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乱入者

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「では準備も出来た所で初めましょうか」

 先攻後攻はコイントスで決めるようで、結果はミルシアのメイドが一番最初になったようだ。

「それでは僭越ながら私が先行をいただきます」

「私は蒼玉の竜を召喚します」

 召喚の宣言と共に竜の鳴き声が聞こえてくる。

「召喚したらこんな演出があるのか」

「ユウキ、これは紙に召喚成功時の演出なんてありませんわよ」

ミルシアが解説していると馬車の窓がノックされ見張りのメイドが少し慌てながら報告してきた。

「後方から真っ直ぐこっちに飛竜種が向かって来ます!」

「そうですか…ユウキ頼めるかしら?」

「え、あ、うん…そのメイドさん達って信用できる?」

「ええ、とても」

「じゃあ一端馬車止めて、一瞬で終わらしてくるよ、あとできれば見られないようにしてほしいな」

「ではメイドの視界も私が何とか致しますわ、乙女には秘密が多い方がいいでしょう」

「助かる」

 ミルシアは壁を2回3回2回と叩くと馬車はゆっくりと止まり、ユウキは早速出て飛竜種が向かってくる方向へ行くと10メートルほど離れた所にまで飛竜種が迫っていた。



「そんな低脳でドラゴンを語るな!」

 ユウキが低く吠えるとドラゴンが怯えて飛行を止める、ユウキは何故か湧いてくる怒りのままに自身の体を龍の体にフィアの姿に変化させる、大きさ自体は変わっていないようだ。

 地面を強く蹴り飛竜種の首を食いつき、そのまま噛み千切って息の根を止める、飛竜種が動かないことを確認すると飛竜種を食べ始める。

 全て食べきった後に身体を元に戻してから振り替えるとミルシアを守るようにメイドの1人がユウキに剣を向けていた。

「まぁ、そうだわな」



「お嬢様、此処から一番近い場所は目的地ですので私が時間を稼いでいる間にお逃げください」

「はぁ、何言ってるの?」

 メイドの人は怯えながらもミルシアを庇っている。

「あれは恐らく黒龍…お嬢様をお守りしながらの戦闘は不可能かと、最悪時間稼ぎ自体が出来ない可能背もあります」

「そんなことないわよ」

「しかし」

「エヴァ!」

「は、はい!」

 馬車の中で何事か把握できずにオロオロしているメイドが呼ばれる。

「あなた、ユウキが黒龍になるまでどんな感じでしたか?」

「え、黒龍、そ、そうですね、おとなしい感じで敵意や殺意などは感じませんでしたが…」

「だ、そうです、ユウキ!」

「何~?」

「敵意ある?」

「な~い」

 両手を上げて無防備を示す、この世界でこの方法が通用するかわからないが……。

「ならいいではありませんか」

「しかし!」

 足がほとんど動いていないがメイドは食い下がらない

「私が、良いと、言ったのです!」

「…畏まり…ました」

 ミルシアに言いくるめられまだメイドの人は少し不満そうだが引っ込んだ。

「この場が収まったのでしたらお嬢様方血の匂いに誘われて魔物が来るので急いで馬車にお戻り下さい」

 メイドに促され全員馬車に戻り、周囲の確認を簡単に済ませすぐに出発した。

「ではゲームの続きといきましょうか…」
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