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悪魔でシスターですから

便利な機能は意外と気が付かない

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「何もない所ですが歓迎させていただきます」
 教会に入るとシスターさんが迎え入れてくれた、遠巻きに子供達がこちらをうかがうようにしている。
「どうも、一晩よろしくお願いします」
「はい、お願いします、部屋はすぐ横になります、夕食と朝食は出来次第に及びしますね」
「ありがとうございます、お部屋でゆっくりしてますね」
 案内された部屋は簡素な作りで最低限だけの物が置いてある、埃などは無いので定期的に掃除されているようだ。

「……防音は期待できないかな」
 部屋に入って扉を閉めるが外の声や音などが聞こえてくる、簡単な独り言でも外に聞こえてくるだろう。
「まぁ良いや、しかしコマッタナ~、明日出て行くからまだ大丈夫だけどよそ者の私を排除する姿勢ってコワイナー……」
 部屋の外で聞き耳を立てている人がいる前提であえて声を出してみる、流石に扉の外の気配までは把握しきれないしサヨのレーダー機能でも壁越しではなかなか機能しづらい。
 部屋の外でも反応がないので硬いベットに寝る事にして、特に視線なども感じないので暇すぎるので端末でも弄ってみる、そういえばこうして端末を弄るのは初めてかもしれない。
「……まぁ、特に、か……」
 当然だがネットワークに繋がってないのでもともと入っているアプリケーションを適当に弄ってみるが事務的な物が多くすぐに飽きてしまった。

「暇だねぇ」
(だねぇ)
 そういえば感情でサヨと恵美がいるのを忘れていた、彼女たちのも暇そうな声を出している。
(この世界だと多分このまま1人で行動しないといけないんだろうね)
(だろうねぇ、前の世界だと家族でいる事が条件だったっぽいし、今回だと1人で、しかも女性じゃないとダメっぽいね)
「かなぁ……」
 ふと自分の姿勢を見てみると足を閉じていた、意識や記憶などは男であった自分のままだが、仕草などが女性の物になっているのだろう、単純に性別が変わっただけではないようなので便利ではある。

「夕食ができましたよー」
 どうした物かと考えていると扉がノックされて夕食の呼び出しがきた。
「今行きますー」
 ベットに腰掛けていただけなのですぐに立ち上がって部屋を出る、部屋を出ると出迎えてくれたのとは別のシスターが呼びに来ていた。
 シスターは自分を見ると少し固まっていたがすぐに動き出して食堂に案内してくれた、食堂に到着すると席のほとんどが埋まっており、恐らく全員が来ているのだろう、食堂に入るなり全員がこちらを向いたのでちょっと恥ずかしかった。

「皆様席につきましたね、今日はお客様がいらっしゃいますので略式で行きましょう」
 上座に座っている年配のシスターがそういうと子供達は安堵した様子だ、いつも長いのだろう。


 食事は無難で可もなく不可もなくといった感じだ、日本だけの生活であればあまりおいしく感じなかっただろうが、いろんな世界に行っていたお陰でこの食事が美味しい方だと感じる、食事の礼儀は日本式じゃないので他の人たちの見よう見まねで済ませる、慣れない物だがシスターの方は満足してくれたようだ。
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