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1章 学園
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「──新入生である我々は、この学園で多くのことを学び、また、学友と協力し、将来様々な職に就くであろうその未来の為に、本日より入学させて頂きました。
時に楽しみ、時に悲しみ…初めの頃は在校生の皆様にお世話になることも多々あるかと思います。
ですが、その中でも少しづつ成長し、この学園の生徒であることに胸を張れるよう頑張りたいと思います。
新入生代表、クリス・アルファ」
へぇ、王族の名を出さなかったな。
「あれ、殿下は家名を出さなかったみたいですが…」
「ああ、それはですね。この学園は先程も言った通り、貴族も平民も、王族も、身分を気にせずに平等に接する為、まずは自分から率先してその身分を気にしないでいいと、そのために敢えて言わなかったんです」
「そ、そんな意図が…」
「ふふ、まぁですが、あれは私たちだけでなく、先輩方からの好感を得るためでもあります。
ああ言えば、"王族の中でも選民意識のない者"という肩書きを得られますから、その分協力者が増やしやすいので」
「なるほど…」
«レイド、腹が空いたから、少し狩りをしてきてもよいか?»
「(ああ、見つからないようにな)」
«うむ»
「さて、それでは移動しましょう。セシリア嬢、お手を」
「あ、ありがとうございます。あの…レイドさんはなぜ私にこのように優しくしてくださるのですか?」
「優しく、ですか…そうですね、聞こえは悪いかもしれませんが、お互いの利害が一致しているため、と言っておきましょう。
私はこの学園生活で、できるだけ力をつけたいのですが、普通に生活していると敵味方関係なく、時には厄介事に巻き込まれてしまいます。
ですが、聖女候補であるセシリア嬢の付近に隠れていると、周りに殿下や、その他の権力者に上手に隠れられることが出来るのです」
「ああ、なるほど…私は貴族からの視線から守っていただける、そういうことですか?」
「ええ。私は結界師ですので、危害を加えられそうになったとしても守ることが出来ますので。
そうだ、お近付きの印にこれを」
「わぁ…綺麗なネックレス…こ、こんな高価そうなものを頂いてもよろしいのですか?」
「ええ、自作している魔道具ですので。
この魔道具は自動的に発動することが殆どかと思いますが、自身で魔力を込めるとその分結界が強固なものになります。
私が居ない間はこれを頼りに」
「あ、ありがとうございます…」
「おや、友人である僕にはないのかい?」
「レイド、俺にもくれよそれ!」
「ルイ、君はまた今度だよ。殿下は…必要ないですね」
「随分と酷いね」
「影から護衛が常に見守っている様ですし、必要ないかと。
まぁ、攫われでもしたら気が向けば助けてあげましょう」
「ふふ、それは是非お願いしたいね」
「(あ、あの…ルイさん、彼らってなぜあんなに火花を立てあっているのですか?)」
「(うーん、俺にもわかんない。でも、多分同族嫌悪だよ)」
「ルイ、同族嫌悪ではありません。そもそも同族ではないですから」
「うっ…相変わらずの地獄耳。
でも、2人とも天才だから同族嫌悪じゃ──」
「これが天才ですか?」
「君にとっては凡人かもしれないけれど、これでも僕は優秀な方なんだけどね?」
「井の中の蛙大海を知らずとはこのことですね」
時に楽しみ、時に悲しみ…初めの頃は在校生の皆様にお世話になることも多々あるかと思います。
ですが、その中でも少しづつ成長し、この学園の生徒であることに胸を張れるよう頑張りたいと思います。
新入生代表、クリス・アルファ」
へぇ、王族の名を出さなかったな。
「あれ、殿下は家名を出さなかったみたいですが…」
「ああ、それはですね。この学園は先程も言った通り、貴族も平民も、王族も、身分を気にせずに平等に接する為、まずは自分から率先してその身分を気にしないでいいと、そのために敢えて言わなかったんです」
「そ、そんな意図が…」
「ふふ、まぁですが、あれは私たちだけでなく、先輩方からの好感を得るためでもあります。
ああ言えば、"王族の中でも選民意識のない者"という肩書きを得られますから、その分協力者が増やしやすいので」
「なるほど…」
«レイド、腹が空いたから、少し狩りをしてきてもよいか?»
「(ああ、見つからないようにな)」
«うむ»
「さて、それでは移動しましょう。セシリア嬢、お手を」
「あ、ありがとうございます。あの…レイドさんはなぜ私にこのように優しくしてくださるのですか?」
「優しく、ですか…そうですね、聞こえは悪いかもしれませんが、お互いの利害が一致しているため、と言っておきましょう。
私はこの学園生活で、できるだけ力をつけたいのですが、普通に生活していると敵味方関係なく、時には厄介事に巻き込まれてしまいます。
ですが、聖女候補であるセシリア嬢の付近に隠れていると、周りに殿下や、その他の権力者に上手に隠れられることが出来るのです」
「ああ、なるほど…私は貴族からの視線から守っていただける、そういうことですか?」
「ええ。私は結界師ですので、危害を加えられそうになったとしても守ることが出来ますので。
そうだ、お近付きの印にこれを」
「わぁ…綺麗なネックレス…こ、こんな高価そうなものを頂いてもよろしいのですか?」
「ええ、自作している魔道具ですので。
この魔道具は自動的に発動することが殆どかと思いますが、自身で魔力を込めるとその分結界が強固なものになります。
私が居ない間はこれを頼りに」
「あ、ありがとうございます…」
「おや、友人である僕にはないのかい?」
「レイド、俺にもくれよそれ!」
「ルイ、君はまた今度だよ。殿下は…必要ないですね」
「随分と酷いね」
「影から護衛が常に見守っている様ですし、必要ないかと。
まぁ、攫われでもしたら気が向けば助けてあげましょう」
「ふふ、それは是非お願いしたいね」
「(あ、あの…ルイさん、彼らってなぜあんなに火花を立てあっているのですか?)」
「(うーん、俺にもわかんない。でも、多分同族嫌悪だよ)」
「ルイ、同族嫌悪ではありません。そもそも同族ではないですから」
「うっ…相変わらずの地獄耳。
でも、2人とも天才だから同族嫌悪じゃ──」
「これが天才ですか?」
「君にとっては凡人かもしれないけれど、これでも僕は優秀な方なんだけどね?」
「井の中の蛙大海を知らずとはこのことですね」
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