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1章 学園
14話 ストーリー始動
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「さぁて…キャラクター達にはこっから学園で踊ってもらいたいもんだな」
レイドは皇子が聖女を助け、共に教室へ向かうというストーリー通りの展開をわざと介入して無理やり引き出した。
「あいつらには大人しく仲良しこよしと恋愛でもして貰えりゃあ俺の邪魔にはならねぇからそれで問題ない。
だが、問題は…悪役令嬢、あれだ。
ストーリーよりも気迫が感じられん…どういうことだ?悪役になりきれていないのは…
ストーリー通りに進んでいるのであれば、あのキャラクターは既に完全な悪に染まり始めている筈…」
「うぅっ…どうしよぉ…」
その誰かの独り言を聞き、レイドはすぐに物陰に隠れた。
「悪役なんて演技無理なんだけど…でも、進めないと余計に魔王に滅ぼされて終わっちゃうし…あーあ、せめてルイ様が生き残ってくれたら、頑張れるんだけどなぁ…」
ルイ、様?それに、生き残るって…魔王に滅ぼされるのはまだ公表はしていない…つまるところこいつは…
「ニヤッ…使える駒が増えたな」
「なっ…だ、誰!?」
「やぁやぁ、さっきぶりだな。悪役令嬢さんよ」
「なっ…私に向かって悪役令嬢ですって!?」
「演技は要らねぇ、お前が使える駒だってわかった時点でお前の使い道は決まってんだ」
「こ、駒…?」
「お前、転生者だろ。それも、このゲームをかなりプレイした転生者だ」
「えっ…な、んでそのことを…」
「俺も転生者なんでな。だが、そうか…俺以外にも転生者が居るってのは行動しやすくてありがてぇな」
「あ、あなたも…に、日本人?」
「ああ、日本人だ。んでもって、このゲームのストーリーをぶっ壊す改変者でもある」
「…え?」
「確か、お前の知識だとファブルは寝たきり、俺の両親は遠征に向かい、学園では聖女を取り囲む権力者たち…って所だろ?」
「え、ええ」
「だが、俺が未来を変えたおかげでその未来は全てねじ曲がった。
ファブルは生きているしなんなら俺との共同訓練で既に剣神のスキルを獲得している。
両親も遠征には行っていないし、攻略対象の1人は俺のもんになった。
学園では皇子の対抗意識を上げるべく、俺があいつを挑発した後、堂々の首席を取った。
これだけでもだいぶ違ぇだろ?」
「未来を…変えられるの?」
「ああ、勿論だ。俺は俺の周りにいる奴らを死なせたくないからな。
今は力をつけているところだ。
いずれ、俺のものに手を出した時、魔王を潰すために」
「…待って、一つだけ聞くわ。攻略対象の1人って誰?」
「お前の大好きなルイだ」
「…死なせない?」
「絶対に」
「…良いわ、協力しましょう」
「おう、同盟成立だ。さて、それじゃあ早速だが…お前のイメージを変える。
今は悪役令嬢としての演技をしていたが、俺の力ならお前を普通の令嬢にさせることくらい簡単に出来るんでな」
「ほ、本当に?」
「ああ、それに…ストーリーに肝心なキャラが居ねぇってなると、流石の神も焦ってくるだろ?
俺はそれが見たいんだ」
「…あなたこそ真の悪役でしょうよ」
「俺は神を恨んじゃいるが、したいことをしてるまでだ。
神にとって不変は絶対であるべきだが、人間にとって改変は必要なもの…
神が人間を理解できないように、俺らも神を理解しない。
だからこそ、自由にできるってもんだ」
「…誰かにとっての英雄は誰かにとっての災厄ってことね。
まぁいいわ、それで?私は何をどう協力したら?」
「とりあえず、お前は悪役の務めをまずは放棄すること。
んで、もし放棄した上でストーリー道理に進むようなら教えてくれ。
なにかの要因には必ず原因たりえるものがあるからな、もしかすると聖女が悪女かもしれねぇし」
「なるほどね…分かったわ、私は取り敢えず何もしない方がいいわけ?」
「いや、それだと駒の意味がない。
お前、今使える魔法の属性は?
