32 / 98
1章 稀代の商人
三十二、商会設立(3)
しおりを挟む
「第4皇子様!王令でございます、今すぐ王の元へお向かい下さい」
王令というのは、国王が下す最高権力の命令のことで、これを受けると必ず応じなければいけない。
また、王令を伝える者は、それを伝えるまでは王の代わり…つまり、国の第2位の権力を限定的に持つことができる。
しかし彼が俺に敬語を使うのは、恐らく俺自身の権力もまた、王か、はたまたそれ以上の権力を持っているからだった。
「分かった、直ぐに行こう。ありがとう、良い仕事をしてくれた」
俺はそうお礼を良い、直ぐに城へと戻った。
「──父上、お呼びでしょうか」
「ユーグ!随分早かったな、良い報せだ!
お前が届けてくれたあの魔道具を魔道技師に見せるとな、正式に認められたのだ!
よくやったぞ、まさかここまで早く出来上がるとは!」
「…して、その魔道具は今どちらに?」
「ん?ああ、それならば魔道技師に研究させて──」
「ッ!ガラハド、直ぐに止めさせろ!
魔道具は破壊し、それに関する研究資料も燃やせ!」
「はっ!」
ガラハドはすぐ、魔道技師の元へ走り出した。
「…父上、ご乱心か。俺が父上授けたのは、魔道具の試験であり、権利を上げたのではありません!
この際言いますが…俺はまず第一に、この魔道具を王都冒険者ギルド本部を含めた支部全てに売る予定です。
そのため、王である父上に今好き勝手にされては計画に支障が発生するのです!」
「むぅ…だ、だが…」
俺は渋る父を見て溜息を着き、辺りを威圧した。
「はぁ…神の代理人として言わせて貰う!
俺の邪魔だけはするな!」
「ビクッ…わ、分かった…」
「…父上、考えてみてください。
この魔道具の目的、そして我々の目的は聖国の失墜です。
そのためには、王が聖国の失墜を望んでするよりも、民が聖国を"必要ない"と考える方がより効果的なのです」
「そ、それはそうだが…」
「既に様々な案を神と共に進めておりますので、国王である父上は国のことに集中してください。
それでは、俺はこれで」
さて、こうなった以上遅らせる必要は無い。
まずは魔道具を冒険者ギルドに売りに行かないと。
「あ、そうだ。商会を設立するので、王族の印を使わせていただきます」
俺はそういって、直ぐに冒険者ギルドへと向かった。
「ユーグ君、聖皇と聖女ちゃんがこちらへ向かって来ている。
迎えに行ってくれないかい?」
「んー…分かった、護衛を冒険者で手配してもらおう。
──さて、さっさと用を済ませるぞ」
俺はそう言って冒険者ギルドの扉を開けた。
「(受付は…あそこか)受付はここであっているか?」
「はい。依頼ですか?登録ですか?」
「ギルドマスターに取り次いでくれ」
「ご予約の方は…」
「ない。第4皇子が来たと言ってくれ」
「!?お、王族の方ですか!?
しょ、少々お待ち下さい!」
王令というのは、国王が下す最高権力の命令のことで、これを受けると必ず応じなければいけない。
また、王令を伝える者は、それを伝えるまでは王の代わり…つまり、国の第2位の権力を限定的に持つことができる。
しかし彼が俺に敬語を使うのは、恐らく俺自身の権力もまた、王か、はたまたそれ以上の権力を持っているからだった。
「分かった、直ぐに行こう。ありがとう、良い仕事をしてくれた」
俺はそうお礼を良い、直ぐに城へと戻った。
「──父上、お呼びでしょうか」
「ユーグ!随分早かったな、良い報せだ!
お前が届けてくれたあの魔道具を魔道技師に見せるとな、正式に認められたのだ!
よくやったぞ、まさかここまで早く出来上がるとは!」
「…して、その魔道具は今どちらに?」
「ん?ああ、それならば魔道技師に研究させて──」
「ッ!ガラハド、直ぐに止めさせろ!
魔道具は破壊し、それに関する研究資料も燃やせ!」
「はっ!」
ガラハドはすぐ、魔道技師の元へ走り出した。
「…父上、ご乱心か。俺が父上授けたのは、魔道具の試験であり、権利を上げたのではありません!
