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異世界&冒険者
閑話(11部分最後)
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ギルドで登録を終えた後、俺達は食堂へと向かっていた。
食堂には十人の先着がいたがそれでもまだ二十人くらいは座れるほどのスペースがあった。
四人がけのテーブルに腰掛け、食べ物を注文しようとしたがサーシャとミーシャの二人が立ったままなことに気付いた。
「二人とも座らないのか?」
「主人と奴隷は一緒のテーブルで食べてはいけませんから」
なんだと……そんなルールが本当にあったのか。
てっきりラノベ限定の妄想かと思っていた。
「そんなこと気にしないから一緒に食べよう。ほら、座って?」
「そうよ、四人いるのに私と海斗の二人だけで食べるのは寂しいし」
「ですが……」
これは説得に時間がかかりそうだな。
なら先にミーシャを落とすか。
妹が落ちれば観念するはずだ。
「ミーシャは一緒に食べるよなー?」
「え?でも……」
あら?
いつもの如く勢いよく返事が来ると思ったんだが。
「もう、ミーシャちゃんまで。遠慮しなくていいからほら、こっちおいで?」
「うー、本当にいいの?」
「いいわよ、ほらこっちこっち」
「じゃあ……」
ミーシャも若干渋ったが無事愛花の隣に座った。
「ほらミーシャも座ったんだし、サーシャもこっち座りなよ?」
ふふふ、さっきまでは二対二だったが今は三対一だぞ?
それでもまだ抗うか?
「あぅぅ、わ、分かりました」
そうしてようやく座ったサーシャ。
これでやっとご飯を頼める。
「すみませーん!注文お願いしまーす!」
「はーい!」
注文は店の人が来るまでに決めたからあとは伝えるだけだ。
「カリイライス四つお願いします」
どうみてもカレーライスな気がするがとりあえずカリイライスで通す。
「分かりました。しばらくお待ちください」
そう言い残し店員さんは奥へ消えていった。
「あれどう考えてもカレーライスよね」
「俺もそう思う。もしかして俺達以外にも本当に日本人がいるんじゃないか?」
インドではカレーライスは無いらしいし。
カレーはあるがライスではなくナンだったはずだ。
正直ここらへんの記憶は曖昧なんだよな……。
「もしいたら会ってみたいわね」
「そうだな。話してみたいこともあるし」
どうやってこの世界に来たのかとかね。
俺達は転生(というより蘇生?)だったが転移で来た可能性だってあるわけだし。
「出来ることなら敵対はしたく無いわね」
「日本人に限らず敵対はしたくないけどな」
敵対していいことなんて何もないだろうしな。
「そうね」
さてそんなことを話している間にカリイライスが運ばれてきた。
「こちらカリイライス四人分と安酒四杯です」
え?
安酒なんて頼んでないぞ?
「安酒は頼んでないですよ?」
「今回食堂を初利用されたということでしたのでサービスです」
サービスって……。
当たり前のことながら酒なんて飲んだこと無いんだが。
だがサーシャとミーシャの分も出されたことからこの国においては酒の制限は無いようだ。
いやでも、日本の法律がががが……。
「とりあえず飲んでみましょう」
「愛花!?マジで!?」
飲むの!?!?
「出されたんだもの、せっかくだから飲みましょう」
こうなった愛花はもう止まらない。
「はぁぁ。飲むしかないか」
「それじゃあ皆持った?」
「持った」
「持ちました」
「持ったよ」
「では乾杯の音頭は海斗、よろしく!」
「ええええ!?俺ぇぇ!?」
「ほら早く!」
ここまで言ったら愛花が音頭をとるべきだろうに……。
まあいいか、俺が言おう。
「オホンッ。それでは、出会いを祝して乾杯!」
「「「乾杯!」」」
ゴクッゴクッ。
うーん、何とも言えない味だな。
炭酸にレモンとコーヒーを混ぜた感じ?
「これは、何とも言い難い味ね……」
「もう飲めないです……」
「なんか、シュワシュワ?」
皆の反応も微妙だな。
サーシャに至っては無理宣言してるしな。
「まあこっちは無理しないで、カリイライスを食べよう」
カリイライスの方が本命だしな。
「そうね」
ではでは、カリイライス頂きます!
・~・~・~・
結果、カリイライスはカレーライスだった。
うん、本当にカレーライスそのまんまだった。
だから、そのことに感動していた俺はすっかり忘れていた。
「ねぇ~海斗~。もっと構ってよ~ねえってば~」
「ご主人様~もっと撫でて下さい~」
「あははは!フワフワして気持ちいー!」
安酒、つまりアルコールを摂取していたことに。
幸いにも俺はアルコールには強い方だったらしく酔いはしなかったが、他の三人が酔ってしまった。
そんなわけで今絶賛俺は絡まれています。
愛花とサーシャに。
詳しく説明すると右腕にサーシャ、左腕に愛花といった様子だ。
愛花はわざわざこっち側まで移動してきた。
ミーシャはミーシャで聞く人が聞いたら大変なことになるであろう言葉を発しているし。
周囲の冒険者は俺のことを殺すような目で見てくるし。
これ、どうすればいいんだ…………?
結局あの後一時間もしない内に皆正気に戻りなんとかなったが、まだ恥ずかしそうにしていた。
しばらくお酒は飲みたくない。
やっぱりお酒は二十歳から!
