上 下
27 / 59
異世界&冒険者

依頼詳細確認(今更)と貨幣価値の差の理由

しおりを挟む
俺のちょっとした発言からこんなことになってしまったが今は二人とも落ち着いてきたようだ。





「もう大丈夫か?」





「うん!平気だよ」





 ミーシャの方は問題ないようだ。



 サーシャの方は……。





「何かあったらすぐ私達に話してね?ずっと一緒にいるから」





「はい……。ありがとうございます」





 無事に愛花が落ち着けてくれたようだ。

 だが今の言葉を聞くにもう少しサーシャは様子を見た方がいいかもしれない。



 そんな状態で戦闘云々の話をするのはいい判断ではなさそうだ。





 よし。なら戦闘以外の依頼の詳細について聞くとするか。

 俺が喧嘩を売られたりレニーさんに説教されたりで詳しい話を聞けていなかったからな。





「そういえば聞いてなかったんだけど、今回の依頼の詳細ってどんな感じなんだ?」





「えっと、まず必要討伐数が五匹ね。討伐数の証明は魔石を剥ぎ取って持ってくるか、討伐した魔物をそのまま持ってくるかのどちらかよ」





 魔石か。

 倒した後に魔物が魔石に変わったわけでもないので言葉通り剥ぎ取る必要があるのだろう。

 心臓辺りにあるのかな?





「魔石ってどこにあるんだ?」





「さあ?」





 おいいい。

 幼馴染みさんや、そこ重要だぞ。





「魔石なら魔物の心臓近くにあるよ。ただ、ホーンラビットとかゴブリンくらいの魔物だと魔石が小さいから見つけるのも大変だよ?」





 あれか。

 やっぱり体の大きさや強さによって魔石の大きさが変わる感じか。



 んー。

 アイテムボックスに入れた方が早いかな?





「ならアイテムボックスにそのまま入れちゃえばいいんじゃない?」





「そうした方がいいな。剥ぎ取ろうにも、それ用のナイフだってないわけだし」





 短剣にあるがあれで剥ぎ取り作業をやるのは無理がある。

 相当な技術者でもない限り出来ないだろう。

 仮に出来たとしても魔物の体がグチャグチャになると思う。



 よってアイテムボックスに入れるのが最適解なのだ。





「じゃあこの二匹は海斗の方のアイテムボックスに入れておいて。後の三匹は私の方に入れるから」





「全部俺が持つぞ?」





「いいの。私も使いたいし、何よりどれだけ収納出来るかも分からないんだから」





「そっちの問題があったか」





 言われてみればそうだ。

 前に見た時スキルにLv.1がついていた。

 と、言うことはこのスキルは成長するということでありそれ即ち今の段階では収納スペースに限界があると言うことだ。





「スペースを圧迫しないためにも二人でわけた方がいいでしょ?」





「そうだな。そうしよう」





 そんなわけで俺とミーシャが倒したホーンラビットは俺が、残りは愛花が担当することとなった。





 これで詳細確認の一つが終わった。



 後は一つだけだ。





「報酬っていくらなの?」





「五匹だけなら金貨三枚、それ以上になると数に応じて追加の報酬だって」





「断然こっちの方が効率いいな」





「そうね。これだけで宿代の元が取れるんだから」





 やっぱり討伐依頼にして正解だった。



 あのまま薬草採取なんてやってたら大変なことになっていたな。





 ……というかこの世界って金貨が生活の基盤なんだろうか?

 金貨ってこんな簡単には手に入らないものというイメージなんだが。



 もしやこの世界は金が取れやすいのか?





「金貨ってこんなに簡単に手に入るんだな」





「本当よね。私も報酬額見て驚いちゃった」





 そりゃあこんな報酬を見たら驚くだろう。

 金貨は高価というイメージが俺達にはあったんだし。





「あの、金貨っていっても本当の金では無いですよ?」











 はい突然のカミングアウト来ましたーー!





「「本当の金じゃないってどういうこと(だ)!?」」





 二人して聞き返すほど驚きのことである。





「えっーと、正確に言えば表面は本物の金なのですが、内側はただの銀です。なので金貨はあまり価値が高くないんです」





 俺達の勢いが強くてサーシャがタジタジになっている。

 可愛い。



 じゃなくて!

 表面は金ってことは金箔か何かを張り付けているってことか?

 それだったらこの価値でも納得できる。





「なるほどね。じゃあ価値から考えるに大金貨が全部本物の金で出来ているのね?」





 もし愛花の言うとおりなら金貨と大金貨の価値の差が大きいのも説明がつく。





「はい、そのとおりです。大金貨は正真正銘全てが金で出来ているので価値が一気に上がるんです」





 大正解ビンゴ。

 やっぱりこの世界でも金は貴重なようだ。

 もっとも金箔を大量に使っている時点で産出量は地球よりもこの世界の方が多いだろう。





「じゃあ白金貨は?」





「白金貨は元となる白金が金と比べ物にならないほど珍しいので価値も物凄くなっているんです」





 ここは予想通りといった感じだ。

 他に聞くことは今のところなさそうだ。



「なるほどね。この世界の貨幣価値をなんとなく理解出来たわ。教えてくれてありがとうね」

 



「いえいえ、これくらいならどんどん聞いてください!」





 元気がいいところ申し訳ないがもう聞くことはないかな。

 でもこれだけ元気があるのならもう大丈夫そうだな。





「さて、話も一段落ついたのでそろそろ依頼再開するか?」





「私はいつでもいいわよ」



「私もいいよ!」



「私も……大丈夫です」





 無理している感じはなさそうだ。

 これなら再開しても平気だな。





「よし!残り三匹頑張ろう!」





「「「おー!」」」





 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...