この際言いますが…俺はまず第一に、この魔道具を王都冒険者ギルド本部を含めた支部全てに売る予定です。
そのため、王である父上に今好き勝手にされては計画に支障が発生するのです!」
「むぅ…だ、だが…」
俺は渋る父を見て溜息を着き、辺りを威圧した。
「はぁ…神の代理人として言わせて貰う!
俺の邪魔だけはするな!」
「ビクッ…わ、分かった…」
「…父上、考えてみてください。
この魔道具の目的、そして我々の目的は聖国の失墜です。
そのためには、王が聖国の失墜を望んでするよりも、民が聖国を"必要ない"と考える方がより効果的なのです」
「そ、それはそうだが…」
「既に様々な案を神と共に進めておりますので、国王である父上は国のことに集中してください。
それでは、俺はこれで」
さて、こうなった以上遅らせる必要は無い。
まずは魔道具を冒険者ギルドに売りに行かないと。
「あ、そうだ。商会を設立するので、王族の印を使わせていただきます」
俺はそういって、直ぐに冒険者ギルドへと向かった。
「ユーグ君、聖皇と聖女ちゃんがこちらへ向かって来ている。
迎えに行ってくれないかい?」
「んー…分かった、護衛を冒険者で手配してもらおう。
──さて、さっさと用を済ませるぞ」
俺はそう言って冒険者ギルドの扉を開けた。
「(受付は…あそこか)受付はここであっているか?」
「はい。依頼ですか?登録ですか?」
「ギルドマスターに取り次いでくれ」
「ご予約の方は…」
「ない。第4皇子が来たと言ってくれ」
「!?お、王族の方ですか!?
しょ、少々お待ち下さい!」
0
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説
魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜
東雲ノノメ
ファンタジー
オタクの女子高校生だった美水空は知らないうちに異世界に着いてしまった。
ふと自分の姿を見たら何やら可愛らしい魔法少女の姿!
謎の服に謎の場所、どうしようもなく異世界迷子の空。
紆余曲折あり、何とか立ち直り人間の街についた空は吹っ切れて異世界を満喫することにする。
だけどこの世界は魔法が最弱の世界だった!
魔法使い(魔法少女)だからという理由で周りからあまりよく思われない空。
魔法使い(魔法少女)が強くないと思ったの?私は魔法で生きていく!という精神でこの異世界で生きていく!
これは可愛い魔法少女が異世界で暴れたり暴れなかったりする話である。
追放された技術士《エンジニア》は破壊の天才です~仲間の武器は『直して』超強化! 敵の武器は『壊す』けどいいよね?~
いちまる
ファンタジー
旧題:追放されたエンジニアは解体の天才です~人型最強兵器と俺の技術でダンジョン無双~
世界中に無数の地下迷宮『ダンジョン』が出現し、数十年の月日が流れた。
多くの冒険者や戦士、魔法使いは探索者へと職を変え、鋼鉄の体を持つ怪物『魔獣(メタリオ)』ひしめく迷宮へと挑んでいた。
探索者愛用の武器を造る技術士(エンジニア)のクリスは、所属しているパーティー『高貴なる剣』と、貴族出身の探索者であるイザベラ達から無能扱いされ、ダンジョンの奥底で殺されかける。
運よく一命をとりとめたクリスだが、洞穴の奥で謎の少女型の兵器、カムナを発見する。
並外れた技術力で彼女を修理したクリスは、彼を主人と認めた彼女と共にダンジョンを脱出する。
そして離れ離れになった姉を探す為、カムナの追い求める『アメノヌボコ』を探す為、姉の知人にして元女騎士のフレイヤの協力を得て、自ら結成したパーティーと再び未知の世界へと挑むのだった。
その過程で、彼は自ら封印した『解体術』を使う決意を固める。
誰かの笑顔の為に「直し」、誰かを守る為に「壊す」。
ひと癖ある美少女に囲まれたクリスの新たな技術士人生の幕が今、上がるのであった。
一方、クリスを追放した『高貴なる剣』は、今まで一同を支えていた彼の力が常軌を逸したものだと気づく。
彼女達は自称Aランク探索者から一転、破滅への道を転げ落ちてゆくのであった。
●一話~百二話…クリス・オーダー結成編(ざまぁ多め)
●百三話~百六十七話…仲間の過去編(シリアス中心)
●百六十七話~現在…スローライフ編(のんびりドタバタ)
※書籍版とWEB版では一部内容が異なります。ご了承ください。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する
平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。
しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。
だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。
そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる