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0章 転生

十二、箱庭の試運転(1)

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「──さて、夜になった様だな」

そう呟くとすぐ、俺は箱庭の能力を試すべく、外へ向かおうとした。

「ユーグ殿、どこへ?」

「チッ…何故この時間まで起きているんだ。
騎士というのは不眠なのか?」

「そんな訳ないだろう?先程まで寝ていたに決まっているだろ。
魔力が動いたから起きたんだ」

「うーん…なるほど、となると移動するにはそれを誤魔化さなければいけないのか…」

「さて、それで?どこに行くんだ?」

「箱庭の能力の試運転に行きたくてな。
ここじゃあできないだろう?周りを巻き込めば直ぐに分かるからな」

「だったら訓練場に行くか?散歩と言えば行けるだろう」

「ああ…そうだな、そうしようか。
ちょうど目も冷めた事だ。
ああ、だが…何か言われない様に毛布だけ包んでいかないとな」

「あぁ…たしかにそうか」

さて、箱庭の能力か──
神が言っていた、収納は箱庭による…というのも気になるな。
 現段階で、箱庭内の能力としては念話…と呼ばれている能力に似たものが1つ。
敵意や干渉の無効化や阻害で2つ。
これらを含め、箱庭は範囲内に作用するものが多い。
そして、2つ目は恐らく、俺がいる次元と相手の次元、もしくは相手の力の次元をズラして無効化している。
となると、次元の壁というのは大同小異となる訳だが…
次元を操る能力となるのか?
・複数の次元を1つへと結ぶ
・1つの次元を複数へ別ける
これらが箱庭と仮定すると…

「ふむ、となると…重力と引力を切り分け、宙に浮かべる程度の引力を引き込んだら…よし、成功だ!」

「なっ…そ、空を飛んでる!?」

「箱庭の応用だ。
なるほど、箱庭の能力が分かったぞ。
箱庭の能力は、次元操作だ」

「次元、というのは?」

「うーん、そうだな。この空間を1としたら、目に目えない…自然力などを0と仮定する。
そうすると、0から1へと力を運ぶことこそが魔力運用、そして1から0へ戻すのを魔法と仮定することができる」

「うーん…何となく、分かるような気がするが…」

「次元の説明というのは難しい。
ただ、そうだなぁ…
空間、というのは分かるか?」

「ああ、この世界にも空間魔法というのがある」

「ふむ…なら、空間収納、とかは分かるか?」

「ああ、亜空間にものを収納する、といった感じだろう?」

「そうだ。その空間と亜空間の原理こそが次元というもので、目には見えないがこことは別の時間軸がある部分を空間、それらを総称するのを次元と呼ぶ…そういった感じだろうな」

「なるほど…てことは、空間の操作ということか?」

「まぁ、そのようなものだろうな。ただ、その能力自体は空間よりも更に上だろう」

となると、収納というのは別次元を開いてそこに入れる方法、ということだな。

「よし、とりあえず急いで訓練場へ向かおう。この能力を早く試したい!」

「わかった、なら…捕まっていろ、今から走るぞ」

「ああ、わかった」

俺は、自分だけの次元と、自分とガラハドがいる次元を繋げて、ガラハドと自分の位置を固定した。

「よし、動いてくれて構わないぞ」

そういうと、ガラハドは足に力を込めた瞬間、思いっきり上に飛んだ。

「…ま、まじか…人間の身体能力じゃないだろうこれは!」

「舌噛むぞ、気を付けろよ?」

「出来れば安全にして欲しかったけどな!〘引力付与〙」

「お?…おお、着地の衝撃を無くしたのか…降ろしてくれ」

「おう──さて、それじゃあ始めよう」
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