38 / 61
異世界&冒険者
別れ
しおりを挟む
盗賊の襲撃を乗りきった後、街も近いということでこのまま進むことになった。
今回の盗賊は通常よりも規模が大きく普段からここを通る人達にちょっかいをかけていたようだ。
これだけの人数だからどこかしらに盗賊達が住んでいた場所があると思うのだが、それは街の兵士に任せるのだという。
確かに一商人が盗賊の住処まで特定する必要はないしな。
「今になって思ったけど、案外簡単に人を殺しちゃったわね」
「本当に今更だな。でも言われてみればそうだな、全然躊躇わなかった。何でだろうな?」
俺達に出会う前まで生死の瀬戸際を歩いていたサーシャ達はともかく、俺達はそんな簡単に人を殺せる度胸は無かった筈だ。
そりゃあ口では自分を守るためなら人を殺すとは言ったさ。でも口で言うのと実際に行動に移すのでは大きな違いがある。
異世界補正か?
アークの奴が何か弄ったとか。
……無いな。
あいつは精神を弄ることだけはしなさそうだ。
少ししか話さなかったけどアークは個というものを楽しんでいる気がする。
そんなあいつが精神をいじくったりはしないだろう。
あくまでも憶測ではあるが。
「もしかしたら自分達で考えている以上に冷酷なのかもね」
「冷酷って……。まあ、そうなのかもな」
それだけで済ませてはいけないような気もするが、今はそういうことにしておこう。
「街に着いたら何する?まだ往復するかも決めてなかっただろ?」
「そういえばそうね。うーん、それは街の雰囲気を見て決めましょう」
雰囲気か。
確かに雰囲気は重要だ。殺伐とした場所になんて居たくもない。
「なら、装備品とかポーションとか先に揃えておこう。無いよりあった方がいいからな」
無くて困ることはあっても予備を持っていて困ることは無い。
「そうね。そうしましょう」
・~・~・~・
何事もなく門を通り抜けいざ買い物へと思ったが先にギルドへ行くことになった。
というのも護衛の依頼は往復の場合であっても行きと帰りで別々の依頼扱いになるからだ。
なんでそんな面倒なことをと思ったが、なるほどよく考えてみればこのやり方の方が報酬を正しく貰える。
例えば往復の人と片方しか護衛しない人で比べると、片方の人は一回行って書類を渡せば完遂だが往復の人だと帰るまで書類を持っていないといけない。
そのどこかで書類を落としたとなると厄介だ。
仕事をしたしてないの水掛け論にだってなりうる。
その点別々の依頼ということにしておけばそんなことも無くなる。
確かにこちらのやり方の方が断然いい。
そもそも書類を失くす時点で冒険者としてダメだと思うけどな!
「お前達は往復するのか?」
「いや、まだ決まってない。そういうゴル達は?」
「俺達は往復しない。このまま旅をするつもりだ」
ふむ。ゴル達は往復しないのか。
となるともし依頼を継続して受けるなら帰りは俺達とまた別の新しいパーティーになるのかな?
「そうか……。ならこの街でお別れか」
「そうだな。数日の付き合いだったが楽しかったぜ」
「ああ、俺もだ」
そんなことを話している内にギルドについた。
「すみません、依頼の確認をおねがいします」
「かしこまりました。えっと、シューバの街からの護衛ですね。特に不備は無し、と。確認取れました。こちら報酬の金貨十枚です」
「ありがとうございます」
「引き続き依頼を受けられますか?」
「それなんですけど、保留って出来ますか?」
「一応出来ますけど、三日以内に申請が無い場合は受けないということで受理されますがよろしいですか?」
三日もあればこの街を見回るには十分だ。
「はい、それでいいです」
「かしこまりました。それでは三日以内にご連絡ください」
ふう、特に問題なく終わった。
後はゴル達に挨拶だな。
「ゴル達も報酬は貰ったか?」
「おうよ!問題ない」
「そうか、じゃあこれでお別れだな」
「そうだな。でもお前とはまた会えそうな気がするぜ」
「奇遇だな、俺もそんな気がした」
「ははは!そうかそうか、なら湿っぽいのは無しだ!短く行こう!またな、どっかで会おうぜ!」
「お疲れさまでした」
「お疲れ様!また会いましょう」
「いい動きしてたよ、また会おうね」
ゴル、シアン、スカーレット、ルンの順番で言葉をかけてくる。
俺達も挨拶だな。
「おう!また会おう!」
「お世話になったわ」
「お世話になりました。またどこかでお会いしましょう」
「また会おうね!」
俺も愛花もサーシャもミーシャも、しっかり言葉を交わす。
特にサーシャとミーシャは盗賊関連の時にスカーレットさんにお世話になったからかお礼もしている。
本当にいい子達だよ。
・~・~・~・
「さて、お店にでも行くか」
「どこにあるのかしら?」
「ギルドの近くにあるとは思いますが……」
買い物はいいんだが、店の場所がわからん。どうすればいい。
「あっ、あれじゃない?」
ミーシャが見つけたようだ。
どれどれ?
[冒険者ショップストレート]
本当にドストレートだなおい!
もうちょっと名前どうにかしろよ!
「すごいストレートな名前ね……」
「もうちょっといい名前無かったんでしょうか?」
ほら!
皆言ってるぞ!名前どうにかしろー!
「まあいいわ、入りましょう」
あれっ?
もうスルーですか?
「お兄ちゃん?置いてかれちゃうよ?」
ま、マジか。ミーシャまでスルーなのか。
もういいや!気にしなーい!
