上 下
128 / 244

南の島の遺物

しおりを挟む
「何か成果がありますように…」

 魔法で周囲を明るくして警戒しつつ進んでいく、通路はかなり横に広く自動車などでも余裕で通りそうでかなり大きな荷物でも運び入れることは安易だろう。

 その通路が広いおかげで周囲の警戒や観察の行いながらになるのでかなり遅い進行となる、この通路に何もなければ全く無意味な行動ではあるもののこの行動を行わない訳にはいかない。

「面倒だな……」

「だねぇ……」

 十数メートルほど進んだが何もなく面倒くさくなった2人は慎重に進むのをやめてユウキを先頭にして警戒しつつ進みだした。

 少し歩くと大きな石でできた扉に遭遇した。



 絵が彫られていたようだがかなり風化しており、もう何が彫られていたか判別がつかなくなっている、それほど古く時間が経過したものなのだろう。

 ユウキが迂闊に扉に触ってみるが何も起きなかった。

「……何にもない?」



 こういったものには罠がありそうなものだが何もないので更に慎重になる。

 即死系の罠は高価で大掛かりなので無いとは思うが、一応ユウキは腕を肥大化させて分身を作り、人の形になったことを確認してから切り離してから分身を先行させる。

 ユウキ達は数歩下がり分身に扉を開けたままにして中に入れて数歩進めさせて軽く歩き回らせるが特に何も起こらない。

「ただの空間?」

 このまま油断させて何かあるかもしれないので油断せずに扉の中に入っていく、中は朽ちた瓦礫ようなものが散乱しており埃っぽく廃墟のような印象がある。

「本当にここはなんだろう…」

 更に探索しても朽ちた物しかなくざっと見た感じでは大きな部屋が1つと小さな部屋が5つあるが特になにか使えそうなものはありそうにない。

 こうなれば後は隠し通路探しになるで地味な探索になるので分身を増やして探索を始める。



「あ、あったわ」

 時間がかかるかと思っていたが部屋の構造を観察すれば簡単に見つけることができた、壁を慎重に破壊していくが全体が脆いため危うく広範囲で破壊するところだった。

 隠し部屋の中には石でできた長方形の箱のような物と床に微かに光る魔法陣があった。

「さて何がでるかな……」

 床の光とそれから感じる魔力の気配は弱く罠などの気配がない。



 石でできた箱に触れてみるが特に反応がない、普通なら念入りに調査してから開けるものだがここにいるのは2人だけであり最悪壊してしまっても構わない。

 ユウキがゆっくりと取っ手を掴み、石でできた箱を開けると中には緑色の液体で満たされていた。

「ナニコレ……?」

 二人で顔を見合わせて首をかしげる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

気がついたら異世界に転生していた。

みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。 気がついたら異世界に転生していた。 普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・ 冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。 戦闘もありますが少しだけです。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

伯爵家の次男に転生しましたが、10歳で当主になってしまいました

竹桜
ファンタジー
 自動運転の試験車両に轢かれて、死んでしまった主人公は異世界のランガン伯爵家の次男に転生した。  転生後の生活は順調そのものだった。  だが、プライドだけ高い兄が愚かな行為をしてしまった。  その結果、主人公の両親は当主の座を追われ、主人公が10歳で当主になってしまった。  これは10歳で当主になってしまった者の物語だ。

私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ

Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」 結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。 「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」 とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。 リリーナは結界魔術師2級を所持している。 ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。 ……本当なら……ね。 ※完結まで執筆済み

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

処理中です...