幼馴染を起点とする異世界ハーレム

いあっち

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王女と公爵令嬢とエルフからの救援要請

お話し

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 王城にて国王と話を済ませた後、俺達は寄り道せずにホテルへと戻った。理由は簡単、早くサーシャとミーシャを休ませたかったからだ。


「ふぅ……」


 とりあえず部屋に入ってベッドに腰掛け一息つく。
 この部屋にはソファーもあるが柔らかさという点ではベッドに劣る。だから俺はベッドに座る方が好きだ。


「海斗、こっちはいつでも話せるわよ」


「了解した」


 さて、気を引き締めるか。今からやることはサーシャとミーシャのトラウマを刺激することになる。慎重にいかないと取り返しの付かないことになるかもしれない。そんなことにはしたくないのでゆっくりと丁寧に進めよう。


「サーシャ、ミーシャ。今日会った貴族について何か知ってる?」


 ここで少しでも怯えたら今はまだ聞けない。 

 ちょっと慎重すぎると思うかもしれないが、それだけ人の心というのは繊細に出来ている。それに加えて二人はまだ年齢的に幼い。サーシャはギリギリ中学生くらいの年齢だしミーシャに至っては小学生レベルだ。
 ほら?こういうと凄い幼く聞こえるだろ? 

 もう察しているだろうけどそんな年齢の子供の心というのは簡単に傷つく。傷ついて、壊れる。
 だから無理には聞けないってことだ。


「……はい」


「……うん」


 サーシャは俯きながら、ミーシャは手を握りしめて、それぞれ答えてくれた。


 ……怯えてるって感じじゃ無さそうだな。どっちかっていうと鬱屈……かな?
 これならもう少し聞いても平気そうだ。


「どんなことを知ってる?住んでいる場所とか分かる?」


 これが分かればあの貴族に会わないで済む。近付かなければいいだけだ。
 最も、王都にいるとかだったら意味ないけどな。


「確か、シューバの街のさらに西、だったはずです。その街の名前までは……覚えてないです」


 シューバの西……俺達がこの世界に来た時の森があるけど、そのさらに西ということか。
 名前はまあ、調べればいいだろう。


 となると後は何をされたか、だ。
 
 他の情報は正直どうでもいい。人柄とかは何をされたか聞けば分かることだし、家の細かい情報はアレックスに聞けばいいだろう。


「そうか。…………次からは無理して答えなくていいからな?」


「……はい」


「……うん」


 二人も何を聞かれるか分かってそうだな。 

 ……俺も覚悟を決めるか。踏み込むことを恐れていては何も始まらない。


「あいつに、何をされた?」


「「………………」」


 ……やっぱり、話せないか……。


「今は、キツいか?」


「……いえ、その……」


 うーん?話せないって訳じゃないのか?
 でも実際話してくれないしなぁ……。 

 愛花にどうすればいいかと視線を向ける。
 と、そこで違和感。


 ーーあれ?あいつ何かに気付いてる?


 助けを求めようと愛花に視線を向けてみれば、その愛花は俺が分かっていない何かに気付いている様子。 

 ここは愛花に任せてみるか。俺じゃあこれ以上どうしようもないしな。


 ーーチラッ 

 ーーコク


 幼馴染みだからできる目線の合図で話の主導権を譲る。 

 ここからは俺は傍観だ。


「ねぇ、話してくれないのってもしかして、捨てられることが怖いから?」


「!!…………はい。怖いです……」


「どうして怖いの?誰も自分を助けてくれなくなるから?」


「いえ、その、そういうことではなくて……」


「じゃあ、どういうこと?」


「あ……えっと……」


 愛花の矢継ぎ早の話にサーシャもたじたじだ。
 こうなった愛花は強い。それが全員にとっていい方向に行くかはともかくとして必ず最後には何かしらの結果を出してくる。 

 今回だってほらーー


「私達に話した結果捨てられて、誰からも存在を認知してもらえなくなるから?」


「…………ぁ……」


「そしてミーシャちゃんのことを守れなくなるから?」


「………………」


 どうやら図星らしい。
 やっぱり、こういう時の愛花は強いな。


 にしても、そこまで捨てられるのが怖いのか……。
 いやそりゃあ誰でも捨てられたりしたら怖いだろうけど、サーシャ達はそれが顕著だな……。 

 さて、ここから愛花はどう対応するんだか。
 頼むから二人を救ってくれよーー。


「はあぁぁ~。呆れた」


「!!!!」


「ッ!ーー」


 初っぱなから、思わず声が出そうになった。が、ここで口を挟んでもいいことが起きない気がするのでなんとか抑える。


「あのね、仮に私達が二人を捨てたとしても見てくれる人はいっぱいいるし助けてくれる人だって大勢いるわよ。ギルドの職員もそうだし、宿の人だってそう。なんなら国王様やアリスちゃんとかルーシャちゃんも手を貸してくれるわ。そもそも捨てたりなんて絶対にしないけどね」


「でっ、でも!ギルドの人達はそうでも、王様達が助けてくれるはずない!」


 まあ、普通はそう思うよな。ただの奴隷のために国のトップクラスが動くわけないと。
 でも、今回は訳が違う。


「なんでそう思うのかしら?あなた達もメダルを貰ったでしょう?あれがある限り少なくともアリスちゃんとルーシャちゃんの二人は助けてくれるわよ。それだけの重みをあのメダルは持ってるわ」


 そう。このメダルの存在だ。これは王家と公爵家が認めている証。そんな重要なものを持った人を放置しておくはずがない。
 でも、幼い二人にその話はまだ理解出来ていなくて、


 
「そ、そんなの、ただのメダルでしょう?ただのメダルに価値があるなんて、普通は分かるわけないじゃない!」


「分かるわよ。少なくとも皆あなた達よりは理解しているわ」


「何を根拠にーー」


 こういう言い争いになってしまう。


「……んて………う…ない」


 ん?今の声はミーシャか?


「貴族……んて……よう……ない」


「ミーシャちゃん?」


「貴族なんて!信用できない!!」


「ちょっと、ミーシャちゃん!?」


「おいミーシャ!!どうした!!」


 ちょっ!?襲ってくるんですけどぉぉ!!??
 どうにか抑えないと……!幸い武器は使ってこないが、それでも爪で十分攻撃されてしまう。流石にここで流血沙汰は避けたい!


 


 ふと、脳裏にあることを思い出す。
 良心が痛むが、これなら抑えられる。


「ミーシャ!命令だ、その場で止まれ!!」


「あぐっ!?」


 ガクンと音が聞こえそうな感じに体が揺れ、ミーシャの攻撃が止み、そのまま静止した。
 
 ーー上手くいったか。


「愛花」


「ええ…………ねぇミーシャちゃん。私はあなたが何をされたか知らない。だから好き勝手なことが言える。それであなたの気分を害したのなら謝るわ、ごめんなさい」


「ち、ちがっ、気分を害されたとかじゃ……!」


 俺の命令はあくまで止まれなので、喋ることはできる。


「でもあなたは見るからに乱心していたわ。それは嫌な気分になったからじゃないの?」


「それは…………」


「まあ、この質問には答えなくてもいいわ。でもね?あなた達の過去を知らないとまた私達はあなた達を嫌な気分にさせてしまう。それは嫌なの。だから……」


 そこまで話して、愛花はサーシャとミーシャに近づき両手で二人を抱き締める。


「あなた達のこと、もっと教えて?」
 


 

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