33 / 87
1章 学園
-1話
しおりを挟む
「それにしてもレイド君、試験で1位だったなんてすごいわね」
「いえいえ、入試程度で首席など」
「同年代に皇子も居たのでしょう?誇らしいことよ」
「ありがとうございます。ですが、首席を取ることなど、息をすることと同義です。
その程度では、まだ足りませんので…」
「(…ファブルが惹かれた所は、ここなのかしら…私の時も、切羽詰まってたし…)
そう、でもたまには休息も必要よ」
「…そうですね。ですが、最近はそうもいきません。
学園の生活もあと少しで始まってしまいますしね」
「そうね。あと3日で学園だものね。
制服の注文は済ませたかしら?」
「ああ、いえ…本日行く予定です。ね、レイド」
「ああ、制服ならば既に発注済みですよ、お母様」
「え?で、でもお金はどうしたの?」
「こう見えて、私も既にお金は稼いでおりますので」
「え、えぇ!?初めて聞いたわ…」
「おや、父上?」
「あ、ああ…!そういや忙しくて伝えるのを忘れていたな!」
「まぁいいです。取り敢えず、学園の準備は既に終えていますので、ご心配なさらず。
お母様は、今は安静にしてください」
「え、ええ。でもね、レイド」
「違いますよ、お母様。最近、夜にお盛んだった時期があるでしょう?
その時から、お母様の体内に、新たな気配が芽生えているのですよ」
「まぁ、おめでたいことだわ!念の為、医師を呼んで確認してもらいましょう!」
「え、ええ…でも、レイドはなんで気づいたのかしら」
「家族だとしても、魔力の構成は違いますから」
「そ、そう」
「ああ、そうそう。お母様、私はこの後、少し学園長に用がありますので学園へ行ってまいります」
「あら、なら私もついでに挨拶しに行こうかしら」
「ふむ…まぁ確かに、挨拶はしておいた方がいいかもしれませんね」
昨夜は戦力としての紹介だったが、ファブルさんとの関係もそうだし、友人としての紹介もしておいた方が良さそうだな…
まぁ、俺ほど権力が効かない相手は珍しいんだけどなぁ…
多分国王ですら俺に権力をかざしても無駄だってわかってるし…
「…あっ!お母様、ミネルバ夫人。すっかり伝えるのを忘れておりました。
明日のことなのですが、私とファブルさん、そしてルイは国王陛下のお茶会に招待されておりまして、城へ行かなければなりません」
「あら、お茶会?もうそんな季節になったのね。
あの方は数ヶ月ごとに仲のいい者やその子息を城に招待して、友人として雑談会を開くのよ。
だから心配しないでちょうだい。それに、私達も明日は王妃様にお茶会に招待されているもの」
「え、そうなのですか?」
「ええ、私なんかが招待されたのは流石に驚いたわ」
「私のお母様ですので、それくらいは便宜を図って当たり前ですがね」
「うふふ、過保護ね」
「幾らでも言ってください。両親が王位を欲しいというのであれば、王族に席を用意するくらい、直ぐにできますよ」
「そ、そんなことしないわよ!」
「ええ、両親は優しい方ですし、そのような選択はしないと分かっておりますとも」
「もう、からかわないでちょうだい」
「ふぅ…では、私は申し訳ありませんが、これで失礼致します」
レイドは席を外す瞬間、ファブルの手に伝言を書いた紙を渡した。
「…?」
「いえいえ、入試程度で首席など」
「同年代に皇子も居たのでしょう?誇らしいことよ」
「ありがとうございます。ですが、首席を取ることなど、息をすることと同義です。
その程度では、まだ足りませんので…」
「(…ファブルが惹かれた所は、ここなのかしら…私の時も、切羽詰まってたし…)
そう、でもたまには休息も必要よ」
「…そうですね。ですが、最近はそうもいきません。
学園の生活もあと少しで始まってしまいますしね」
「そうね。あと3日で学園だものね。
制服の注文は済ませたかしら?」
「ああ、いえ…本日行く予定です。ね、レイド」
「ああ、制服ならば既に発注済みですよ、お母様」
「え?で、でもお金はどうしたの?」
「こう見えて、私も既にお金は稼いでおりますので」
「え、えぇ!?初めて聞いたわ…」
「おや、父上?」
「あ、ああ…!そういや忙しくて伝えるのを忘れていたな!」
「まぁいいです。取り敢えず、学園の準備は既に終えていますので、ご心配なさらず。
お母様は、今は安静にしてください」
「え、ええ。でもね、レイド」
「違いますよ、お母様。最近、夜にお盛んだった時期があるでしょう?
その時から、お母様の体内に、新たな気配が芽生えているのですよ」
「まぁ、おめでたいことだわ!念の為、医師を呼んで確認してもらいましょう!」
「え、ええ…でも、レイドはなんで気づいたのかしら」
「家族だとしても、魔力の構成は違いますから」
「そ、そう」
「ああ、そうそう。お母様、私はこの後、少し学園長に用がありますので学園へ行ってまいります」
「あら、なら私もついでに挨拶しに行こうかしら」
「ふむ…まぁ確かに、挨拶はしておいた方がいいかもしれませんね」
昨夜は戦力としての紹介だったが、ファブルさんとの関係もそうだし、友人としての紹介もしておいた方が良さそうだな…
まぁ、俺ほど権力が効かない相手は珍しいんだけどなぁ…
多分国王ですら俺に権力をかざしても無駄だってわかってるし…
「…あっ!お母様、ミネルバ夫人。すっかり伝えるのを忘れておりました。
明日のことなのですが、私とファブルさん、そしてルイは国王陛下のお茶会に招待されておりまして、城へ行かなければなりません」
「あら、お茶会?もうそんな季節になったのね。
あの方は数ヶ月ごとに仲のいい者やその子息を城に招待して、友人として雑談会を開くのよ。
だから心配しないでちょうだい。それに、私達も明日は王妃様にお茶会に招待されているもの」
「え、そうなのですか?」
「ええ、私なんかが招待されたのは流石に驚いたわ」
「私のお母様ですので、それくらいは便宜を図って当たり前ですがね」
「うふふ、過保護ね」
「幾らでも言ってください。両親が王位を欲しいというのであれば、王族に席を用意するくらい、直ぐにできますよ」
「そ、そんなことしないわよ!」
「ええ、両親は優しい方ですし、そのような選択はしないと分かっておりますとも」
「もう、からかわないでちょうだい」
「ふぅ…では、私は申し訳ありませんが、これで失礼致します」
レイドは席を外す瞬間、ファブルの手に伝言を書いた紙を渡した。
「…?」
1
お気に入りに追加
220
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
学園アルカナディストピア
石田空
ファンタジー
国民全員にアルカナカードが配られ、大アルカナには貴族階級への昇格が、小アルカナには平民としての屈辱が与えられる階級社会を形成していた。
その中で唯一除外される大アルカナが存在していた。
何故か大アルカナの内【運命の輪】を与えられた人間は処刑されることとなっていた。
【運命の輪】の大アルカナが与えられ、それを秘匿して生活するスピカだったが、大アルカナを持つ人間のみが在籍する学園アルカナに召喚が決まってしまう。
スピカは自分が【運命の輪】だと気付かれぬよう必死で潜伏しようとするものの、学園アルカナ内の抗争に否が応にも巻き込まれてしまう。
国の維持をしようとする貴族階級の生徒会。
国に革命を起こすために抗争を巻き起こす平民階級の組織。
何故か暗躍する人々。
大アルカナの中でも発生するスクールカースト。
入学したてで右も左もわからないスピカは、同時期に入学した【愚者】の少年アレスと共に抗争に身を投じることとなる。
ただの学園内抗争が、世界の命運を決める……?
サイトより転載になります。
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる