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異世界&冒険者
所有者
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俺達は気を失っている二人をそれぞれ背負って川のある場所へと戻った。
「ここまで戻れば少しは落ち着けるかな」
「ええ。この子達の様子を見ながら休むことにしましょう」
~・~・~
三十分程経った時だった。
二人のうち若干背の高い方が目を覚ました。
もっとも、背が高いというのは獣人二人で比べたらの話ではあるが。一般で見たら随分と低い方だ。おそらく百五十センチもないだろう。
まだ状況が理解出来ていないのか辺りをキョロキョロ見渡している。
「起きた?」
「ッ!!」
声をかけると彼女は飛び起きた。
そして彼女と目があった。綺麗に澄んだ蒼の瞳だ。
思えば彼女の容姿をよく見ていなかったと思ったので彼女のことを観察する。
髪は腰まである白髪のようだ。ようだというのは彼女の髪が汚れていて本来の色が分からないからだ。
顔は整っていて清潔にさえすれば庇護欲を煽るような顔をしている。
全体的に肉付きがなくほっそりとした体をしている。
そんな彼女は突然声をかけてきた俺から距離を取るように後ろに下がった。
「ちょっとストップ。危害を加えるつもりはないから落ち着いて」
とは言っても信用できないのか警戒しまくりだ。
まぁ普通初対面の相手に危害を加えないと言われても信用出来るはずもないか。
どう切り出そうかと迷っていたら相手が先に口を開いた。
「あの、私達に何をするつもりですか」
「いや、特に何かする気はないよ?」
そう答えると彼女は何故か戸惑っている様子。
「とりあえず、自己紹介しよっか。俺は鈴木海斗、よろしくな」
「私は渡辺愛花よ。よろしくね」
「え、えっと私はサーシャです。あの、私の名前は確認済みなのでは?」
「え?今初めて聞いたよ?」
「え?だって私は貴方達の奴隷になったんじゃあ……?」
んん?この子が伝えたいことがいまいちよくわからない。
…………いいや、この際こっちからいろいろ聞くなり話すなりやってしまえ。
「確かにサーシャは俺達の奴隷だ。だが俺達は今まで奴隷というものを持ったことがない。だからいろんな質問をしたいんだが答えてもらってもいいかな?」
「は、はい。何でもどうぞ。」
「ありがとう。じゃあ一つ目。奴隷って命令されたら絶対服従なの?」
「はい。命に関わるものでもない限り絶対服従です」
「なら例えば今ここで俺が服を脱いでって命令したら逆らえないの?」
「……はい、そうです」
よくある質問をしたんだが怯えさせてしまったようだ。
「あ、今のはあくまで例えで命令はしないからね?」
そういうと見るからに安心した様子を見せていた。
誤解は早めに解いておかないと後で困るからな。
怯えられ続けると俺が悲しくなるし。
とまぁそれは置いておいて次の質問だ。
「共有奴隷って何かわかる?」
「共有奴隷というのは一人の奴隷を二人の主人が持つことを言います。基本的に共有奴隷を持つ方はいないです」
「何か理由でもあるの?」
「主人の命令が互いに相反するものであった場合は奴隷が自分でどちらの命令を受けるか決めることが出来ます。その場合奴隷が自分の命令通りに動かないことがあります。これが嫌な方が多いので共有奴隷を持つ方は少ないんです」
「ということは持っていて何か問題があるってわけではない?」
「はい。先程話した通り少数ですが共有奴隷を所有される方はいます。」
「そっか。なら俺達はこのままでもいいか、愛花?」
「ええ、いいわよ」
この世界のことをまだ何も知らない以上変にいじらない方がいい。というかいじり方もわかんないし。
大方、魔法か魔道具なんだろうけど。
「それじゃあ次、なんで俺達がサーシャ達を見つけただけで二人が俺達の奴隷になったんだ?」
「それは私達が主人のいない奴隷だったからです。主人のいない奴隷は最初に見つけた方が主人となります。二人以上の方が同時に見つけた場合共有奴隷となります。この世界だと結構常識のはずなんですが……?」
「さっきも言ったけど、俺達は奴隷には詳しくないからさ。分からなかったんだ」
「そ、そうですか」
そうか、だから俺と愛花の共有奴隷になったのか。
そしてサーシャがなにか気付きはじめてしまったぞ。
まだ完全には気付いていないからこの後の話で忘れてくれるといいんだが……。
それにしても思ったより失礼なことを言うなこの子!?
遠回しに常識知らないのかって言ったよね!?
怒った俺になにかされるとは思わないのだろうか?
いや確かにこんなことで怒ったりしないし常識を知らないのも間違っていないからなにも言えないのだが。
「次、一番気になっていたんだが、何で俺達がサーシャ達の名前を知っていると思ったんだ?俺達はまだもう一人の方の名前を知らないんだけど……」
「奴隷になったのですからステータスに表示されていると思ったのですが、表示されていませんか?」
おう、ステータスときたか。
そういえばスキルを選んでおきながらこの世界に来てからまだ確認していなかったな。
でもステータスってどうやって見るんだ?
ステータスって唱えれば出てくるのか?でも違ったら恥ずかしいな。
よし、聞いてみよう!
「ステータスってどうやって見るんだ?」
「え?この世界の方なら誰でも知っているはずなのですが……」
…………俺、やらかしたっぽい。
「海斗、これは話すしかないんじゃない?」
「そうだな……話すか」
困惑しているサーシャに俺達の秘密を話すことにした。
「ここまで戻れば少しは落ち着けるかな」
「ええ。この子達の様子を見ながら休むことにしましょう」
~・~・~
三十分程経った時だった。
二人のうち若干背の高い方が目を覚ました。
もっとも、背が高いというのは獣人二人で比べたらの話ではあるが。一般で見たら随分と低い方だ。おそらく百五十センチもないだろう。
まだ状況が理解出来ていないのか辺りをキョロキョロ見渡している。
「起きた?」
「ッ!!」
声をかけると彼女は飛び起きた。
そして彼女と目があった。綺麗に澄んだ蒼の瞳だ。
思えば彼女の容姿をよく見ていなかったと思ったので彼女のことを観察する。
髪は腰まである白髪のようだ。ようだというのは彼女の髪が汚れていて本来の色が分からないからだ。
顔は整っていて清潔にさえすれば庇護欲を煽るような顔をしている。
全体的に肉付きがなくほっそりとした体をしている。
そんな彼女は突然声をかけてきた俺から距離を取るように後ろに下がった。
「ちょっとストップ。危害を加えるつもりはないから落ち着いて」
とは言っても信用できないのか警戒しまくりだ。
まぁ普通初対面の相手に危害を加えないと言われても信用出来るはずもないか。
どう切り出そうかと迷っていたら相手が先に口を開いた。
「あの、私達に何をするつもりですか」
「いや、特に何かする気はないよ?」
そう答えると彼女は何故か戸惑っている様子。
「とりあえず、自己紹介しよっか。俺は鈴木海斗、よろしくな」
「私は渡辺愛花よ。よろしくね」
「え、えっと私はサーシャです。あの、私の名前は確認済みなのでは?」
「え?今初めて聞いたよ?」
「え?だって私は貴方達の奴隷になったんじゃあ……?」
んん?この子が伝えたいことがいまいちよくわからない。
…………いいや、この際こっちからいろいろ聞くなり話すなりやってしまえ。
「確かにサーシャは俺達の奴隷だ。だが俺達は今まで奴隷というものを持ったことがない。だからいろんな質問をしたいんだが答えてもらってもいいかな?」
「は、はい。何でもどうぞ。」
「ありがとう。じゃあ一つ目。奴隷って命令されたら絶対服従なの?」
「はい。命に関わるものでもない限り絶対服従です」
「なら例えば今ここで俺が服を脱いでって命令したら逆らえないの?」
「……はい、そうです」
よくある質問をしたんだが怯えさせてしまったようだ。
「あ、今のはあくまで例えで命令はしないからね?」
そういうと見るからに安心した様子を見せていた。
誤解は早めに解いておかないと後で困るからな。
怯えられ続けると俺が悲しくなるし。
とまぁそれは置いておいて次の質問だ。
「共有奴隷って何かわかる?」
「共有奴隷というのは一人の奴隷を二人の主人が持つことを言います。基本的に共有奴隷を持つ方はいないです」
「何か理由でもあるの?」
「主人の命令が互いに相反するものであった場合は奴隷が自分でどちらの命令を受けるか決めることが出来ます。その場合奴隷が自分の命令通りに動かないことがあります。これが嫌な方が多いので共有奴隷を持つ方は少ないんです」
「ということは持っていて何か問題があるってわけではない?」
「はい。先程話した通り少数ですが共有奴隷を所有される方はいます。」
「そっか。なら俺達はこのままでもいいか、愛花?」
「ええ、いいわよ」
この世界のことをまだ何も知らない以上変にいじらない方がいい。というかいじり方もわかんないし。
大方、魔法か魔道具なんだろうけど。
「それじゃあ次、なんで俺達がサーシャ達を見つけただけで二人が俺達の奴隷になったんだ?」
「それは私達が主人のいない奴隷だったからです。主人のいない奴隷は最初に見つけた方が主人となります。二人以上の方が同時に見つけた場合共有奴隷となります。この世界だと結構常識のはずなんですが……?」
「さっきも言ったけど、俺達は奴隷には詳しくないからさ。分からなかったんだ」
「そ、そうですか」
そうか、だから俺と愛花の共有奴隷になったのか。
そしてサーシャがなにか気付きはじめてしまったぞ。
まだ完全には気付いていないからこの後の話で忘れてくれるといいんだが……。
それにしても思ったより失礼なことを言うなこの子!?
遠回しに常識知らないのかって言ったよね!?
怒った俺になにかされるとは思わないのだろうか?
いや確かにこんなことで怒ったりしないし常識を知らないのも間違っていないからなにも言えないのだが。
「次、一番気になっていたんだが、何で俺達がサーシャ達の名前を知っていると思ったんだ?俺達はまだもう一人の方の名前を知らないんだけど……」
「奴隷になったのですからステータスに表示されていると思ったのですが、表示されていませんか?」
おう、ステータスときたか。
そういえばスキルを選んでおきながらこの世界に来てからまだ確認していなかったな。
でもステータスってどうやって見るんだ?
ステータスって唱えれば出てくるのか?でも違ったら恥ずかしいな。
よし、聞いてみよう!
「ステータスってどうやって見るんだ?」
「え?この世界の方なら誰でも知っているはずなのですが……」
…………俺、やらかしたっぽい。
「海斗、これは話すしかないんじゃない?」
「そうだな……話すか」
困惑しているサーシャに俺達の秘密を話すことにした。
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