食堂には十人の先着がいたがそれでもまだ二十人くらいは座れるほどのスペースがあった。
四人がけのテーブルに腰掛け、食べ物を注文しようとしたがサーシャとミーシャの二人が立ったままなことに気付いた。
「二人とも座らないのか?」
「主人と奴隷は一緒のテーブルで食べてはいけませんから」
なんだと……そんなルールが本当にあったのか。
てっきりラノベ限定の妄想かと思っていた。
「そんなこと気にしないから一緒に食べよう。ほら、座って?」
「そうよ、四人いるのに私と海斗の二人だけで食べるのは寂しいし」
「ですが……」
これは説得に時間がかかりそうだな。
なら先にミーシャを落とすか。
妹が落ちれば観念するはずだ。
「ミーシャは一緒に食べるよなー?」
「え?でも……」
あら?
いつもの如く勢いよく返事が来ると思ったんだが。
「もう、ミーシャちゃんまで。遠慮しなくていいからほら、こっちおいで?」
「うー、本当にいいの?」
「いいわよ、ほらこっちこっち」
「じゃあ……」
ミーシャも若干渋ったが無事愛花の隣に座った。
「ほらミーシャも座ったんだし、サーシャもこっち座りなよ?」
ふふふ、さっきまでは二対二だったが今は三対一だぞ?
それでもまだ抗うか?
「あぅぅ、わ、分かりました」
そうしてようやく座ったサーシャ。
これでやっとご飯を頼める。
「すみませーん!注文お願いしまーす!」
「はーい!」
注文は店の人が来るまでに決めたからあとは伝えるだけだ。
「カリイライス四つお願いします」
どうみてもカレーライスな気がするがとりあえずカリイライスで通す。
「分かりました。しばらくお待ちください」
そう言い残し店員さんは奥へ消えていった。
「あれどう考えてもカレーライスよね」
「俺もそう思う。もしかして俺達以外にも本当に日本人がいるんじゃないか?」
インドではカレーライスは無いらしいし。
カレーはあるがライスではなくナンだったはずだ。
正直ここらへんの記憶は曖昧なんだよな……。
「もしいたら会ってみたいわね」
「そうだな。話してみたいこともあるし」
どうやってこの世界に来たのかとかね。
俺達は転生(というより蘇生?)だったが転移で来た可能性だってあるわけだし。
「出来ることなら敵対はしたく無いわね」
「日本人に限らず敵対はしたくないけどな」
敵対していいことなんて何もないだろうしな。
「そうね」
さてそんなことを話している間にカリイライスが運ばれてきた。
「こちらカリイライス四人分と安酒四杯です」
え?
安酒なんて頼んでないぞ?
「安酒は頼んでないですよ?」
「今回食堂を初利用されたということでしたのでサービスです」
サービスって……。
当たり前のことながら酒なんて飲んだこと無いんだが。
だがサーシャとミーシャの分も出されたことからこの国においては酒の制限は無いようだ。
いやでも、日本の法律がががが……。
「とりあえず飲んでみましょう」
「愛花!?マジで!?」
飲むの!?!?
「出されたんだもの、せっかくだから飲みましょう」
こうなった愛花はもう止まらない。
「はぁぁ。飲むしかないか」
「それじゃあ皆持った?」
「持った」
「持ちました」
「持ったよ」
「では乾杯の音頭は海斗、よろしく!」
「ええええ!?俺ぇぇ!?」
「ほら早く!」
ここまで言ったら愛花が音頭をとるべきだろうに……。
まあいいか、俺が言おう。
「オホンッ。それでは、出会いを祝して乾杯!」
「「「乾杯!」」」
ゴクッゴクッ。
うーん、何とも言えない味だな。
炭酸にレモンとコーヒーを混ぜた感じ?
「これは、何とも言い難い味ね……」
「もう飲めないです……」
「なんか、シュワシュワ?」
皆の反応も微妙だな。
サーシャに至っては無理宣言してるしな。
「まあこっちは無理しないで、カリイライスを食べよう」
カリイライスの方が本命だしな。
「そうね」
ではでは、カリイライス頂きます!
・~・~・~・
結果、カリイライスはカレーライスだった。
うん、本当にカレーライスそのまんまだった。
だから、そのことに感動していた俺はすっかり忘れていた。
「ねぇ~海斗~。もっと構ってよ~ねえってば~」
「ご主人様~もっと撫でて下さい~」
「あははは!フワフワして気持ちいー!」
安酒、つまりアルコールを摂取していたことに。
幸いにも俺はアルコールには強い方だったらしく酔いはしなかったが、他の三人が酔ってしまった。
そんなわけで今絶賛俺は絡まれています。
愛花とサーシャに。
詳しく説明すると右腕にサーシャ、左腕に愛花といった様子だ。
愛花はわざわざこっち側まで移動してきた。
ミーシャはミーシャで聞く人が聞いたら大変なことになるであろう言葉を発しているし。
周囲の冒険者は俺のことを殺すような目で見てくるし。
これ、どうすればいいんだ…………?
結局あの後一時間もしない内に皆正気に戻りなんとかなったが、まだ恥ずかしそうにしていた。
しばらくお酒は飲みたくない。
やっぱりお酒は二十歳から!
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