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姫様の採点

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 待機室に戻ると既に姫様が退屈そうに待っていた、及第点と言っていた時は少し楽しそうに言っていたので完全に不満というわけではなさそうだ。

「あと4回あるけど次からはアレ以上の演出が出来るのよね?」

「あぁ……」

 つまりのこり4回もあの魔力を無駄に消費する事をしないといけないらしい。

「せ、せめてドーピングを……」

「はぁ、下のフロアに飲食する所があるじゃない、参加中の選手は無料で食べられるから行ってくれば、勝ち上がっている限り食べ放題なんだし」

「では行ってまいります」

「一気に元気になったわね……まいってらっしゃい」



 下に降りてみると試合中な事もあって人が疎らで並ぶことなくご飯を食べていった、食べ物の種類が多いようで、そのほとんどが片手で持てるものになっている、おそらく食べながら観戦できるようになっているのだろう、この世界でもこういったものは少し割高になっている。

「ま、こんなもんだよな」

 味はそこそこで可もなく不可もなくと言ったところだろう、しかしカロリーはあるので数を食べれば十分に次で魔法を無駄遣いできそうだ。

「お嬢さん、良く食べるねぇ」

「魔法の消費が大きいからね、ここがなかったら私は棄権していたかもね」

「そりゃあ大変だな、ほらタダなんだからもっと食え」

「おっちゃんありがとう」

「いいってことよ、どうせ後で国に請求できるんだからなぁ」

「じゃあもっと頼もうかな」

「まいどあり!」

 一通り飲食を堪能してから待機室に戻ると姫様はおらず観戦室に戻ったようだ、腹ごなしに軽くストレッチしていると放送で呼び出しが入り、2回目の戦闘に向かう。



「次、どうしよ……」

「それでは試合、開始!」

 次の対戦相手をどうやって派手に倒すか考えていると戦闘が開始されてしまった。

「魔術相手なら一気に距離を詰めれば!」

 今回の対戦相手は剣術に長けているようで一瞬で距離を詰められてしまった。

「あぶな!」

 ユウキはとっさに斬りかかってきた刃を両手で受け止める。

「なんと?!」

 白羽どりされると思っていなかったのか驚きの声がした、とっさに反応したユウキも驚いていた、別に斬られて真っ二つになったとしても平気だが、さすがにこんなところでそんな姿をみせられない。

「一閃!」

 ユウキが叫ぶといつの間にか対戦相手の後ろで剣を振り払うように振り下ろすと対戦相手はそのまままっすぐ倒れた。

 会場の観客達はどうしたのかと疑問を浮かべていたが、審判が倒れた対戦相手を確認してから決着を宣言する。

 少しの沈黙があったが一瞬で決着がついた事を理解したのか歓声があがる。



「父上すげぇ……」

 待機室に戻るときに思わずつぶやいてしまった、父親がユウキの記憶を覗いてみると剣術に関するものがいくつかあり、その中にあった居合っぽいものを感覚でやっただけなのだが上手く出来てしまったようで親子で驚いていた。



「派手とは言えなかったけど無かったけどこういったシンプルで攻めるもの悪くはないわね、いい演出だったし、でもこの手はもう使ったらダメよ、つまらなくなるから」

「……わかりました」

 姫様の評価は厳しかった。
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