84 / 87
1章 学園
26話 獣人
しおりを挟む
「さて、あとは獣人だが…ここが1番問題だな」
『確かに、獣人とは良くも悪くも実力主義であるからなぁ…勝てば王に、負ければ臣下になる。
下手な戦闘は出来んぞ』
「…いや、今回は戦闘はなしでいく。エルフは結界が、ドワーフは環境が邪魔をして入れなかったが、獣人は空の防衛等も全て人々がしているから…気配を殺しつつ、直接乗り込む」
『最後の古代人種であるハイビースト種か』
「ああ…なぁ、古代人種の誓約を解除したとして、魔王軍を退けることはできると思うか?」
『どうだろうか。戦とは、個が強くとも敗れるものだ』
「だろうな。…ったく、侵略前に1度もう一度見て回るか…うん?お、おい…獣人の里燃えてねぇか!?」
『…おいレイド、急げ!あそこに魔族の姿が見える!』
「何!?侵略はまだと言っていたが、やっぱ信用しない方が良かったか…イフリート、お前肩は強い方か?」
『む?肩か?まぁ、人間よりかはな』
「なら、この結界をあの里に投げ込んでくれ」
『む、うぅむ…や、やってはみるが…』
「最悪通り過ぎても構わん」
『わ、分かった!』
イフリートは助走を付け、結界を里の方向へ思いっきり投げ飛ばした。
「…うん、あの軌道は越えるな!よし、イフリート俺に掴まれ!」
『う、うむ?』
「〘転移結界〙!」
先程投げた結界にレイドたちは転移し、その場で水魔法で雨を降らせはじめた。
「セイレーン!」
『かしこまりました!
「〘晴天の慈雨〙」』
「魔には痛みを、人には癒しをってな!
〘拡散結界〙〘剣技【絶空】〙」
「…た、助かった…のか?」
「すまない、もう少し早く来ていれば…」
「人間…いや、急な侵略でこちらも全滅を免れなかった。
助太刀、感謝する」
「…魔王軍、だよなやっぱり…」
『…いや、この紋章は…正魔王軍ではないな。
恐らく、派閥に敗れた魔王候補が勝手に暴れていただけだろう』
「なるほどねぇ…まぁ、取り敢えず直接乗り込むまでには、話を聞かねぇとな」
「ま、魔王城へ1人で行こうというのか!?」
「その前に…ハイビーストの元に連れて行ってくれないか」
「長になにかあるのだな…うむ、承知した。
だが、仲間を回収してからでもよいか」
「ああ。いや…そういえば、獣人では火葬か?」
「いや、魂葬だ」
魂装はこの世界でも限られた者にしか使えない秘術のようなもので、魂に安らぎを与えると言われる葬儀で、聖属性の力が必要だ。
「そうか…なら、俺も手伝わせてくれ」
「助かる」
輪廻神…俺に加護を与えたんなら、せめてこれくらいはさせてくれ…
神の運命には抗っているが、神の仕事くらいはしてくれよな…
「──さぁ、魂葬を始めよう」
「だが、獣人は魔法を…」
「うむ。
だが、長の知人が、聖魔法を魔力無しでも発動できるようにと、AFを作ってくださったのだ」
…ダンのこと、だよな…良く考えれば、色んな功績があるな…
「今回は、俺がしても良いか?」
「聖属性を持っているのか」
「ああ」
「…分かった、頼んだ」
レイドは自分が出遅れた責任を取るつもりだったのか、自責の念を晴らすように、声に聖なる力を帯びさせた。
『輪廻を廻す神よ、我らが同胞である彼等を正しき道に導き、彼の魂に安らぎを与えよ。
彼等はこの瞬間、その功績を我らが認め、その偉大さを語り継がれよう──』
「人間、これも頼む」
これは…獣人語か。意味は…
『アガンテ・アブール・ファクト
フィスト・サイム
アイル・アビュー』
『確かに、獣人とは良くも悪くも実力主義であるからなぁ…勝てば王に、負ければ臣下になる。
下手な戦闘は出来んぞ』
「…いや、今回は戦闘はなしでいく。エルフは結界が、ドワーフは環境が邪魔をして入れなかったが、獣人は空の防衛等も全て人々がしているから…気配を殺しつつ、直接乗り込む」
『最後の古代人種であるハイビースト種か』
「ああ…なぁ、古代人種の誓約を解除したとして、魔王軍を退けることはできると思うか?」
『どうだろうか。戦とは、個が強くとも敗れるものだ』
「だろうな。…ったく、侵略前に1度もう一度見て回るか…うん?お、おい…獣人の里燃えてねぇか!?」
『…おいレイド、急げ!あそこに魔族の姿が見える!』
「何!?侵略はまだと言っていたが、やっぱ信用しない方が良かったか…イフリート、お前肩は強い方か?」
『む?肩か?まぁ、人間よりかはな』
「なら、この結界をあの里に投げ込んでくれ」
『む、うぅむ…や、やってはみるが…』
「最悪通り過ぎても構わん」
『わ、分かった!』
イフリートは助走を付け、結界を里の方向へ思いっきり投げ飛ばした。
「…うん、あの軌道は越えるな!よし、イフリート俺に掴まれ!」
『う、うむ?』
「〘転移結界〙!」
先程投げた結界にレイドたちは転移し、その場で水魔法で雨を降らせはじめた。
「セイレーン!」
『かしこまりました!
「〘晴天の慈雨〙」』
「魔には痛みを、人には癒しをってな!
〘拡散結界〙〘剣技【絶空】〙」
「…た、助かった…のか?」
「すまない、もう少し早く来ていれば…」
「人間…いや、急な侵略でこちらも全滅を免れなかった。
助太刀、感謝する」
「…魔王軍、だよなやっぱり…」
『…いや、この紋章は…正魔王軍ではないな。
恐らく、派閥に敗れた魔王候補が勝手に暴れていただけだろう』
「なるほどねぇ…まぁ、取り敢えず直接乗り込むまでには、話を聞かねぇとな」
「ま、魔王城へ1人で行こうというのか!?」
「その前に…ハイビーストの元に連れて行ってくれないか」
「長になにかあるのだな…うむ、承知した。
だが、仲間を回収してからでもよいか」
「ああ。いや…そういえば、獣人では火葬か?」
「いや、魂葬だ」
魂装はこの世界でも限られた者にしか使えない秘術のようなもので、魂に安らぎを与えると言われる葬儀で、聖属性の力が必要だ。
「そうか…なら、俺も手伝わせてくれ」
「助かる」
輪廻神…俺に加護を与えたんなら、せめてこれくらいはさせてくれ…
神の運命には抗っているが、神の仕事くらいはしてくれよな…
「──さぁ、魂葬を始めよう」
「だが、獣人は魔法を…」
「うむ。
だが、長の知人が、聖魔法を魔力無しでも発動できるようにと、AFを作ってくださったのだ」
…ダンのこと、だよな…良く考えれば、色んな功績があるな…
「今回は、俺がしても良いか?」
「聖属性を持っているのか」
「ああ」
「…分かった、頼んだ」
レイドは自分が出遅れた責任を取るつもりだったのか、自責の念を晴らすように、声に聖なる力を帯びさせた。
『輪廻を廻す神よ、我らが同胞である彼等を正しき道に導き、彼の魂に安らぎを与えよ。
彼等はこの瞬間、その功績を我らが認め、その偉大さを語り継がれよう──』
「人間、これも頼む」
これは…獣人語か。意味は…
『アガンテ・アブール・ファクト
フィスト・サイム
アイル・アビュー』
1
お気に入りに追加
220
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?
みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。
なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。
身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。
一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。
……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ?
※他サイトでも掲載しています。
※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
【破天荒注意】陰キャの俺、異世界の女神の力を借り俺を裏切った幼なじみと寝取った陽キャ男子に復讐する
花町ぴろん
ファンタジー
陰キャの俺にはアヤネという大切な幼なじみがいた。
俺たち二人は高校入学と同時に恋人同士となった。
だがしかし、そんな幸福な時間は長くは続かなかった。
アヤネはあっさりと俺を捨て、イケメンの陽キャ男子に寝取られてしまったのだ。
絶望に打ちひしがれる俺。夢も希望も無い毎日。
そんな俺に一筋の光明が差し込む。
夢の中で出会った女神エリステア。俺は女神の加護を受け辛く険しい修行に耐え抜き、他人を自由自在に操る力を手に入れる。
今こそ復讐のときだ!俺は俺を裏切った幼なじみと俺の心を踏みにじった陽キャイケメン野郎を絶対に許さない!!
★寝取られ→ざまぁのカタルシスをお楽しみください。
※この小説は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる