上 下
33 / 59
異世界&冒険者

話がいろんな方向に飛ぶねぇ……。

しおりを挟む
昼ごはんを食べ終わった後、俺と愛花はまたレニーさんに呼ばれて奥の部屋に入った。

 因みにサーシャとミーシャはまだ食堂で昼ごはんを食べている。

 二人きりにするのは心配だったが、レニーさんとは別のギルドの受付嬢さんが見てくれるというので任せてきた。



「待たせたわね」



「いえいえ、丁度昼ごはん食べ終わったところだったので大丈夫ですよ」



 本当に、ずっと見られていたのかと思うほどにピッタリのタイミングだったのだ。



「まあ見てたから分かってはいたんだけどね」



 見られてたわ。



 あれ?でもレニーさんは受付の方にはいなかったはず。

 何処から見てたんだ?



「何処から見てたんですか?」



「場所はギルドの奥よ。どうやって見ていたのかっていうと、私のスキルね」



 ああ、スキルか。

 細かくは分からないけど恐らく特定の対象をなんらかの制限付きで見れたりするのだろう。



「もっともこのスキルを使っている間は目の色が変わるから周囲にはすぐバレるんだけどね。普通なら」



 やっぱり代償があったか。

 スキルを使っていることがバレるのはこのスキルに関しては致命傷だと思うけどな。



 でも普通ならってどういうことだ?



「え?レニーさんの目の色、変わってないですよ?」



 とは愛花の言葉。


 俺はそんなこと全く気付きませんでした。



「あ、分かった?実はね、幻影魔法を使って隠してるのよ。今魔法を解くわね」



 そう言って魔法を解いた後のレニーさんを見てみる。


 先程までは真っ赤な赤い瞳だったのが今は金色の瞳になっている。

 スキルを使っていると金色の瞳になるのか。


 これは確かに目立つな。

 赤い瞳の人がいきなり金色の瞳に変わったら誰だって気付くだろう。

 前髪とかで隠せれば良かったのだけれど、レニーさんの髪は額の少し下で切り揃えられていて難しそうだ。



 というかレニーさん、落ち着いてよく見るとカッコいいな。

 身長も百七十はあるだろうし髪は緑色のショートでスタイルもしっかりしている。

 実は結構モテているのでは?



「何考えているのか知らないけど、私はまだ独身よ」



 いやいやいや!

 絶対分かってるよね!?

 俺の考え読んでますよね!?

 じゃなきゃこんな答えを返してくる筈がない。



「そんなこと今は話してません!早くお金と引き換えてください!」



 ヒェッ!?

 愛花さんご立腹!?

 なんで!?



「あらあら。うふふっ。大丈夫よ、狙ってないから」



「むぅ……」



 狙うって何を?

 まさか命!?

 い、いやそんなことはない、はず。



「ま、カイトくんの勘違いは置いといて、お金の話に戻りましょうか」



「何の勘違いですか!?いやそれはこの際どうでもいいです。それよりもあのスキルって使うと体の一部が変化するんですか?」



 そうだ。

 勘違いなんかよりこっちの方が重要だ。

 将来使うとなった時にデメリットを知っているのといないのじゃ、大きな差だからな。



「そうね……。変わることもあるって言っておくわ。詳しいことはもう少しあなた達が強くなってからね」



 ……そんな簡単には教えてくれないか。


 まあ、いい。

 聞けるときが来たらまた聞こう。



「分かりました」



「いい返事ね。それじゃ、これが依頼報酬の金貨三枚。それから十四匹分の追加報酬が金貨八枚、なんだけどあなた達は異例の才能があるってことでさらに金貨二枚。合計金貨十三枚ね」



 異例の才能って……。

 そんなに特別なことはしてないんだけどな。


 それに百歩譲って異例だったとしてもそれが原因で金貨二枚追加って、よく分からん。



「異例の才能って、なんかプレッシャー感じるんですけど……」



 愛花も同じだったらしい。



「気にしないでいいわよ。私の期待を込めただけだから」



「「それをプレッシャーというんです」」



「二人とも仲が良いわねーー!そんなお二人さんは金貨を持って待ち人二人の所へお帰りくださーい。さあさあ出口はあちらですよーー!」



「あっ、ちょっと!」



「うわ!?押さないでくださいよ!」



 愛花と二人揃って押し出された。



「……あれ図星ってことだよな?」



「……そういうことなんじゃない?」



 ええ……。

 気楽にやりたいんだけどなあ。





 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...