素だと?人間には扱えんじゃろ」

その言葉を聞いてすぐ、俺は魔素を使った魔法を発動した。

「あいにくだが、俺はあらゆる力を行使できるんでな。魔素を含め、この世の力はすべて有用なんだ」

「ほお!人間の身で…実に面白いやつだ!
よかろう…我と勝負して勝ったのならば魔素を分けてやろう!さぁ、いつでもかかってくるがよい!」

「なら、俺が勝ったらお前は俺の眷属になれ」

「よかろう。まぁ、そのようなことは億が一にもないがな」

「んじゃ、その前にちょっとだけ魔素を分けてくれないか?
今のままでも勝つことは容易いが、あいにく療養中でな」

「む、やはりそうであったか。よかろう、周囲からすきなだけ取るがよい」

俺は、礼を言ってから周囲の魔素を吸収して箱庭を完全に回復させた。

「そんじゃ、回復も済んだことだし…久しぶりに本気を出させてもらおう」

そういった瞬間、彼の雰囲気が急に殺意で染まり、箱庭がそれに応えるように共鳴し、世界を響かせた。

「なっ…せ、世界が…このような…」

「魔王よ、どこまで防げるか見物だな。
そら、まずは四属性だ」

「くっ…今代の賢者ですら四属性の最上位魔法を無詠唱で行使なぞできぬぞ!〘マジックバリア〙」

「そら、二属性追加だ、雷・氷だ。さっさと防ぐ準備をしろ」

「我が…我に本気を出させようとは面白い!
小手調べは終わりだ、こちらも応えようではないか」

「更に二属性追加、光と闇だ」

「効かぬ!〘完全魔法結界〙」

「今度はこれに神聖属性も追加だ。人間特有の、それも神に仕えた者共の守護力だ」

「くっ…ええいっ!〘完全物理結界〙〘対神聖結界〙」

「ほぅ、魔族特有の…ならば、それも追加だ。魔導発動」

「なっ…こ、これすらも扱うと申すか!?」

「そら、まだまだいくぞ。
魔法で作りだした騎士だ。歩兵、弓兵、騎兵、魔法兵の軍勢を相手してもらおう!
それに加え…滅剣よ、かの敵を打ち滅ぼせ」

「こ、ここまで…力の差があるのか…こ、降参、だ」
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