幼馴染を起点とする異世界ハーレム

いあっち

文字の大きさ
上 下
41 / 61
異世界&冒険者

王女と公爵令嬢

しおりを挟む


 行きの時と変わって今度は俺達だけでの護衛となる。
 それによって陣形も変わり前に俺とサーシャ、後ろが愛花とミーシャの組み合わせになった。
 愛花に奴隷紋のことを聞きたかったのだが、馬車の前後では距離があり声が届かないためサーシャに聞くことにした。


「奴隷紋ってどんなものなの?というかいつからついてたの?」


「ええと、先にいつつけられたのかを言うと最初に売り払われた時にはついてました」


「それからずっとついてるの?」


「はい。これは解除魔法を使わないと消えないんです。契約を解除するだけなら契約魔法でもいいんですけどね」


 つまり今までは契約魔法で主人との契約だけを解除して奴隷紋はそのまんまだったってわけか。もし逃げ出したとしても誰かの奴隷になるように。
 酷い話だな。 

 もっともそうされていなかったら今の俺達の関係は無かっただろうからなんとも複雑だ。


 いや待てよ?そもそも解除魔法を使える人が少ないとか言わないよな?


「解除魔法ってどのくらい使える人がいるんだ?」


「そうですね……。Sランク以上の魔法使いなら使えると思います」


 Sランクって相当なレベルじゃん!
 てことはこれ、仮に奴隷商とかが解除しようとしても出来なかったっていうことになるのか。
 
 いやまあ奴隷商が解除しようとするのかと言われれば答えはNOなわけだが。


「あと奴隷紋の効果ですが、主に奴隷の行動を制限するものと罰を与えるものの二つがあります。これ以外にも魔法を組み込めばいろんなことが出来ます」


 制限と罰ね……。
 予想通りではあったかな。命令すれば言うことを聞くなんて普通ではありえない。
 だからこの紋で強制させるのだろう。 

 にしても罰とは。
 行動を制限すればそもそも気に障ることも無いだろうに。
 これは趣味とかで使う奴が多かったのかな。 

 まあ、俺達みたいに自由にさせていたとかならまた話は別だが。
 俺達だって二人が悪いことをしたらそれ相応の罰は与える予定だ。二人とも良い子だからそんなことはないと思うけどね。


 ……なんなら俺の方が罰を受ける可能性が高い気がするぞ。日本にいた頃には自堕落生活を送っていたからな。
 愛花にしょっちゅう怒られた。 

 この世界ではそんなこと無いようにしないと。じゃないと二人に示しがつかない。


 まあこの話は置いといて、次の魔法を組み込むって所だ。


「魔法を組み込んだら何が出来るようになるんだ?」


「たくさんありますよ?位置を特定するものや身体や精神の成長を阻害するものまで、とにかくいろいろあります」


「成長を阻害って、どういう意味があるんだよ……」


「小さい子供が好みの方とかが良く使うようです」


 最低なロリコン野郎だな。


「そこまでするとか終わってるな。それにしてもサーシャはいろんな事を知ってるんだな」


 正直サーシャがいなかったらこの世界の常識が分からなくて大変なことになっていた自信がある。その知識は一体どこで培ったんだろう……?


「奴隷商や街の人が話しているのを盗み聞きして覚えました。あとは売られる前に本を読んだりして覚えました」


「へえー。結構好奇心旺盛だったりする?」


 この場合はただの好奇心ではなく知的好奇心の方だな。


「自分では良く分かりません。ですが昔からいろんな事に興味はありました」


「それを好奇心っていうんだよ」


「そう……なんですね」


 まだ良く分かっていない様子。
 それとも納得出来てないだけかな? 

 とにかくその気持ちは大切にして欲しい。


「あれ?前に何か居ますね」


 サーシャの視線の先を見ると確かに何かが見える。


「ここからだと良く見えないな……。もうちょっと進まないと」


 そのまま真っ直ぐに進んでいくとその正体が見えてきた。


「あれって馬車じゃないか?凄い大きくて豪華だけど」


 今俺達が護衛をしている馬車の倍くらいは大きい。
 装飾も金や銀が多く使われているようで煌めいている。


「あれは恐らく上位貴族か王族の馬車ですね」


 貴族は予想していたが王族とは予想外。
 でもなんでこんな場所で止まってるんだ? 

