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空の旅

風化したモノ

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「何もないですね……」
 船にいる人間全員でモニター越しに周囲の状況を確認にているが特に変わった物は発見できていない。

 何も発見できないまま、ついに船は指定されたポイントの真上に到着したが特に何もおこらない。
「どうしましょう?」
「これは降りてみるしかないだろうな……」
 本当に上からの指示かもしれないので無碍にもできず転生者は苦し紛れながらも船を降りる、自分達も一応の用心をしつつ船を降りるとなんだか空気がよどんでいるような気がする。

「よくぞ参られた……」
 船を降りるといきなり目の前に黒いローブで全身覆われた人物が現れた、聞こえた声では男女の区別がつかない。

「貴方が我々を呼んだのですか?」
「はい、ここ数年人がめっきり来なくなりまして、どうしても我々には人手が必要でしたので……」
「それは何故ですか?」
「老い先短い我々では足りないそうなのです」
「足りない、とは?」
「もちろん生贄ですよ」
 ローブの人物がニタァと笑ったと思うと、地面が真っ黒になりその場にいた全員が落下する、転生者がわけがないという顔をしているので、このような現象はこの世界においてもあり得ない状況なのだろう、サヨの方を向くとサヨもこれが魔法によるものと確定させる。
 こうなると魔法で対抗するしかないのだが自分はそこまで強い魔法を使う事ができないので、今の現象に干渉できるか不安だが、やるだけやってみる。

「コレを打ち破るなんて只者ではありませんね」
 どうやら上手く魔法を攻略できたようだ、かなり力ずくだったがひとまず解決できてよかった。
「その手の対策もしているんですよ」
「そうですか、ではやや強引に行かせていただきましょう」
 ローブの人物が両手を大きく広げるとその周囲に嫌な気配が漂い始める、正直今まで一番遭遇したない雰囲気があり今すぐここから退散したいほどだ。

「アルジよぉ、一度私を糧に現界くださいませぇ、他の生贄なら、近くにおりますル……、キット、満足、頂ける、カト……」
 口から血を流しながら笑顔で何かに向かって話かける、上を向いているせいで口に血が溜まっており言葉にすることもやっとといった感じで言い終わると笑顔のまま倒れた。
「ここは危険です、すぐに離れましょう」
 転生者の腕を掴んでみると転生者は倒れたローブの人物にくぎ付けになって動けないようだ。
「これはヤバいって」
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