確か、悪役は闇と火だった気がするが…」
「ああ、それに関してはルートによって私の属性が変わるのよ。と言っても、闇堕ちした瞬間に闇属性を得るのは変わらないんだけどね。
で、私は今は水、風、氷、闇の4属性よ」
「氷は水の上位属性だったっけ?」
「ええ、水と風の複合上位ね」
「なるほどねぇ…じゃ、取り敢えずお前にはちょっと間法関連で俺の手伝いをしてもらうついでに、魔王討伐…とは行かずとも、改変派の一員として力を付けてもらおうかね。
育ててるのは魔法だけか?」
「それと護身術として、格闘技をやってるわね。
メインウェポンは…この髪飾りね」
「あ、それメリケンサックか」
「ええ、緊急時これを武器にするのよ。
あとは、ちょっと特殊だけど…この扇子ね」
「鉄扇か…うーん、だがこれ普通の武器だよな?効果のない…」
「ええ、この世界の魔道具ってちょっと特殊でしょ?だから、かなり高いのよ。
ダンブルフ学園長の最上級魔道具は誰も持ってないし、勇者たちに後々配られるのも上位魔道具よね?」
「ああ、最上級はこれだな」
「…って、なんで持ってるの?」
「ダンは俺の友達だからな、友好の印として貰ったんだ」
「へ、へぇ…」
「ま、取り敢えず…そのメリケンサックと鉄扇は俺が改良してやる。
後でデザインだけ記録するからちょっとだけ借りても良いか?」
「ええ…って、魔道具を作れるの?」
「当たり前だろ?この世界じゃ魔道具はAFに次ぐ強力な道具なんだから」
「つくづく思うけど本当に化け物ね。
結界も使えるし剣も使える、その上魔道具も作れるって…貴方を止められるのは魔王か龍くらいなのかしらね」
「ああ、龍なら既に一体俺のペットに居るぞ。
序盤ボスを捕まえたんだ」
「えっ…」
彼女はニコニコ笑いながら平然とそういった彼を見て顔を引き摺っていた。
レイドは皇子が聖女を助け、共に教室へ向かうというストーリー通りの展開をわざと介入して無理やり引き出した。
「あいつらには大人しく仲良しこよしと恋愛でもして貰えりゃあ俺の邪魔にはならねぇからそれで問題ない。
だが、問題は…悪役令嬢、あれだ。
ストーリーよりも気迫が感じられん…どういうことだ?悪役になりきれていないのは…
ストーリー通りに進んでいるのであれば、あのキャラクターは既に完全な悪に染まり始めている筈…」
「うぅっ…どうしよぉ…」
その誰かの独り言を聞き、レイドはすぐに物陰に隠れた。
「悪役なんて演技無理なんだけど…でも、進めないと余計に魔王に滅ぼされて終わっちゃうし…あーあ、せめてルイ様が生き残ってくれたら、頑張れるんだけどなぁ…」
ルイ、様?それに、生き残るって…魔王に滅ぼされるのはまだ公表はしていない…つまるところこいつは…
「ニヤッ…使える駒が増えたな」
「なっ…だ、誰!?」
「やぁやぁ、さっきぶりだな。悪役令嬢さんよ」
「なっ…私に向かって悪役令嬢ですって!?」
「演技は要らねぇ、お前が使える駒だってわかった時点でお前の使い道は決まってんだ」
「こ、駒…?」
「お前、転生者だろ。それも、このゲームをかなりプレイした転生者だ」
「えっ…な、んでそのことを…」
「俺も転生者なんでな。だが、そうか…俺以外にも転生者が居るってのは行動しやすくてありがてぇな」
「あ、あなたも…に、日本人?」
「ああ、日本人だ。んでもって、このゲームのストーリーをぶっ壊す改変者でもある」
「…え?」
「確か、お前の知識だとファブルは寝たきり、俺の両親は遠征に向かい、学園では聖女を取り囲む権力者たち…って所だろ?」
「え、ええ」
「だが、俺が未来を変えたおかげでその未来は全てねじ曲がった。
ファブルは生きているしなんなら俺との共同訓練で既に剣神のスキルを獲得している。
両親も遠征には行っていないし、攻略対象の1人は俺のもんになった。
学園では皇子の対抗意識を上げるべく、俺があいつを挑発した後、堂々の首席を取った。
これだけでもだいぶ違ぇだろ?」
「未来を…変えられるの?」
「ああ、勿論だ。俺は俺の周りにいる奴らを死なせたくないからな。
今は力をつけているところだ。
いずれ、俺のものに手を出した時、魔王を潰すために」
「…待って、一つだけ聞くわ。攻略対象の1人って誰?」
「お前の大好きなルイだ」
「…死なせない?」
「絶対に」
「…良いわ、協力しましょう」
「おう、同盟成立だ。さて、それじゃあ早速だが…お前のイメージを変える。
今は悪役令嬢としての演技をしていたが、俺の力ならお前を普通の令嬢にさせることくらい簡単に出来るんでな」
「ほ、本当に?」
「ああ、それに…ストーリーに肝心なキャラが居ねぇってなると、流石の神も焦ってくるだろ?
俺はそれが見たいんだ」
「…あなたこそ真の悪役でしょうよ」
「俺は神を恨んじゃいるが、したいことをしてるまでだ。
神にとって不変は絶対であるべきだが、人間にとって改変は必要なもの…
神が人間を理解できないように、俺らも神を理解しない。
だからこそ、自由にできるってもんだ」
「…誰かにとっての英雄は誰かにとっての災厄ってことね。
まぁいいわ、それで?私は何をどう協力したら?」
「とりあえず、お前は悪役の務めをまずは放棄すること。
んで、もし放棄した上でストーリー道理に進むようなら教えてくれ。
なにかの要因には必ず原因たりえるものがあるからな、もしかすると聖女が悪女かもしれねぇし」
「なるほどね…分かったわ、私は取り敢えず何もしない方がいいわけ?」
「いや、それだと駒の意味がない。
お前、今使える魔法の属性は?
確か、悪役は闇と火だった気がするが…」
「ああ、それに関してはルートによって私の属性が変わるのよ。と言っても、闇堕ちした瞬間に闇属性を得るのは変わらないんだけどね。
で、私は今は水、風、氷、闇の4属性よ」
「氷は水の上位属性だったっけ?」
「ええ、水と風の複合上位ね」
「なるほどねぇ…じゃ、取り敢えずお前にはちょっと間法関連で俺の手伝いをしてもらうついでに、魔王討伐…とは行かずとも、改変派の一員として力を付けてもらおうかね。
育ててるのは魔法だけか?」
「それと護身術として、格闘技をやってるわね。
メインウェポンは…この髪飾りね」
「あ、それメリケンサックか」
「ええ、緊急時これを武器にするのよ。
あとは、ちょっと特殊だけど…この扇子ね」
「鉄扇か…うーん、だがこれ普通の武器だよな?効果のない…」
「ええ、この世界の魔道具ってちょっと特殊でしょ?だから、かなり高いのよ。
ダンブルフ学園長の最上級魔道具は誰も持ってないし、勇者たちに後々配られるのも上位魔道具よね?」
「ああ、最上級はこれだな」
「…って、なんで持ってるの?」
「ダンは俺の友達だからな、友好の印として貰ったんだ」
「へ、へぇ…」
「ま、取り敢えず…そのメリケンサックと鉄扇は俺が改良してやる。
後でデザインだけ記録するからちょっとだけ借りても良いか?」
「ええ…って、魔道具を作れるの?」
「当たり前だろ?この世界じゃ魔道具はAFに次ぐ強力な道具なんだから」
「つくづく思うけど本当に化け物ね。
結界も使えるし剣も使える、その上魔道具も作れるって…貴方を止められるのは魔王か龍くらいなのかしらね」
「ああ、龍なら既に一体俺のペットに居るぞ。
序盤ボスを捕まえたんだ」
「えっ…」
彼女はニコニコ笑いながら平然とそういった彼を見て顔を引き摺っていた。
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