上 下
39 / 98
1章 稀代の商人

三十九、鑑定魔道具(1)

しおりを挟む
「…さて、折角だからギルドマスターも魔道具の制作を見てみるか?」

「良いのか?魔法陣が俺を覚えてしまえば、こちらでも作れるようになるが…」

「出来るものならどうぞご自由に。
まず、魔道具には器となる土台、触媒となる魔石、最後に効果を付与する魔法陣が必要となる。
んで、これは俺が見つけたから、多分魔道具を作れる奴なら知ってると思うが…
魔法陣の効果がより強いもの程、土台の耐久性が削られやすく、完全に魔法陣を収められる土台が必要となるんだ」

「そうなのか!?大体は金属だから問題ないとおもっていたが…」

「ん、まぁ金属でも問題は無いが…少し壊れやすいだろ?」

「あ、ああ…だが、そういうものだと思っていたんだが…」

俺はその言葉を聞き、鑑定用の第一世界の木材とは別に、宝石を幾つか取り出した。

「金属は基本的には土属性だから、そういった属性の魔法陣ならなんら問題ないだろうが…
素材にも属性があるからな。
例えば、ルビー、サファイア、エメラルド。
この3つの宝石だと火、水、風となっている。
そして、宝石の場合の耐久性というのは、宝石の価値によるものだな。
カラットが1番わかりやすいが…まぁ、軽くそういうものがあると覚えとけば良い。
んじゃ、早速鑑定の魔道具を作っていこう」

そういうと同時に、周囲に展開していた箱庭の索敵にガラハドが来たのが確認できた。

「ガラハド、ありがとな」

「これくらいどうってことない」

「この土台は、魔力密度が非常に高く、今だと俺しか所持していないものだ。
そして、この木材に生物専用の鑑定と、素材専用の鑑定の魔法陣を立体化させ、それらを融合させてから付与する。
生物と素材がなぜ別れているかはわかっているな?」

「ああ、同じ鑑定スキルでも、魔法に属性があるように、鑑定にも種別があるからだろ?」

「その通り。
さて、これであとは魔法陣と魔石の間に魔力回路と、魔素を魔力に変換する魔法陣を設置すれば…これで、鑑定の魔道具は完成だ」

「…こりゃマジで真似出来ねぇな…」

「だろう?この世界じゃ魔法陣の融合はまだされてないみたいだし、そもそも鑑定というのは生と死に干渉する事象だ。
 そのため、普通の土台だと耐えきれずに崩壊してしまう。
そして最後に、魔石を効率よく使うために魔力へと変換する魔法陣。
これこそ、誰にも真似出来ないものだからだ」

「だろうな…魔道具といやぁ、魔力を持っているものなら、誰でも使えるが、それは魔法陣が魔力を肩代わりしているだけで、少なからず本人の魔力が必要となるからだ。
だが、魔石をそのまま魔力として使うことが出来れば…魔力の無いものでも魔道具を使うことができる」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

腐った伯爵家を捨てて 戦姫の副団長はじめます~溢れる魔力とホムンクルス貸しますか? 高いですよ?~

薄味メロン
ファンタジー
領地には魔物が溢れ、没落を待つばかり。 【伯爵家に逆らった罪で、共に滅びろ】 そんな未来を回避するために、悪役だった男が奮闘する物語。

魔王転生→失敗?(勇者に殺された魔王が転生したら人間になった)

焔咲 仄火
ファンタジー
 人間界と魔界との間には、100年戦争が続いていた。長い間、戦争は膠着状態が続いていたが、突如人間界に現れた"勇者"の存在によって一気に戦況が変わる。圧倒的戦力である勇者への対応のため、魔王も最前線と魔王城の行き来をしていた。そんなある時、魔王の乗った飛空艇を勇者が襲う。魔王と勇者の一騎打ちの結果相打ちとなり、重傷を負った勇者は逃亡、魔王は勇者の一撃で致命傷を負ってしまう。魔王は転生の秘術により生まれ変わり、また戻ってくることを部下に約束し、息絶える。そして転生した魔王は、なぜか人間として生まれ変わってしまった。  人間に生まれ変わった魔王は、人間界で冒険者として生計を立てながら、魔界を目指す。 ※2017年11月25日完結しました

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

最強魔導師エンペラー

ブレイブ
ファンタジー
魔法が当たり前の世界 魔法学園ではF~ZZにランク分けされており かつて実在したZZクラス1位の最強魔導師エンペラー 彼は突然行方不明になった。そして現在 三代目エンペラーはエンペラーであるが 三代目だけは知らぬ秘密があった

あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio
ファンタジー
 なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。  こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。  なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。  自分の中に眠る力とは何なのか。  その答えを知った時少女は、ある決断をする。 長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!

私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ

Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」 結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。 「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」 とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。 リリーナは結界魔術師2級を所持している。 ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。 ……本当なら……ね。 ※完結まで執筆済み

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...