 ……なんか面倒事の予感がする。


「こういう時ってどうするのが普通何だ?」


「動き出すようでしたら少し距離を置いてから私達がその後ろを、止まったままなら先に行くと話をしてから進むのが普通です」


「ふーん。とりあえず行ってみるか」


 商人に確認をとり、そのまま例の馬車のところまで進んだ。


・~・~・~・


 馬車に追い付いたわけ何だが、向こうが少し騒がしい。


「止まれ!そこの者達で誰か回復魔法を使えるものはいないか!?」


 護衛であろう騎士の一人が話しかけてくるが、とても切羽詰まった様子。
 回復魔法だから誰か怪我でもしたのかな?


「俺は使えるぞ」


「本当か!?ならこっちに来てくれ!治して欲しい方がいるんだ!」


 ん?
 治して欲しい·
 同僚とかなら治して欲しい人になるはず。 

 ということはもしかしてお偉いさんか?


「この方です」


 騎士に案内されその場を見渡すと地面に倒れこんでいる金髪の女の子とそれを抱き抱える緑の髪をした女の子だ。
 二人とも俺と同い年くらいだ。


「こちらの方は……?」


「ルーシャ様、こちらは通りすがりの冒険者で回復魔法が使えるとのことです」


 緑の髪の子はルーシャというらしい。
 その子が縋るような目で俺を見てくる。


「回復魔法が使えるというのは本当ですか?」


「ええ、致命傷とかでなければある程度は」


 流石に致命傷とかいわれたら無理だ。
 技術が上がれば出来るかもしれないが今はまだ出来ない。


「なら、この子を治して下さい!お腹を矢で打たれちゃったんです!」


 お腹か……。
 パッと見た限り腎臓や肝臓に直撃ではなくかすっただけの様なのでまだ治る余地はある。
 にしてもどうやったら矢が刺さるんだよ……。
 護衛が居たんじゃないのか? 

 まあいい、とにかく治すのが先決だ。


「失礼します」


 一言断ってから金髪少女の服を捲り体を見る。
 周りの騎士達が何か言いたそうにしていたが、命に関わる問題なので渋々引き下がったようだ。
  

 矢はまだ刺さっておりそれで血が流れ出るのを止めているようだ。ここで矢が抜かれていたら失血で危なかったかもな。
 他の部位を見るが矢が刺さった場所以外に怪我はなく、
矢が刺さった痛みで気絶したようだ。
 呼吸も安定しているし問題は患部だけのようだ。
 これだけなら十分治せる範疇だ。


「今から矢を抜きますが血が飛び散るかもしれないので少し離れて下さい」


 血がかかっただなんだと言われると面倒だからな。


「分かりました」


 そういってルーシャを初め皆数歩下がった。 

 よし、やるか。


 運良く矢に返しはついていないようなのでこのまま引く抜く。すると予想通り血が吹き出るので持ち合わせた布で押さえる。
 その間に回復魔法を使い穴を塞ぎ処置を完了する。 

 魔法って本当に便利だな。こんな直ぐに傷が治るんだもん。


「治りましたよ。後は目が覚めるのを待つだけです」


 そう伝えるとほっとした様子を見せるルーシャ達。


「良かったです。この子が死んだら大変なことになっちゃいますからね」


「つかぬことをお伺いしますがそちらの方は一体?」


 王女とかそんなレベルの人っぽいけど。


「申し遅れました。私はルーシャ・フォン・セールスと申します。公爵家の娘です。またこちらはアリス・フォン・ルーズ・ローエイです。この国の王女でございます」


 やっぱり王女とその類いだったか。
 これは本当に厄介事の予感。




 
  

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。 小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。 本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。 お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。 その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。 次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。 本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...