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1章 稀代の商人

三十三、商会設立(4)

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「──ええと…第4皇子、だったか。
すまんな、礼儀がなってなくて」

二階にある執務室にて、対面したギルドマスターがこちらを見ながらそう応えた。

「構わん、上辺だけの礼儀なんざ気持ち悪いだけだ。
さて…世間話をするのも面倒なんでな、早速本題から入らせてもらうが、ギルド本部のマスターであるお前に──」

俺は、そう言いながら、机に魔道具を置いた。

「これを広めて欲しい」

「…これは?魔道具の様だが…」

「ああ、鑑定の魔道具だ。魔石の魔素を消費して、対象者の能力を鑑定するものだ」

「ほぉ…そりゃあまるで聖国と同じ──
教会で神の代理人となったとは噂には聞いていたが…まさか、聖国を失墜させる気なのか?」

「ああ。だからこそ、手始めにこの魔道具だ」

「なるほどねぇ…だが、なんで冒険者ギルドなんだ?」

俺は、収納に入れてあった紙とペンを取りだして、図を書きながら彼に説明を始めた。

「都合が良いからだ。まずは、鑑定の魔道具が開発されたことを広めてもらうためにも…冒険者たちの能力及びレベル等の確認を日頃からしてもらえば、今どれくらいの強さなのかが分かるだろ?
そうすることによって、色んな所で冒険者から冒険者へ、承認へ、国民へと噂が広まっていく。
しかも、冒険者や商人は情報が命だろう?」

「なるほど…ちなみにこれは、どのランクの魔石から使えるんだ?」

「Fランクから使える。
耐久力のテストもついでにしてほしいから、ひとまずこの1個はこのギルドに卸そう。
魔石自体は、中の魔素が無くなると消滅するし、魔素が足りなければ魔道具自体は発動しないからな」

「ああ、分かった」

「それと、商会を作る予定だから、もし追加で欲しかったり、少し値段が高くなるが要望があるならできるだけそれに合わせて作ってやるから、その時は商会に来てくれ」

「わかった」

「さて、それじゃあ2つ目だ。今すぐ動ける…そうだな、護衛依頼に長けている冒険者を何人か用意してくれ」

「依頼か。誰の護衛だ?」

俺は言葉を濁しながら、彼に伝えた。

「いや、護衛と言うより…出迎え、だな。指定する場所に迎えに行って欲しいんだ」

「んー…まぁ、分かった。それで?誰を迎えに行くんだ?」

「聖国のトップ2である聖皇と聖女の2人だ。
ユグドラシル、今2人はどこにいる?」

「まだ聖国だね」

「うーん、となるとどうするか…聖国ま直ぐに行く方法はあるか?」

「いや、冒険者ギルドにはないな…」

「聖皇の力で、聖国の端までは転移できるね。
だから、そこから合わせて、僕の力でこの国まで飛ばそう」

「良いのか?下界に干渉して」

「うん。聖国の失墜は、僕達神々の願いでもあるからね。
 教会があるのは良いんだけど、その思想が邪魔なんだよね。
だからこの行為は、神々で話し合った結論だよ」

「…ということなんで、国の端っこまで迎えに行ってくれ。
そうだな、報酬は金貨10枚で」

「パーティだからあまり…」

「何を言っている、1人あたり金貨10枚だ」

「…分かった、直ぐに手配しよう」

「そんじゃ、俺はこれで。冒険者ギルドにそのふたりが着いたらまた戻ってくる」
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