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あれおわった

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「さて、どうした物か……」

 壁の一部、おそらく小さな通路付近だろう、そこに魔物が集まっている。

「壁の向こうは無事だといいなぁ」

 魔物達が詰まって進めている様子はないのでとりあえず殲滅してから進むしかないだろう。

(フィアさん、焼いてみて下さい)

(なんで我なのだ?)

(いや最近出てきてないし……)

(別に構わないんじゃが……)

(じゃあせめて力を使わせてほしいかな)

(勝手に使えばよかろうに)

(いやぁ自分の力じゃないし……)

(もうお前の力じゃよ)

(そうなの?)

(そうじゃよ、じゃから好きな時に好きに使え)

「よっしゃ、じゃあ や る ぞ ぉ」



 人が確実に見てないだろうというのをいいことにフィアの姿になってから魔物が集まっている所に思いっきり炎を吐きかける。

「(あーすっきり)」

 ユウキとフィアの気持ちが同じタイミングで出てきたココ最近は徐々に溜まりつつあった鬱憤がかなり解消された。

 煙が晴れると炎が着弾したと思われる所は溶岩の池になっていた。

(コレどうにかならないの?)

(コレばかりはこの世界の生き物が絶滅しないとどうもならんだろうな)

(この世を恨み過ぎでしょう?)

(コレばっかりは我自身でも制御できんのだ、そもそもそんな短い間隔で発散しないといけないのが問題じゃ)

「そんなぁ」

 フィアの恨みの原因は人間なので当人(龍?)は気にしてないつもりでも心の奥底では未だにどす黒い物が残っているのだろう。



 落ち込んでても仕方ないので人の姿になって未だに煮えたぎる溶岩の池に向かう。

「……熱っつ」

 自分でやっておいてなんだがちょっと引いてしまった。

「ていうか壁って無事なんだな」

 どうやら物理以外にもちゃんと対策をしているようだ、壁だけは溶けておらず黒ずんでいる程度で持ちこたえていた。

「うっわ熱っつ、何が起こったんですか」

「アレ、中も無事なんですか?」

 壁の一部が開いて中から人が様子を見てきた。

「あ、アーノイドさんじゃないですか、お久しぶりです」

「え、あぁどうも、ていうかなんでこんな所に?」

 よく見ると以前にロボットが運営する宿屋で出会った転生者の長谷川がそこにいた。

「いやぁ、商売で来てみればこんな事になってて、いやぁでもユウキさんがさっきの大群を何とかしてくれて助かりましたよ」

「お助け料1億万円、ローンも可」

「この世界に円は流通してませんよ」

 ネタが通じたようで一安心した。

「で壁の向こうってどうなってます?」

「壁の中は大丈夫ですよー、アレはこっちでは起こってないですからね」

「あーじゃあ今回の任務は終わりかなぁ」

 試しに鳥を作り出して壁の向こうを見てみるがさっきの魔物はいないようだ。

「任務って訊いても?」

「あぁ、さっきの魔物を討伐すること、壁の向こうにいないならもう終わりかなぁ」

「あ、じゃあついて行ってもいいですか、次にそちらの国に行こうと思っていたんですよぉ」

「護衛料はちゃんともらうからね」

「当たり前ですよぉ」

「じゃあ全力で我が小隊は護衛させていただきますよ」

 臨時収入が入るので接客するように対応する。

「小隊、ですか?」

「向こうに部下が待機しておりますので、是非その中心で守らせていただきますとも」

「一応仲間がいて全員で5人いるんだけど大丈夫か?」

「5人の規模でしたら大丈夫ですよぉ、ささこちらになります、あ、こちら溶岩がまだ冷え切っていないので危険で危ないので気をつけてくださいね」

「お、おう おーいみんな、大丈夫から行こうぜ」

 長谷川の号令で4人の若い女性がついていった。



「こちらになります」

「マジかよ」

「皆、今から基地までこの5人を護衛する、終わったら食事が豪華になるぞ、気合を入れろ」

 ゴーレムにスピーカーがまだ搭載されていないので反応が分かりにくいが明らかにやる気が上がったのは分かった。
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