今回の盗賊は通常よりも規模が大きく普段からここを通る人達にちょっかいをかけていたようだ。
これだけの人数だからどこかしらに盗賊達が住んでいた場所があると思うのだが、それは街の兵士に任せるのだという。
確かに一商人が盗賊の住処まで特定する必要はないしな。
「今になって思ったけど、案外簡単に人を殺しちゃったわね」
「本当に今更だな。でも言われてみればそうだな、全然躊躇わなかった。何でだろうな?」
俺達に出会う前まで生死の瀬戸際を歩いていたサーシャ達はともかく、俺達はそんな簡単に人を殺せる度胸は無かった筈だ。
そりゃあ口では自分を守るためなら人を殺すとは言ったさ。でも口で言うのと実際に行動に移すのでは大きな違いがある。
異世界補正か?
アークの奴が何か弄ったとか。
……無いな。
あいつは精神を弄ることだけはしなさそうだ。
少ししか話さなかったけどアークは個というものを楽しんでいる気がする。
そんなあいつが精神をいじくったりはしないだろう。
あくまでも憶測ではあるが。
「もしかしたら自分達で考えている以上に冷酷なのかもね」
「冷酷って……。まあ、そうなのかもな」
それだけで済ませてはいけないような気もするが、今はそういうことにしておこう。
「街に着いたら何する?まだ往復するかも決めてなかっただろ?」
「そういえばそうね。うーん、それは街の雰囲気を見て決めましょう」
雰囲気か。
確かに雰囲気は重要だ。殺伐とした場所になんて居たくもない。
「なら、装備品とかポーションとか先に揃えておこう。無いよりあった方がいいからな」
無くて困ることはあっても予備を持っていて困ることは無い。
「そうね。そうしましょう」
・~・~・~・
何事もなく門を通り抜けいざ買い物へと思ったが先にギルドへ行くことになった。
というのも護衛の依頼は往復の場合であっても行きと帰りで別々の依頼扱いになるからだ。
なんでそんな面倒なことをと思ったが、なるほどよく考えてみればこのやり方の方が報酬を正しく貰える。
例えば往復の人と片方しか護衛しない人で比べると、片方の人は一回行って書類を渡せば完遂だが往復の人だと帰るまで書類を持っていないといけない。
そのどこかで書類を落としたとなると厄介だ。
仕事をしたしてないの水掛け論にだってなりうる。
その点別々の依頼ということにしておけばそんなことも無くなる。
確かにこちらのやり方の方が断然いい。
そもそも書類を失くす時点で冒険者としてダメだと思うけどな!
「お前達は往復するのか?」
「いや、まだ決まってない。そういうゴル達は?」
「俺達は往復しない。このまま旅をするつもりだ」
ふむ。ゴル達は往復しないのか。
となるともし依頼を継続して受けるなら帰りは俺達とまた別の新しいパーティーになるのかな?
「そうか……。ならこの街でお別れか」
「そうだな。数日の付き合いだったが楽しかったぜ」
「ああ、俺もだ」
そんなことを話している内にギルドについた。
「すみません、依頼の確認をおねがいします」
「かしこまりました。えっと、シューバの街からの護衛ですね。特に不備は無し、と。確認取れました。こちら報酬の金貨十枚です」
「ありがとうございます」
「引き続き依頼を受けられますか?」
「それなんですけど、保留って出来ますか?」
「一応出来ますけど、三日以内に申請が無い場合は受けないということで受理されますがよろしいですか?」
三日もあればこの街を見回るには十分だ。
「はい、それでいいです」
「かしこまりました。それでは三日以内にご連絡ください」
ふう、特に問題なく終わった。
後はゴル達に挨拶だな。
「ゴル達も報酬は貰ったか?」
「おうよ!問題ない」
「そうか、じゃあこれでお別れだな」
「そうだな。でもお前とはまた会えそうな気がするぜ」
「奇遇だな、俺もそんな気がした」
「ははは!そうかそうか、なら湿っぽいのは無しだ!短く行こう!またな、どっかで会おうぜ!」
「お疲れさまでした」
「お疲れ様!また会いましょう」
「いい動きしてたよ、また会おうね」
ゴル、シアン、スカーレット、ルンの順番で言葉をかけてくる。
俺達も挨拶だな。
「おう!また会おう!」
「お世話になったわ」
「お世話になりました。またどこかでお会いしましょう」
「また会おうね!」
俺も愛花もサーシャもミーシャも、しっかり言葉を交わす。
特にサーシャとミーシャは盗賊関連の時にスカーレットさんにお世話になったからかお礼もしている。
本当にいい子達だよ。
・~・~・~・
「さて、お店にでも行くか」
「どこにあるのかしら?」
「ギルドの近くにあるとは思いますが……」
買い物はいいんだが、店の場所がわからん。どうすればいい。
「あっ、あれじゃない?」
ミーシャが見つけたようだ。
どれどれ?
[冒険者ショップストレート]
本当にドストレートだなおい!
もうちょっと名前どうにかしろよ!
「すごいストレートな名前ね……」
「もうちょっといい名前無かったんでしょうか?」
ほら!
皆言ってるぞ!名前どうにかしろー!
「まあいいわ、入りましょう」
あれっ?
もうスルーですか?
「お兄ちゃん?置いてかれちゃうよ?」
ま、マジか。ミーシャまでスルーなのか。
もういいや!気にしなーい!
0
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる