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1章 稀代の商人
二十六、奴隷市場(1)
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「──ユーグよ、何故あんなことを…」
鑑定の儀が終わり、1度馬車に戻った国王は、俺を見ながら頭を抱えていた。
「仕方ないでしょう、神に頼まれたのですから。
ですよね?ユグドラシル」
『久しぶりだね、ファイダー王国、国王アレクサンダー。
申し訳ないのはわかってるんだけど…
だけど、僕の意志を捻じ曲げ、好き勝手に支配しようとする聖国は許せざるを得ない。
そこで、ユーグを神の代理人とする必要があった。
ああでも、この国にも利益はあるよ。
寧ろ、メリットの方が大きい筈?』
しかし、国王は未だよく分からず、といった感じになっていた。
「は、はぁ…」
「父上、あまり分かっておられないようですので説明しますが…
現状、聖国が世界を支配しているのはとある理由があります。
それはなんでしょう」
「…神の、意志を尊重しなければいけない、筈だ?」
「ええ、ですが…神はこの地に再び降臨し、自ら聖国が不必要である、ファイダー王国の皇子を神の代理人…神の意志と定めると宣言致しました。
つまり、現状"神の意志"というものは聖国ではなく、王国側にあるということです。
それに、神にももちろん協力して頂きますが、今後は聖国の意志とは関係せず、自由に治癒の能力者を雇うことが可能ですし、国が教会の役割を果たすことも可能です。
そして、今まで聖国が担ってきた、魔力溜まりの浄化と鑑定の儀、これらは俺が全て開発及び、普及致しますので、冒険者ギルド連動させる事が出来れば更に世界中に拡散、王国は世界の救世主として称えられることでしょう」
「なるほど、神の意志を…だが、魔道具の当てはあるのか?」
そう言われ、俺は直ぐに箱庭で効果の付与だけ済ませた鑑定の魔道具を取り出した。
ちなみに、これは箱庭の木々を加工したものだ。
「既に試作品がこちらに。と言っても、まだ箱庭の中で作った模型なので、耐久に問題がありますが…そこは、魔石を使えば問題がなくなると思いますので大丈夫です。
そして、現段階では2つほど試作品を用意しましたので、また完成次第持ってきます」
『(ユーグ君、そろそろ…)』
「では父上、俺はこの辺で」
「ああ、分かった。くれぐれも気を付けるのだぞ」
さてと…ガラハドも呼んで奴隷市場へと向かわないとな。
「ガラハド!こっちだ!」
「おう」
「…あ、そうだ。ユグドラシル、聖国の勢力図ってのはどうなってるんだ?」
そういうと、ユグドラシルは妖精のような小さな姿で現れた。
「よいしょっ…聖皇と呼ばれる者が王の役割を果たして、その下に聖女と教皇。
で、あとは順番に大司教、司教、司官かな」
「なら、信頼出来る奴に今の現状を説明しといてくれ。
こっちに流れてきてくれるのならそれが最善だが…聖国の権力が落ちた時、聖国と戦争をすることも伝えておいてくれ。
神罰…とでも言っておけば良い」
「うん、分かってるよ。
取り敢えず、聖皇はちゃんと仕事を全うしているし、聖女ちゃんも問題ないかな。
でも、教皇はダメだね。今の聖国の印象を作り上げた人物だ」
「なるほど、じゃあ上二人にこの話を掛け合っておいてくれ。
さて、ここでいいんだよな?」
「うん。あとは鑑定で探したら良いよ。
それじゃあ、僕はこれで」
鑑定の儀が終わり、1度馬車に戻った国王は、俺を見ながら頭を抱えていた。
「仕方ないでしょう、神に頼まれたのですから。
ですよね?ユグドラシル」
『久しぶりだね、ファイダー王国、国王アレクサンダー。
申し訳ないのはわかってるんだけど…
だけど、僕の意志を捻じ曲げ、好き勝手に支配しようとする聖国は許せざるを得ない。
そこで、ユーグを神の代理人とする必要があった。
ああでも、この国にも利益はあるよ。
寧ろ、メリットの方が大きい筈?』
しかし、国王は未だよく分からず、といった感じになっていた。
「は、はぁ…」
「父上、あまり分かっておられないようですので説明しますが…
現状、聖国が世界を支配しているのはとある理由があります。
それはなんでしょう」
「…神の、意志を尊重しなければいけない、筈だ?」
「ええ、ですが…神はこの地に再び降臨し、自ら聖国が不必要である、ファイダー王国の皇子を神の代理人…神の意志と定めると宣言致しました。
つまり、現状"神の意志"というものは聖国ではなく、王国側にあるということです。
それに、神にももちろん協力して頂きますが、今後は聖国の意志とは関係せず、自由に治癒の能力者を雇うことが可能ですし、国が教会の役割を果たすことも可能です。
そして、今まで聖国が担ってきた、魔力溜まりの浄化と鑑定の儀、これらは俺が全て開発及び、普及致しますので、冒険者ギルド連動させる事が出来れば更に世界中に拡散、王国は世界の救世主として称えられることでしょう」
「なるほど、神の意志を…だが、魔道具の当てはあるのか?」
そう言われ、俺は直ぐに箱庭で効果の付与だけ済ませた鑑定の魔道具を取り出した。
ちなみに、これは箱庭の木々を加工したものだ。
「既に試作品がこちらに。と言っても、まだ箱庭の中で作った模型なので、耐久に問題がありますが…そこは、魔石を使えば問題がなくなると思いますので大丈夫です。
そして、現段階では2つほど試作品を用意しましたので、また完成次第持ってきます」
『(ユーグ君、そろそろ…)』
「では父上、俺はこの辺で」
「ああ、分かった。くれぐれも気を付けるのだぞ」
さてと…ガラハドも呼んで奴隷市場へと向かわないとな。
「ガラハド!こっちだ!」
「おう」
「…あ、そうだ。ユグドラシル、聖国の勢力図ってのはどうなってるんだ?」
そういうと、ユグドラシルは妖精のような小さな姿で現れた。
「よいしょっ…聖皇と呼ばれる者が王の役割を果たして、その下に聖女と教皇。
で、あとは順番に大司教、司教、司官かな」
「なら、信頼出来る奴に今の現状を説明しといてくれ。
こっちに流れてきてくれるのならそれが最善だが…聖国の権力が落ちた時、聖国と戦争をすることも伝えておいてくれ。
神罰…とでも言っておけば良い」
「うん、分かってるよ。
取り敢えず、聖皇はちゃんと仕事を全うしているし、聖女ちゃんも問題ないかな。
でも、教皇はダメだね。今の聖国の印象を作り上げた人物だ」
「なるほど、じゃあ上二人にこの話を掛け合っておいてくれ。
さて、ここでいいんだよな?」
「うん。あとは鑑定で探したら良いよ。
それじゃあ、僕はこれで」
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