上 下
187 / 425
悪役令嬢を乗せて

預金の引き落とし

しおりを挟む
「中の案内はできないけど弾除けはよろしく」
「かしこまりました」
 彼女が堂々と屋敷に入って行く、屋敷の警備と思われる人達が慌てて止めに来ているがサヨと2人で跳ね返している、その光景が見ていて面白いのか歩く速度が段々と早くなっていく。

「ここよ、無理やり開けてくれない?」
 鉄で出来たと思われる頑丈な扉の前に案内された普通なら開けられないと思われるが自分達なら破壊できるだろうという感じだ。
「中に金目の物が?」
「そうよ」
 だったら吹き飛ばさない方がいいだろう、懐から剣にもなるビームシールドを取り出して扉を溶断していく、扉に魔法が掛かっているようで時間がかかりそうだ、その間にも人が来るのでそれはサヨに任せる。

「よし」
 扉の溶断が終わりこじ開けて中に入ってみると大量の金貨が積まれていた。
「なかなか爽快だなこれは」
「そう、これでも分散している方よ、お城にあるのなんてコレとはくらべものにならないから、とりあえずこれを持てるだけ持っていくわよ、四次元的な物とかある?」
「一応」
「じゃあ入るだけ入れて言ってくれない、普通に生きる程度ならこれだけあれば当面は安泰よ」
 サヨと2人がかりで金貨を回収していく、量が多く広範囲だったため時間がかかってしまった。

「じゃあずらかるわよ」
「行くアテはあるんですか?」
「いちおうね、こっちよ」
 彼女に走りながら案内されると屋敷の屋上に出た。
「飛べない?」
「サヨが担ぐ形になるけど……」
「それでもいいわ、行きましょう」
 自分と彼女を両脇に抱えると翼を大きく広げて飛び立つ。
「……方向は合っているんですか?」
「あっているわ、そのまま真っ直ぐに行ってくださいな、風避けとかはこっちで行いますのであと3倍ほど速度が出ても大丈夫ですよ」
「では遠慮なく」
「暫く進むと町があるハズですのでそこの入り口で降りてくださいな」
「わかりました、ここで良いですか?」
「はや、ええここで合っていますわ」

 彼女が門番の方へ向かうと何やら話こんでいたが門番が頭を下げて門を開けた。
「さ、こちらですわ」
「あ、はい」
 彼女に促され門番に不審な視線を受けながら門をくぐると中は大きな街になっていた。
「ここは?」
「私の親戚が納めている街よ、この距離ならまだ連絡がきていないハズだから一度ここで補給を受けて出発しますわ」
「泊まったりしないんですか?」
「そんな事したら連絡が来てモーニングが牢屋なんて事があり得るわよ」
「そんなに早いんですか?」
「意外とね」
 返答するその顔はかなり苦しそうだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

処理中です...